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第360話 星瀚遊園地

日曜日。

紀美子は白芷と三人の子供たちに約束していた。今日は遊園地に連れて行くと。チケットを予約した後、紀美子は子供たちと白芷と一緒に出発した。

遊園地に着いたのはちょうど十時だった。

11月も近づき、気候はとても快適で、寒すぎず暑すぎず、すべての乗り物も稼働していた。

白芷は遊園地の入口から、中央にある最も高い観覧車に目を奪われていた。

紀美子は白芷の気持ちを察して、「白芷さん、観覧車に乗ってみたい?」

と尋ねた。

「そうね」白芷は観覧車を見つめながら、遠い目をして呟いた。

「誰かと一緒に乗ったような気がするわ……」

「私知ってる!」

そばでゆみが笑いながら言った。

「きっとおばあちゃんの彼氏よね!」

紀美子は苦笑いを浮かべ、

「勝手に言っちゃダメよ」

ゆみは舌を出して、

「ママ、おばあちゃんに冗談を言ったの」

白芷は首を傾げ、「彼氏?」と聞き返した。

紀美子は話を逸らし、

「白芷さん、ゆみが勝手に言ってるだけです。観覧車に乗るなら、あとで行きましょうね」

白芷は笑みを浮かべ、

「そうね。まずは子供たちと一緒に他の乗り物に乗ろう」

「おばあちゃん万歳!」

ゆみが喜びの声を上げ、白芷の手を引いてバンパーカーのエリアへ駆け出した。

紀美子は佑樹と念江も連れて歩いて行った。

渡辺家のほうでは、

静恵が寝ぼけている間に記者からの電話がかかってきた。

静恵が電話に出、眠そうな声で「何?」と尋ねた。

「狛村さん、こちらでは記事を書きましたが、今公開するのが良いと思いますか?」

静恵は時間を確認し、あくびをしながら

「早いわね。書いたら公開して。電話をかけてくるのは暇なのかしら?」

記者は笑いながら「了解しました。すぐ公開します」

静恵は電話を切り、スマホの中で晋太郎の写真を探し出した。

彼女の指先は晋太郎の美しい横顔に触れ、残念そうに——

晋太郎,あなたをこんな目に遭わせるのは嫌だけど,あなたが私を突き離したからよ。あなたが恨むなら,恨むべきは紀美子だ。

十分も経たないうちに,記者が公開した情報はすぐにトレンドのトップに躍り出ていた。

この事態を知った杉本肇の顔色が変わった。彼はすぐに晋太郎に報告した。

病室の中では、

晋太郎はトレンドを見つめ、怒りで目を血走らせていた。彼の整った顔には恐ろしいまでの怒り
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