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第368話 じっくりと話そうか

 狛村静恵はあざ笑うことに堪えきれなかった。

MKを森川次郎に渡さなくても何の問題があるというの?

森川貞則は森川晋太郎の実力を利用して、彼が勝ち取ったものをすべて次郎に渡すことができる!

状況が晋太郎の方に有利になればなるほど、今後MK社が更に強く発展することが証明される。

彼女は次郎の妻にさえなれたら、以後は何でも手に入れられる。

如何せん貞則が一番気に入った息子は次郎だったから!

しかしそこまで考えたら、静恵の顔には一抹の悶々とした表情が浮かんだ。

また随分と長い間次郎と連絡が取れなかった!彼は一体何をしているのか?

静恵が焦っている最中に、後ろの美容師がうっかり彼女の髪の毛を引っ張ってしまった。

「痛っ……」

静恵は悲鳴を上げた。

美容師は吃驚して、慌てて手を退いて謝った。「申し訳ございません、狛村様!うっかりしてしまいました!」

静恵はスッと立ち上がって美容師を睨みつけ、いきなり手を上げて彼の顔に思い切り平手打ちをした。

彼女は尖り切った声で叫んだ。「お前、死にたいの?!この、手先の不器用な出来損ないが!!」

美容師は手で顔を押え、涙を堪えながら謝った。「申し訳ございません!狛村様、気をつけます!」

静恵は美容師に睨みつけてから漸く座った。

その時、彼女の携帯は急に鳴り出してきた。

静恵はイラつきしながら携帯を見ると、次郎からメッセージを見てすぐに明るい表情に変わった。

彼女はメッセージを開いた。

「悪い、最近ちょっとした事故に遭って、今は病院で療養中だ」

静恵は驚いた、「怪我でもしたの?大丈夫?どの病院にいる?」

「心配するな、静恵。ニュースを見たけど、あれは君がメディアに教えたのか?」

静恵は動きが止まり、彼は何を言っているのだろう?自分がメディアに情報を漏らしたことで怒っているのか?

もし他の人に知って貰いたくなかったら、なぜ最初に注意してくれなかった?

静恵は試しに聞いた。「何故次郎さんは私だと思っているの?」

「君1人にしか言ってなかったから」

静恵はまた聞いた。「もしそれが私だったら、次郎さんはどうするの?」

「がっかりだ、俺は君を信用していたからそのことを教えたのに、君が私の許可無しでそれをメディアに漏らしたんだ」

静恵は焦ってきた。「次郎さん!私はすべてあなたの為にそうしたのよ!あなた
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