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同僚が夜勤を変わって欲しいと言ってきたが、その密会相手は私の夫だった
同僚が夜勤を変わって欲しいと言ってきたが、その密会相手は私の夫だった
著者: 橋本紅子

第1話

周りの景色を見渡すと、懐かしさと違和感が入り混じった感じが広がり、ぼんやりと自分のデスクにたどり着いた。

まさか本当に戻ってきたとは信じがたい。

子宮の痛みがこれは夢ではないことを思い知らせ、目の前に広がるのは血の染み込んだ光景ではなく、毎日働いていた職場だった。

前世の自分の悲惨な死亡にまだ囚われていると、同僚の沙緒里が私の前に立っていた。

私はスマートフォンの時間を確認し、彼女がこれから何を言うのか分かっていた。

夏の洪水シーズン真っ只中で、市は各職場に24時間体制での勤務を命じていた。私たちの局も例外ではなかった。

だが、その夜、監査チームが突然やってきて、沙緒里がそのとき職場にいなかったことが発覚し、次の日に彼女は解雇された。

監査チームが夜にチェックに来たのはこの一度きりで、7月25日という日付が鮮明に記憶に残っている。

沙緒里は解雇されたことで私を恨み、私が妊娠してもうすぐ出産というときにわざわざ家にやってきて、階段のところに誘導し、容赦なく私を突き落とした。

その日は携帯を持っていなかったため、夫が帰宅して私を見つけて病院に連れて行くまで七、八時間が過ぎていた。

病院に着いたときにはすでに大出血しており、最終的には母子ともに命を失ったのだ。

しかし、神様は私を見捨てなかった。私は再び生き返り、何も起きていないあの時点に戻ってきたのだ。

今度こそ、自分を危険にさらすことは絶対に避けなければならない。

そう思っていると、沙緒里がすでに私の前に立っていた。彼女に夜勤交代を持ち出される前に、先手を打たなければならない。

「沙緒里、ちょっと相談したいことがあるの」

警戒した様子で彼女は「え、あゆみ、何か用事?」と答えた。

「沙緒里、家を買いたいから、400万円貸してくれないかな。あなたならきっとお金あるでしょ?助けてくれるよね!」

彼女の顔の表情がまさに変わった。

彼女が何か言う前に、私はテーブルの上のバッグを手に取り、外に向かって歩き出しながら言った。

「沙緒里、必ず助けてね!私の口座番号知ってるでしょ?そこに振り込んでおいてくれたらいいから。今から母の家に借金の話をしに行かなきゃいけないの。遅くなると母が機嫌悪くなるから、じゃあね!」

背後から、同僚の山口聡が「沙緒里、何だこの人、よくもまあそんなこと言えるな。400万だって?貧乏で頭おかしくなったんじゃないか?無視しろよ」と声をかけてきた。

山口聡、沙緒里のファンだ。

母の家に戻ると、なんと夫の池田亮も来ていた。母と亮が台所で忙しくしている様子を見て、私は涙が止まらなかった。これが私の本当の生活だ。

今度こそ、私を傷つけた人々に代償を払わせ、このかけがえのない人生を再び生き直し、前世の私のためにも精一杯生きよう。

次の日、職場は大騒ぎになっていた。

「あゆみ、知ってる?昨日の夜、監査チームが急に見回りに来たんだって。誰かが無断で職場を離れてたらしいよ」と、同じオフィスの中村が小声で囁いてきた。

そのとき、廊下では沙緒里が山本局長の腕を掴んで「山本局長、市にもう一度説明してもらえませんか?昨日の夜は、本当に病院に行って急患を受けたから、少しだけ離れただけなんです!」と懇願しているのが見えた。

山本局長はビール腹を突き出しながら、うんざりした様子で言った。「佐藤、君はもう解雇されたんだ。ここで泣き言を言っても無駄だよ。そんな時間があるなら、さっさと次の仕事を探しなさい」

廊下からは各オフィスから頭がひょっこり出て、みんながその光景を面白がって見ていた。

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