共有

第2話

浮気女だって?

私がいつ浮気女になったっていうの?

しかも、この声、さっき道路で見た配信のあの霗莹の声じゃないか!

トイレの仕切り越しに、私は慌てて大声で言った。「違う!あなたたち、完全に勘違いしてる!私は浮気女なんかじゃない!」

私は、ちゃんと説明すれば誤解が解けて、すぐに外に出してもらえると思っていた。けれど、次に聞こえてきたのは怒りに満ちた声だった。「恥知らず!浮気女なんて、誰も表立って言わないのよ!どの男が彼女だって認めるもんか!」

「霗莹が機転を利かせて、ずっと監視してなかったら、お前なんか見つからなかったかもしれないんだぞ」

霗莹の声が続いた。「こんなやつに言い訳させる必要なんてないわ!浮気女なんかに話すことはない!」

そう言うと、突然、冷たくて悪臭を放つモップの水が私の頭からかけられ、全身がびしょ濡れになった。

私は思わず身震いし、冷水が目や鼻、口に入り、息が詰まるような感覚に襲われた。頭がくらくらして、2時間かけてメイクした顔もすっかり流されてしまい、髪もべっとりと顔に張り付いていた。

配信で見た霗莹は、あんなに優しそうな顔をしていたのに、こんなにも酷いことができるなんて信じられなかった。たとえ誤解だとしても、ここまでするなんてひどすぎる!

「ふざけんな!だから違うって言ってんだろうが!人の話をちゃんと聞け!」私は怒鳴り、ドアを必死に叩き、体全体で押して、何とか外に出ようとした。

その時、突然、トイレのドアが外から開いた。私はバランスを崩し、勢いよく地面に倒れ込み、全身が痛む。目の前が真っ暗になった。

「ざまぁみろ!浮気した報いだ!」

耳元には、数人の女性の軽蔑に満ちた笑い声が響き、あざけりと罵倒の嵐が降り注いだ。

その時、地面に落ちていた私のスマホが震えた。見ると、友達からの電話だった。

私は必死に這いながら、地面に落ちたスマホを取ろうとした。しかし、それを霗莹の友達が素早く奪い取り、電源を切ったかと思うと、無造作にトイレに投げ捨てた。

その瞬間、霗莹が私の腕を強く引っ張り、無理やり立たせ、スマホを顔に突きつけながら言った。「みんな、見て!これが私の社長彼氏を奪おうとした意地悪な女よ!若いのに何も学ばないなんてね!」

「今日こそしっかりお仕置きしてあげるわ。あなたの親が教えないなら、私が代わりに教えてあげる!」

そう言うなり、彼女は私の顔に思い切り平手打ちを食らわせた。

ライブ配信を見ていた視聴者たちは、画面越しに浮気女が叩かれている様子に大興奮。

「その通り!思いっきりやっちまえ!浮気女には天罰が下るべきだ!」

「この浮気女、ほんとにいやらしいな。真っ昼間からミニスカートで男を誘惑しやがって。体は良さそうだけどな、クソッ!」

「浮気女にはこれくらい厳しくしないと、他の人にも警告にならないだろう!」

私は何度も殴られ、体力も限界に達していた。それでも、かろうじて息を整え、力を振り絞って反論した。「本当に私は浮気女じゃないんだ、誤解してる!」

「今すぐやめないと、後悔することになるよ!」

霗莹はわざとらしく泣き顔を作りながら、ライブ配信に向かって訴えた。「みんな、聞いて!浮気女が私を脅してくるのよ!」

コメント欄はさらに荒れ狂い、視聴者たちは彼女に私を許さないようにと煽り続けた。

私は必死に抵抗したが、数で勝てるわけもなく、霗莹たちに力で抑え込まれた。

そして、彼女たちは私を無理やり車に押し込んだ。私は混乱しながら「どこに連れて行くつもり?」と尋ねようとしたその瞬間、霗莹が雑巾を私の顔に押し付けてきた。

だんだんと視界がぼやけ、意識が遠のいていくのを感じた。

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status