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第670話

「佐藤総裁、罠が発動しました。行動開始です!このネズミを必ず捕まえてみせます!」

昇は興奮した様子で、部下を率いて倉庫内へ突入していった。

峻介は、今日の作戦は慎重に計画を練り、周到な準備をしていたにもかかわらず、心の奥底に不安がよぎっていた。

昇が勢いよく前進した姿を見て、どこかで後悔の念が湧き上がったのを感じた。

峻介は手を伸ばし、無意識昇を止めようとした。

数か月前に脚を負傷した碧狼は、完全には回復しておらず、今回の作戦には参加できなかった。峻介の表情を見て、不安そうに尋ねた。

「どうしたんですか、佐藤総裁?」

「嫌な予感がするんだ」

「大丈夫ですよ、進の作戦はいつも完璧です。今日は僕たちが相手の計画に乗じて罠を張っているんです。相手はたった一人ですし」

峻介は眉をひそめた。「確かにその奴は進を市街地で長時間引き回した。そしてようやくここに来た。もし、それが伏兵を配置するための時間稼ぎだったとしたら?」

「つまり、罠にかけられているのは、僕たちだと?」

峻介は周囲を見回し、何かが妙に不気味だと感じていた。

「その可能性がある。進にすぐ撤退するよう伝えろ」

峻介の第六感はこれまでに何度も彼を救ってきた。今回も同じように、彼は本能的に危険を察知した。

碧狼も峻介の判断に疑いを持たず、すぐに進と昇に撤退を指示した。

メッセージを送った瞬間、倉庫内から突然、耳をつんざくような爆発音が響き渡った。

昇はまだ中に入っていなかったが、突如として巻き起こった爆風に押し倒され、地面に伏せながら叫んだ。「兄貴!」

誰も、何が起きたのか分からなかったが、明らかに峻介の予感は的中した。彼らは罠にかかっていたのだ!

火は瞬く間に広がり、周囲も連鎖的に爆発が起こり始めた。

「佐藤総裁、伏兵がいます!早く逃げましょう!」

碧狼は叫びながら昇のもとへ駆け寄った。昇は感情に突き動かされ、爆発に理性を失い、逃げるどころか、兄を助けようと爆心地に向かって走り出した。

「馬鹿野郎、進兄は爆発の中心にいるんだ!逃げられなかったなら、その瞬間に四散しているだろう!例え生き延びたとしても、こんな大火事じゃ命を失うだろう。この仕事をしている限り、いつ死んでもおかしくない覚悟はできてるだろ
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コメント (1)
goodnovel comment avatar
なりためぐみ
翻訳がおかしい、昔の超翻訳みたい。人物の口調は安定してないし、設定がちょくちょくズレてる。
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