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第106話 顔を立てる必要はない。

 静恵は書斎に駆け込み、泣きながら問い詰めた。「お爺様、紀美子を連れ去ったのはあなたですか?

私のためだとわかっていますが、もしそうなら、彼女を解放してくれませんか?」

野碩の顔色が曇った。「静恵、あいつが君の前でどれだけ傲慢だったか忘れたのか?

晋太郎を諦めるのか?結婚も?」

静恵は泣きながら首を振った。「お爺様、別荘で晋太郎は私を絞め殺しそうなくらい怒っていました。

私は晋太郎を取り戻せると信じています。

でも、紀美子がもし何かあったら、私たちの関係は完全に終わります。彼は私の子供を堕胎させると言いました」

「本当にそんなことを言ったのか?」野碩の目は陰鬱な光を放った。「そうだとしたら、顔を立てる必要はない!」

静恵の心は震えた。野碩が本当に紀美子を拉致したのか?

でも、晋太郎とはまだ仲たがいしたくない。

彼女の心の中には、すでにこの男がいたのだ。紀美子はいつでも対応できるが、今じゃダメだ! !

静恵は涙に濡れた顔で懇願した。「お爺様、お願いです。今回のことで彼女は十分に恐れたはずです。

もう晋太郎を奪おうとは思わないでしょう。

それに、私はもう三ヶ月の身重です。今堕胎することになったら、体に大きなダメージを受けます。

将来妊娠できなくなったら、私は終わりなんです」

野碩は少し驚いて、「君は、あまりに心がやさしいな。

そうだ、彼女を連れ去ったのは確かだ。南郊区の人里離れた家に閉じ込めている。

あと二日待とう。もし彼女が生き延びたら、放してやろう」

野碩が譲歩したことで、静恵は内心大きく安堵した。

この機会を利用して、晋太郎の誤解を解かねばならない!

しかし、静恵が知らなかったのは、翔太が全てを聞いていたことだ。

情報は取った後で、彼はすぐに晋太郎に音声を送り、

そしてコートを着て南郊区へ向かった。

別荘で。

メッセージを受けて、晋太郎は全ての対話を聞き終えた。

最後の一句を聞いた時、晋太郎は血の気が引いた。

すぐに杉本に南郊区での捜索を指示し、多くの人手を送り込んだ。

車で出発しようとした時、静恵から電話がかかってきた。

晋太郎は陰鬱な顔で電話に出た。

「晋太郎、南郊区よ。具体的な位置は分からないけど」静恵は言った。

晋太郎は返事をせず、電話を切った。

この件、渡辺家との決算は遅かれ早かれ必ずすること
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