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第89話

真弓は達也を一瞥した。

たくさんの言葉を和彦の前で言えなかった。

和彦が達也の目つきを見て、これ以上を聞けなかった。

達也の邸で昼飯を食べて、和彦を昼寝させてから離れた。

達也が見送ってくれた。

運転手が車を稼働させた。

達也と真弓が後部座席に座り、少し静かだった。

「樋口さん」真弓が言い出した。

「ええ」達也が彼女に目を向いた。

「私は確かにいっぱい汚点のある過去があるが」真弓が言った。「でも、軽い女ではない」

「......」達也が明らかに戸惑った。

「貴方は優秀で、沢山の人に好かれて、積極的に好かれた。否認しないよ。誰でも美しいことにあこがれて、貴方のせいでも彼女のせいでもなく、ただし私の価値観では、それを見受けできない。貴方と友達になれて光栄に思う。これ以上、なにも望んでない」

車が丁度真弓のマンションに着いた。

真弓は車を降りて、去って行った。

謎だらけの顔をしている達也が置き去りされた。

彼は運転手を見て聞いた。「彼女は何を言ったのか分かる?」

「......」運転手が瞬く間に緊張した。

年取った彼は若者の愛情など分かるわけがなかった。

それでも、真弓の意図をびくびくして説明した。「若旦那様が浮気心と言ったでしょか?」

「僕はそう見えるの?」達也が眉を引き上げて聞いた。

「外見から見ればね......若旦那様がハンサムですから、女から見れば安心できないでしょう」

「......」

だから。

彼女をキスして、間違ったのか。

彼女に体を見せても間違ったのか。

今、格好がいい事でも間違ったのか。

......

あの「不愉快なこと」が終わってから。

真弓は忙しくなってきた。

星野グループの新品発売の件に専念した。

達也からも積極的に会いに来なかった。真弓の話を聞いて分かったかも分からなくて、とりあえず、二人の関係が冷めて来た。

会長室。

真弓は少し緊張してきた。

今日から秋の新品発売初日だった。

この前のCMとトレンド入りは最高の効果を得られた。礼子も非常に勤勉で、宣伝するだけでなく、普通の私服でも星野グループの服を着ていて、時にはパパラッチに写真を撮られるのを気づいたら、ポーズをしてわざと服を上手く撮影されるようにした。メディアから「もっとも勤勉なタレント」に取り上げられた。
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