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第623話 殺人犯の汚名

「ハロー、ハロー、もしもし、聞こえますか?」

突然——

幼くて聞き覚えのある声が紀美子の耳に届いた。

会場は瞬時に静まり返り、一斉にステージ上の大スクリーンに視線を向けた。

紀美子も急いで目を見開き、画面に映し出された佑樹の顔を見て、体は凍りついた。

佑樹!?

「みんな話さなくなったってことは、聞こえてるんだよね?」佑樹の端正な顔に笑みが浮かんでいた。

観客たち——

「この子誰だ?」

「顔つきが森川社長に似てる!彼の子供か?」

「森川社長の子供は見たことないけど、息子がいるのは知ってる!」

「じゃあ間違いないな!何を言うつもりだ?」

「わからん!静かにしろ!」

佑樹は軽く咳払いしてから言った。「まず自己紹介します。僕は佑樹と言います。突然のことなので、皆さんの前に出てくることになりました。

正直に言わせてもらいますが、みなさん、ほんとにレベル低いですね!僕のママをいじめて何の意味があるんですか?」

佑樹の挑発的な言葉に、観衆はざわめいた。

晋太郎は人混みに混じって椅子に座り、口元に薄い笑みを浮かべた。

さすが自分の息子だ。上流社会の人たちに対しても恐れずに物申すとは。

度胸がある!気骨がある!

佑樹は続けた。「その静なんとかさん、ママを中傷するのはよくないですよ。当時のこと、本当に僕のママが人を殺したのは確かですか?

あなたもその場にいたんですよね?もし反論があるなら、この後の映像を見てください!」

突然、画面が切り替わった。

紀美子と静恵がカフェで向かい合っている姿が映し出された。

しかし、音声はなく、紀美子がウェイターから運ばれてきたレモン水を一口飲んだ後、気を失う様子が映っていた。

次に、画面は再び切り替わり、昏倒した紀美子が2人のボディガードに支えられてマンションに運び込まれ、静恵がその後を追いかけて入っていった。

すぐにある金髪の男も建物に入っていった。

「少し長くなるので、ここで早送りしますね」佑樹はそう言うと、映像を早送りした。

しばらくすると、血まみれの静恵が走り出てきて、ボディガードに何かを告げた後、再び建物に戻っていった。

その後、警察が現れ、紀美子と、すでに死んでいた金髪の男を連行していく様子が映し出された。

映像が止まると、静恵は恐怖でその場に崩れ落ちた。

再び佑樹の顔がスクリーンに
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