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第257話 絶対におかしい。

 工場の共同管理を担当する副工場長は、工員を避難させるための措置をとる中で火傷を負っていた。

 紀美子が来ると、彼はベッドから急いで起き上がり、「入江社長、いらっしゃいましたか」と言った。

 副工場長の妻も立ち上がり、椅子を譲りながら「入江社長、どうぞお座りください」と言った。

 紀美子は笑みを浮かべ、後ろのボディーガードに目をやって果物を置くように指示した。

 そして彼女は椅子に座り、「副工場長、警察が既に調書を取ったが、細かい点についてはまだ聞きたいことがあるの」と言った。

 副工場長は「もちろんです。こちらの管理不行き届きで、ご迷惑をおかけしました」と答えた。

 「お金のことは些細な問題で、皆さんに大きな問題がなかったことが一番重要よ」と紀美子は柔らかく答えた。

 副工場長は「入江社長はやはり私たちのことを第一に考えてくださっているんですね。正直言って、工場がどうして火事になったのか、私にも全く見当がつきません。

 火が出たのは布地を保管している倉庫からでしたが、毎日念入りに点検をしており、火の元になるようなものは見つかりませんでした」と説明した。

 紀美子は「ええ、警察もそう言っていた。放火の可能性も否定できないと言っている」と言った。

 副工場長は憤然として、「それは間違いありません!倉庫は閉鎖されているにもかかわらず、警報が鳴りませんでした!そのとき、誰も警報音を聞かなかったんです!」と言った。

 副工場長の妻も同意して、「そうです。私たちが作業しているときには、何の異変も感じませんでした。

「気づいた時には、もう火が広がっていました。すべてが絹と綿だったので、燃えるのも早かったです」と付け加えた。

「その日、何か怪しい人物はいなかった?今は思い出せなくても構わないけど、後で何か思い出したら、ぜひ教えて」紀美子は言った。

「入江社長、もし何か思い出したら必ずご報告します」副工場長は答えた。

紀美子は彼らと少し話をした後、病室を出た。

階段を降りようとしたとき、携帯が鳴った。

紀美子は携帯を手に取り、佳世子からの電話だと確認し、電話に出た。

佳世子の心配そうな声が聞こえてきた。「紀美子、ニュースは見たわよ。昨日忙しかったみたいだから、今電話してるの」

「分かってるわ」と紀美子は力なくエレベーターのボタンを押しながら答え
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