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Novels by maruko

幸せの選択

幸せの選択

ルルーシアは年に一度だけ帝国から王国への旅を許されていた。 生まれ育った王国に両親のお墓があるからだ。 だけどルルーシアの目的はお墓参りだけではなかった。 大好きな幼馴染のマークに会うのも楽しみにしていた。 「何時か騎士になってルルーシアを迎えに行くから待ってて」 そう言ったマークの言葉を信じていた。 学園を卒業して商会で働くルルーシアの元に一通の手紙が届く、マークの妻からだった。 悲しみに暮れるルルーシアを支えてくれたのは従兄のカイルだった。 ※作者の妄想の産物です 設定などゆるゆるですが広い心でお読みください
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Chapter: 7
リシュエドからの連絡は意外にも早かった。カイルは喜々としてギルドに向かう、3日前と同じ受付の女性はその時と同じ様に「其方で」とだけ告げる。前回と違うのはあまり待たされなかった事だろう。同じ扉から出てきたリシュエドは右手を胸に当て頭を下げて「いらっしゃいませ」と言いながら左手でカイルを中へと案内した。中でも前と同じくクリーム色のソファに促されるまま座った。リシュエドがテーブルに3つ資料の束を並べていき「こちらから順にお読みください」と言った。言われるまま最初の資料を手にしたカイルの目の端でリシュエドが茶の準備をしているのが写る。始めの資料はマーク・セドワの家族構成だった。両親、兄、妻、子供二人、各々の年齢までしっかりとある。兄の所にはご丁寧にカッコ書きで(廃嫡)とあった。2つめの資料はマークの生い立ちだった。乳母の話まで書かれていてかなり詳しいものになっていた、やはりと言うべきかそこにはルルーシアにも触れていた、幼馴染として。3つめは結婚の経緯が書かれていたのだが、それは概ねあの手紙と内容が合致した、これによりあの手紙に書かれていた事は全て真実だったと言わざるを得ない。資料をテーブルに再び置くとリシュエドに薦められるままお茶をひとくち口にした。カイルが読み終えた余韻に浸っているとリシュエドの方から先に話し始めた。「マサラン帝国、ドーマ子爵令息のカイル殿で間違いないでしょうか?」「ここは依頼主も探るのか?」カイルは少しばかり威圧的にリシュエドに返答した。するとリシュエドは両手振りで否定しながら焦ったように続きを話し始めた。「必要とあらば確認の意味で調べる事はありますが、今回はそういう訳ではありません。初めに貴方が貴族ではないかとお話した時点で大凡の見当は付いておりました。これから私が話す内容は個人的な事です。ただどうしても叶えていただきたい願いがあります」カイルはリシュエドの声に耳を傾けながら彼が何を言い出すのか興味が出てきた。─この段階で個人的な話とは何だろう─少しだけ躊躇いながらもリシュエドはカイルに向き合いその願いを伝えた。「もし、今回の事がルルーシアに関係することなら私にも協力させて頂きたいのです」カイルは驚愕する、彼はルルーシアの知り合いなのだろうか?彼の願いがそれを物語っているように感じた。通りでルルーシアに関
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-25
Chapter: 6
カイルはルルーシアから渡された手紙を片手で受け取りもう片方の手はルルーシアの背に回した。優しくそっと撫でながら手紙に見入った。「シア、この事は彼から聞かされていなかったの?」未だ泣いてるルルーシアに残酷な事を聞かなければならないカイルは彼女の返事を待った。だけどルルーシアはもう言葉を発する事が出来ないほど嗚咽しながら首を縦に振った。そんなルルーシアをカイルはギュッと抱きしめて「少し調べて見るよ、手紙の事が本当か如何かは解らないだろう?」カイルの言葉にルルーシアはハッとして彼を見上げた。その瞳には少しの希望を抱いたようでカイルは自分の言葉を軽率だったと少し後悔する。「シア、全て調べるまで取り敢えず手紙の事は無理かもしれないけど一旦忘れて。それから彼に手紙を書くのは調べ終わるまで待つんだ」「⋯⋯わかった。カイル、ありがとう」「他ならぬシアの為だよ、なんてこと無い」幼子にするようにルルーシアの髪を撫でながらカイルは安心させるようにニッコリと笑った。◇◇◇カイルは先ず隣国へと自ら赴いた。