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第541話

優子は完全に崩壊してしまった。子供の喪失は、彼女にとってとどめの一撃だった。

かつて彼女がどれほど子供の誕生を待ち望んでいたが、今や同じくらい絶望している。

涙と血が一緒に床へと落ちていった。優子はベッドに座り込み、力強く自分の髪を掴みながら叫んだ。「峻介、あなたが私を助けるべきじゃなかった。生きるのが辛すぎる……」

生きている意味なんて、彼女には思いつかなかった。

自分はただの厄介者で、周囲の人々に不幸しかもたらさない存在だと感じていた。

峻介は再び優子を抱きしめた。「僕が君を助けた理由、知りたいか? よし、今すぐ教えてやる」

そう言うと、彼は優子の靴下を丁寧に履かせ、彼女を抱き上げた。

「どこに連れて行くの?」

「すぐにわかるさ」

峻介は彼女を抱き、ある病室に入った。そこは三人の部屋で、患者たちはみな包帯やギプスで体を固定されていた。

碧狼は、トイレに行こうとしていたのだろう。彼は脚が銃弾に命中されたため、杖に頼りながら片足で跳ねるように移動していた。

彼はドアの前に立っていた二人を見て、慌てて礼をした。「佐藤社長、奥様」

優子はかすれた声で、「脚が……」

碧狼は苦笑した。「大丈夫です」

少なくとも彼はまだ生きていた。死んだ者たちもいたのだから。

「ゆっくり休んでくれ」峻介は優子を抱きながら、他の病室を回り、最後にICUへとたどり着いた。

優子はガラス越しに、体に無数のチューブを繋がれている霞沢龍崎を見た。

「三日経ったが、まだ危険な状態を脱していない。彼が今夜持ちこたえられるかどうかもわからない。仮に目を覚ましたとしても、完全に回復することはないだろう」

峻介は彼女の耳元でため息をついた。「優子ちゃん、これでなぜ僕が君を助けたかわかっただろう? 今回、君を守るために28人が犠牲になった。重傷者が8人、軽傷者が19人、そして死者が1人のことになった」

「死者1人」という言葉が鋭く響き、優子は唇を噛んで涙をこらえた。

「彼女……どこにいるの?」

「遺体安置所にいる。あの二発の弾は急所を外れていたから、彼女は生き延びるはずだった。だが、最後の一発が彼女の頭を貫いた」

優子の目の前に再び、莉乃が自分を守ろうとした瞬間が浮かんできた。彼女の微笑みや、優子に降りかかった温かい血が鮮明に蘇った。

「優子、落ち着け。まだやらなけれ
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