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第503話 否認している

「だけど、極秘結婚だとの噂が広まったわ……」紀美子が言った。

「それは彼らの憶測にすぎない、僕は認めているわけではない」翔太が答えた。

紀美子が返事をしようとしたとき、スマホの画面上に新たなトレンドニュースが表示された。

【渡辺会長が緊急入院!Tyc女社長の豪邸入りは確定!?】

紀美子:「……」

言わずもがな、本当に記者たちは大げさだ。

ブンブン——

紀美子が記者たちの大げささに辟易としている間に、佳世子からの電話が鳴った。

電話を取った途端、佳世子の笑い声がスピーカーから流れ出た。

「紀美子、笑っちゃうわ、ライブ配信見た?ネットの皆さんのお話は面白いわ!」

頭を抱えるような気持ちで眉間を押さえる紀美子。「なんであなたまで騒いでるの?」

「違いますよ」佳世子は笑いを堪えきれずに続ける。「今、本当に興味があるのは、彼らが真実を知ったときのあきれ顔がどんなものかってこと。奥さんが妹に?ショック百年?!犬猿の仲?『家族』の一言でこれほど想像力を膨らませるなんて……」

紀美子は振り向き、背後の窓から景色を眺めながら。「今は本当に気分が良さそうね?失恋から立ち直ったの?」

「あら、教えてなかったわね、私、晴君と仲直りしたの」佳世子が言った。

紀美子は驚いた。「そんなに早く?」

「へへ」佳世子は笑って言う。「土曜日に彼が私を両親に紹介するの」

佳世子が本当に楽しそうなので、紀美子も一緒に喜んだ。「おめでとう、やっといい人を見つけることができて良かったわね」

「結婚するときは、絶対に君だけが私のウェディングドレスのパートナーにしてもらうからね!」佳世子が言った。

紀美子:「私は子供がいるから、適任じゃないわ……」

「私が良いって言ったんだから適任よ!誰かが異論を唱えるなら、黙らせてみせるわ!」佳世子は鼻で笑った。

紀美子:「あなたは本当に暴君みたいね」

「小悪魔で十分!」佳世子は話を変えた。「渡辺のおじいさんが入院したこと、本当に気分が良いわ!」

紀美子はその言葉を聞いて、昼間電話で聞いた渡辺おじいさんの言葉を思い出した。

彼女の瞳が暗くなり、冷たく言った。「自業自得ってことね」

渡辺のおじいさんが入院しても、紀美子の中には少しも同情がない。

彼女はかつてその人の手によって命を奪われかけたからだ。だから、いくら血縁関係があっても、
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