共有

第188話

綾子は子供の母親が公開できないから、啓司が子供だけを連れ戻して、誰にも知らせなかったと思った。

啓司はどうすればいいか分からなくなった。

もしその子が自分の子供じゃなかったら、彼女はそれを認めるのか?

「この件、手を出さないでくれ」

話し終わって、彼は直接電話を切った。

もう落ち着くことができず、啓司は携帯のアルバムを開いた。

アルバムの隠しコーナに、3枚の写真があった。

1枚は紗枝が妊娠後の検査報告書、もう1枚は逸之の写真、最後の1枚は青臭い女の子の後姿…

彼は逸之の写真に目を注ぎ、じっと見ていた。

この子は本当に池田辰夫の子か?

彼は信じないが、DNA鑑定をする勇気はなかった。

なぜなら、身元が分かれば、万が一、彼が子供と何の関係もないと、彼の全ての期待は消えてしまうからだった。

すると、鑑定しない方が増しだった。

啓司は携帯の電源を切った。一方、綾子の方では大喜びとなった。

「どんな手を使っても、あの子の居場所を見つけ出す」

電話を切られてから、綾子は秘書調べさせた。

どれだけのコネを使っても、必ず子供を見つけだす。

彼女が孫を欲しいのは、啓司の後継者問題だけではなかった。

彼女は黒木家の年長者に、彼女の遺伝子に問題がないと伝えたいからだった。

数十年前、彼女は双子を産んだ。しかし、末っ子が生れ付きの遺伝子病気があり、姑さんに知られて結構苛められた。

その後、啓司が黒木家を引き継いだ後、黒木家の年長者が彼女への態度を少し良くなってきた。

しかし、啓司には子供がいなかったので、体に問題があって、子供作れないとか言われた…

傲慢の綾子でも、遺伝子に問題があることを認めたくないし、啓司に自分の苦しみを話すこともできなかった。

紗枝が病院から戻った時、居間の明かりまだついていた。中に入ってみると、柔らかな光の下で、啓司がパジャマ姿でソファに座って本を読んでいた。

紗枝が戻ってくるのを知って、彼は頭を上げずに、本をめくり続けた。でも、彼の心はとっくに何処かへ飛んで行った。

紗枝は一歩一歩彼の前に向かって行った。

「只今。庭の花きれいだね!」

朝に花を見たのだが、今時に言うのは、啓司の機嫌を取るためだった。

啓司は本を閉じて、少し頭を上げ、ハンサムな顔が紗枝に向かって「うん」とうなずいた。

声は魅力的だっ
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status