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第565話 もうこれ以上関わらないで

 パスワードを入力すると、チャット画面がポップアップしてきた。

狛村静恵からのメッセージだった。

「晋太郎、あまり心配しないで、私は念江くんと一緒に待ってるから」

紀美子は驚いて、無心でその会話を見つめた。

それは……森川晋太郎の携帯だった……

彼女は自分の携帯だと思ってパスワードを入力した。

パスワードは紀美子の誕生日。

まさか晋太郎が、自分の誕生日をパスワードに設定していたとは。

しかも、偶然とはいえ、静恵からのメッセージも見てしまった。

念江と一緒に晋太郎の帰りを待っているだって?

静恵に虐待されたこともあるのに!

晋太郎が、あんな女とずっと一緒にいたなんて!

それだったら、何故彼は自分に、警戒を解いてもらいたいなどと言ったのだろう。

彼は、自分がどれほど矛盾しているか自覚していないのか?!

紀美子は携帯を枕元に戻した。

目の前の料理が、急に味がしなくなった気がした。

心臓の痛みが彼女を現実に引き戻した。

彼女は、彼の言葉と嘘っぽい行動を見て、もう簡単には信じられなかった!

数分後、晋太郎が病室に戻ってきた。

紀美子が冷めた表情で、ベッドに呆然と座っているを見て、彼は眉を寄せた。

「何故食べない?」

晋太郎はベッドの縁に座って、「左手じゃ箸が使えないから?」と尋ねた。

紀美子はゆっくりと視線を取り戻し、冷たい口調で言った。

「もう、帰っていいよ」

晋太郎の目つきが厳しくなり、もっと冷たい口調で言った。

「同じ言葉を何回繰り返させれば気が済む?」

「ここに残ってもどうにもならないでしょ?」

紀美子は厳しい声で彼を問い詰めた。

「帝都にはあなたを必要とする人が沢山いるでしょ、なんでここに残るの?!」

晋太郎は、彼女はどうしたのかと戸惑った。

さっきまで何も無かったのに、なぜ急に反抗してくる?

「そこまで俺に帰ってもらいたいのか?」

晋太郎は冷たい声で聞いた。

「そうよ!」

紀美子ははっきりと答えた。

彼がそこまで静恵のことを残したいのなら、彼女には、もう、2人の幸せを壊すつもりは無かった!

晋太郎のオーラが急に冷たくなり、「紀美子、俺が何を間違ったというんだ!」と言った。

それを聞くと、紀美子の怒りは一瞬で湧き上がり、負けずに言い返した。

「間違ってるなど、一言も言ってないわ!

ただあな
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