第73話 もちろん、私が約束したことは守ります

その夜、森川晋太郎はまるで狂ったように、断ち切らずに求め続けた。

終わった後、彼は冷たく床に縮みこまれた体を震わせる入江紀美子を見るだけで、服を着て去って行った。

なんの一言も残さなかった。

入江紀美子の瞳は暗くなり、涙を一つ一つ頭の枕に濡らすままにした。

どうやったら、彼は彼女を手放すのか？

……

ひと月もの間、美紀子は晋太郎の姿を見ることもなかった。

ファッションデザインコンテストの第2次選考に彼女は成功してリストに載り、さらに、彼女は佳世子から一つのニュースを聞いた。

晋太郎と静恵が婚約を結んだということだ。

美紀子の心は悲しみに浸ったが、彼女はそれ以上に考えず、仕事と啓治からの連絡を待つことに専念していた。

この間、美紀子は佳世子と塚原の二人に食事の面倒を見せられ、交互に世話をされた。

しかしどんなに補給をしても、美紀子はやはり痩せており、三ヶ月以上の三つ子の妊娠でも、お腹はまだ膨らんでいない。

彼女は病院へ行って検査を受け、医者から胎盘の位置が後ろに寄り過ぎているが、心配はいらない、胎児は発育が順調だと告げられた。

美紀子はレポートを手に取り、安心して病院を出た。

帰り道で、彼女は翔太からの電話を受けた。

「もしもし、美紀子。」翔太の温かみのある声が響いた。

「渡辺さん、何か用ですか？」

「美紀子、君は私と話すときにそんなに遠慮しなくてもいいよ。」翔太の声には無力感が透き通っていた。「そうだ、あさっては暇ですか？」

美紀子は眉を軽く寄せて、「何かあるなら直に言ってください。」と言った。

彼女は事情を遠回しして言うのを好きではなかった。

「あさっては私の祖父の大寿です。一緒に参加していただけませんか？」

そう言いつつも、翔太には自分の思惑が隠されていた。

現在はまだ美紀子の幼少期の情報を調べられないが、彼は強く感じていた。美紀子は自分の妹、渡辺綾子だと。

美紀子をおじいさんの前に連れて行くことで、おじいさんの力を借りて、何らかの手がかりを得るかもしれない。

「渡辺さん、あなたの身の回りには女性たくさんいるでしょう。私の手を借りる必要はないですよ。」美紀子は婉曲的に断った。

彼女は上流階級のパーティーが好きではなかった。

「私は全力であなたの身元を調べる手助けをする！」

翔太がこの言葉を吐き出した時、美紀子