人を使って調べても良かったがカイルは自分の目で確かめたかったのだ。そして自分が密かに愛するルルーシアの幼い頃からその心を掴んで離さないマーク・セドワという男の顔も見てみたかった。列車を降りて周りをキョロキョロと見やる。先ずは、父ドーマ子爵の妹でルルーシアの母の墓参りに向かった。王都のその場所は小高い丘を抜けた場所にある共同墓地。花を手向け跪き祈りを捧げたあと向かったのは、そこを管理している教会。カイルはそこで“ある事”が可能なのか宗教上問題ないかを訊ねに行った。その答えを聞いて彼は安堵して王都の町で探偵ギルドを探した。地の利の無いカイルが頼れるのはギルドの存在しかないのだが、この国に存在するのかは解らない。少し高級な宿屋を取り、部屋に案内してくれた男に質問すると意外にも簡単に知る事ができた。探偵ギルドが闇でも何でもないことにホッとする。闇で組織している国もあると聞いたことがあったから、その場合だと法外な金額を提示されるからだ。教えてもらったギルドに向かう。受付の女性は愛想のない声で「そちらで」と言った。おそらく“待て”ということなのだろう皆まで言わない、その朴訥な案内にカイルはこのギルドは信用できると何故か確信した、全く根拠はない、
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-23
Chapter: 5
その手紙から夫人の悲痛な叫びの様なものをルルーシアは感じ取った、と同時にそれはルルーシアの叫びでもあった。その手紙にはセドワ伯爵夫人がマークと婚姻に至った経緯も認めてあったのだが、その年月にルルーシアは驚愕する。ー4年ー夫人とマークは既に夫婦となって4年の歳月が経過しているという、二人の間には子も二人いて2歳と1歳の年子だという。元は夫人はマークの兄の婚約者だった、セドワ伯爵家の嫡男であったその兄は夫人と婚姻前に平民の女性と懇意にしており、子供まで儲けていたという、そしてその行為が時期伯爵家当主の資質とは認めないとマークの父である前伯爵が判断して、彼を廃嫡にしたのだそうだ。その際、彼の婚約者であったミレーヌがスライドしてマークの婚約者になったという。それが今から5年前だった。一年の婚約期間を経て二人は婚姻して、そのままマークはセドワ伯爵家を継承している。ルルーシアはそのどれもをマークから一言も聞いてはいない。ミレーヌがルルーシアの存在を知ったのは一人目の男の子を出産した直後だと書いてあった。その際にマークへ確認したところ唯の幼馴染だと聞かされたそうだ。だがその後、よく観察していると頻繁に手紙が届いていることを知り滔々前伯爵夫人を問い詰めて真実を知ったそうだ。手紙には夫の心を返して欲しいと書かれてあった。返して欲しい返して欲しい返して欲しい手紙を読み終えたルルーシアの頭の中でその言葉が繰り返される。どうして?返して欲しいのはルルーシアの方だと思わず目に入ったマークからのプレゼントだったネックレスを掴んで引き千切った。鎖はいとも簡単に千切れてルルーシアの足元に落ちる。「如何して!如何して!如何して!」ルルーシアの嘆きの言葉は段々と大きくなってそれは廊下にも聞こえていたようだ。慌てて中に飛び込んで来たのはカイルだった。彼はルルーシアに駆け寄りその手を優しく握った。「シア!如何したんだ!血が流れているではないか、何故こんな怪我を?」ルルーシアは知らずに文机を叩きながら慟哭していた。鎖を千切ったときか叩いた机での事か、そのどちらもなのか、ルルーシアの手は血塗れになっていた。◇◇◇カイル自らルルーシアの傷の手当をしながら彼は彼女に起こった何らかの出来事に胸を痛めていた。(シアがこんなにも取り乱すなんて今まで無かったこと
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-18
Chapter: 4
