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第6話

「ダメだ!結婚式は延期できない。早く大司と結婚して、早く子どもを産まなければ、私たち芦川家を安定させられない、分かるか?」

「お前が遊んでいるのは父さんが何も言えないが、必ず大司と結婚して!」

「姉の死のことは他の人には知らせるな、家族だけが知っていればいい、分かったか?」

父の口調は厳しく、母も圭織も彼に逆らうことはできなかった。

圭織は不満そうに部屋に戻り、私は仕方なくついていった。

最初から最後まで、この三人は私を気遣う言葉を一言も言わなかった。

これで初めて、私が彼らにとって全く重要な存在ではないことを知った。

少なくとも泣くと思っていたが、今はわかった。そんなことありえない。

もしまだ生きていれば心が痛んでいただろうが、私はもう幽霊だ。

失望が積もると麻痺してしまうものだ。私はとっくに麻痺してしまったと思う。

ただ、なぜ私がこんな風に囚われているのか、なぜ意識が存在しているのか不思議だった。

圭織が悔しそうにベッドを叩き、適当に大司にメッセージを送った後、洗面を済ませて寝た。

翌朝、芦川家の三人は墓地で私の葬儀を簡単に済ませて立ち去った。

圭織はきれいな服に着替え、健太郎のSNSを開いた。

彼女はドキドキしながらメッセージを編集したり消したり、何度もやり直して、ようやく健太郎にメッセージを送った。

「お兄ちゃん、重要なことを伝えたいの。姉についてのことなんだけど、会える?」

健太郎の返信は早くて簡潔だった。

「時間と場所を決めて!」

圭織は嬉しそうにレストランの住所を送った後、外に出た。

彼女の様子からすると、健太郎に会いたくてたまらないようだった。

私は仕方なく圭織についてレストランへ行くと、健太郎はすでに待っていた。

彼の表情は真剣で、圭織が「お兄ちゃん」と呼ぶ間もなく、健太郎はすぐに本題に入り、彼女の目をじっと見つめて訊ねた。

「春奈はどうした?大司にいじめられたのか?それとも何かあったのか?」

圭織は驚き、少し失望した様子で言った。

「会うたびに、先に挨拶してくれないの?春奈だけに関心を持ってるの?」

健太郎は眉をひそめ、「圭織、春奈のことじゃなければ、僕はお前に会いに来ない。忙しいんだ!」

「前回
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