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第6話

ここ数日、浩平は頻繁に寺を巡っていた。

彼の傍らにいる私は、彼の不安な声がはっきりと耳に届いた。

「住持様、ちょっと見てもらえませんか?僕、何か不吉なものに取り憑かれてませんか?」

心の安らぎを求めて、彼は高額な法事を予約し、さらに様々な民間の霊媒師を訪ね回っていた。

後ろめたい気持ちから、できる限りの手段を試してみようというわけだ。

一方で、彼の出国手続きも急ピッチで進んでいた。

彼にとって、すべてが順調に進んでいるかのようだった。

私さえ追い払えば、安心して出国できる。

私の死は、まるで塵のように跡形もなく消えてしまうだろうと。

彼はすでに、私が産後うつで自殺したという証拠を偽造し始めていた。

しかし、私は手出しをためらっていた。

毎晩、彼は子供部屋に座り込んで、ぼんやりとそこに佇んでいるだけ。

時折、彼は自分に言い聞かせるように呟く。

「お前の心が弱かったから、自殺を選んだ。子供をこんなにも幼いままで母親無しにするなんて、自分勝手すぎるだろう?」

「すべてはお前のせいだ。僕のせいじゃないんだ。ほんの少しの懲らしめをしただけで、大したことじゃない」

彼は娘を抱き、軽く揺らしながら、じっと彼女を見つめていた。

何をしようとしているのか、私には理解できなかったが、異常なほどに抑え込み、迷っていた。

そして、ある日、私ははっきりと見てしまった。出国手続きの書類には、娘の情報が含まれていなかった。

ちょうどその時、愛織は娘のためにミルクを用意していた。

何かが引っかかり、二人が抱き合って眠る隙を見て、私は力を消耗して愛織のスマホを開いた。

私は確かに見た。そのミルク缶は宅配便で届いたのに、オンライン注文の履歴にはその購入情報がなかった。

慌てて確認していると、通知が来て、「1日間のおやすみモード」に設定された隠しメッセージが急に現れた。

「品物は届いた?気をつけて使って。会話は消すのを忘れないで、影響が及ばないように」

メッセージを辿っていくうちに、私の魂は燃え上がるような感覚に襲われた。以前にも、愛織はこの連絡先からある物を購入していたのだ。

その三文字が目の前で光るのを見たとき、私の魂は震えた。

【流産薬】

抑えきれない怒りと怨みが込み上げ、部屋の温度は急激に下がり、飾られた小物が飛び交い、抱き合って眠っていた二人
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