第5話

健太郎は私の元彼なのに！

当初、私は健太郎と婚約寸前で、彼は私の婚約者と呼べる存在だった。

圭織のせいで、両親に彼と別れさせられた。

私は振り返って圭織を見ると、彼女は笑顔で、健太郎を引き寄せようと手を伸ばしたが、健太郎は避けた。

それでも彼女は全く気にせず、彼女の鹿のような目は健太郎を見つめていた。

頭の中の記憶が一気に戻り、私は息を呑んだ。圭織は健太郎を好きだった！

そうだ、私が卒業間近だった時、圭織は私の学校に入りたがって、私を困らせていた。

その時、私と健太郎はインターンシップや就職活動に忙しくて、彼女をあまり気にかけていなかった。

しかし、彼女は私の妹だから、学校ではどうしても接触があり、こうして圭織は健太郎を知ることになった。

その後、私と健太郎が一緒にグラウンドを散歩したり、図書館で本を読んだり、食堂で食事をしていると、よく彼女と会った。

彼女はいつも健太郎の近くに寄り添い、「お兄ちゃん」と呼んでいた。

その時期、彼女は私をあまり困らせることはなく、私は彼女が大人になったのだと勘違いしていた。しかし、まさか彼女が私の彼氏に目をつけるとは思わなかった。

彼女は大司に心を寄せながら、健太郎の前では好意を示していて、本当に私の良い妹だ。

健太郎はどうだろう？

彼は圭織を好きになるのだろうか？

考えたくもなく、胸が苦しくなった。

圭織に問い詰めたい衝動を抑え、私は急いで搭乗口に向かった。

飛行機に乗ってからようやく落ち着いた。

健太郎が誰を好きでも、私には関係ない。もう彼とは何もなくなったのだから。

心をリラックスさせ、旅に出た。

三ヶ月の間、病気に苦しめられながらも、多くの国を巡り、見たことのない美しい風景を堪能した。

旅の途中で多くの志を同じくする友人とも出会った。

病気に打ち勝つことはできなかったが、この数ヶ月は私の人生で最も幸せな日々だった。

旅行を終え、帰国した直後に入院しなければならなかった。体がもう限界だった。

私は誰かに頼んで墓地を購入してもらい、その後、静かに死を待った。

一週間も持たずに亡くなってしまった。

この人生がこんな風に終わるとは思ってもみなかった。

まさか私は幽霊になり、圭織