始めは平民のまま王立学園に通うルルーシアには貴族との軋轢があった。如何取り繕ってもルルーシアは13歳迄は平民達の中で生活していたから、やはり所々にそれは出てしまう。校舎の死角でよく令嬢たちに囲まれた。ルルーシアは平民として入学しているのに身につけているものが明らかに貴族子女と同じ、いやそれ以上の物もあったからだ。ドーマ子爵家は爵位こそ下位だが内情は公爵家並に裕福だったからだろう。マリーヌの兄であるドーマ子爵は商売に関しても領地経営に関しても鬼才を放つ程に優秀な男だった。令嬢達に囲まれてドレスを汚されたり、嫌がらせで文具を壊されたりする度にルルーシアの心のケアをしてくれたのは、従兄のカイルだった。カイルはルルーシアの二歳上だったが、学園にはあまり登校していなかった。成績優秀な彼は学園で学ぶよりも父親の商談に付いて行くほうが、将来的に良いと考えていたからだった。だがルルーシアの学園の様子を知るとそれからは積極的に登校するようになり、昼食も一緒に取ってくれるようになった。それは一年だけの重なりだったけれど、その間にルルーシアは友人を作り学園生活を滞りなく過ごす事が出来るようになった。帝国での生活でカイルの存在はルルーシアの心の支えだった。その感情をルルーシアは“兄の様”と位置付けた。ルルーシアが17歳になった頃、帝国とカザス王国の鉄路が継った。それからは毎年鉄道で王国へと旅した。相変わらずマークは優しく会うと全身で愛情を表現してくれる、言葉にしてくれる、少しも惜しまずに。だからルルーシアもマークへの思いを彼に惜しまずに返していた。それでも何度か誘われたけれど伯父である子爵との約束だけは守った。必ず二人っきりならないように気を付けて、カフェに入ってもルルーシアの侍女が様子を伺えるほどに近くに座っていた。「シアは平民なのに侍女を付けてもらってるの?」マークの疑問は尤もだったが伯父の意向だからルルーシアには、その理由も解っていない。だからそのままをマークに伝えるしかなかった。「ふぅん」ルルーシアの言葉に不満そうにマークは唇を尖らせたが、その様子が可愛いとルルーシアは思ってマークの心理までには考えが及ばなかった。それからも月日は流れ、とっくの昔に成人も過ぎたのにマークはルルーシアを迎えには来なかった。彼からの手紙も態との様に婚約
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-16
Chapter: 3
帝国の子爵家ではルルーシアは手厚い歓待を受けた。母の兄である子爵家当主はルルーシアの行く末を案じてくれて、学園に通う事を薦めてくれた。マリーヌが亡くなるまでは簡単な読み書きや計算を教えてくれたから、難しい本でなければルルーシアは読むことができた。自分の境遇を考えてそれ以上学ぶ事はないと思っていたルルーシアは学園に通わせてもらえる事を殊の外喜んだ。ルルーシアは知らないことを知る事に貪欲だった。学園は15歳で入学する事になるため、それまでは貴族のマナーや知識を学んだ。平民でもマナーを覚えておく事は損しないからと伯父には言われていた。14歳の春に伯父からの提案でルルーシアは王国へ行く事を許された。頻繁に届くマークからの手紙を伯父も気にしてくれていた。「ルルーシアは彼の事が好きなのかい?」伯父に聞かれた時、ルルーシアは真っ赤になりながら頷いて「はい」と答えた。「約束をしているの?」「何時か迎えに来てくれると言ってくれました」ルルーシアは嬉しかった言葉を伯父に話した。「そうか、でもまだルルーシアは成人していないからね、それまでは迎えが来ても賛成は出来ないよ。大人になるには心身共に成長しなければならない。それ迄は待てるかい?」「はい、伯父様。私⋯成長します!」きっぱりと言い切るルルーシアを子爵は眩しそうに目を細め、彼女の頭を優しく撫でてくれた。「では、年に一度マリーヌの墓参りを頼めるかな?私も仕事があってなかなか帝国を離れられないからルルーシアが私の代わりに花を手向けてほしい。そして彼にも会いたいだろう?だけど気を付けるんだよ。密室で二人になるのだけは駄目だ。それは私との約束だよ、いいね」伯父の言葉に頷いたルルーシアはそれから毎年春になると王国へと向かった。伯父は護衛と侍女を付けてくれて送り出してくれる。ルルーシアは優しい伯父に常に感謝するのだった。◇◇◇両親の墓はカザス王国の王都の端に位置する少し小高い丘の先の共同墓地にある。孤児院にいた時のお墓参りでは丘に登る手前で毎年マークが待ってくれていた。帝国に行って初めてのお墓参り、マークには手紙で知らせたが来てくれるだろうか?ルルーシアは少しだけ不安だった。果たしてマークは何時もの場所にいた。護衛と侍女に伴われて現れたルルーシアを見て、目を見開きながらも直ぐに笑顔で手を上げて
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-16
Chapter: 2
汽車が動き出して直ぐに窓の外は大小の建物が視界を流れていたが、暫くすると自然の木々や草原、畑が広がるのが見えた。長閑なそれを見ながらルルーシアは今までの事を振り返る。ルルーシアの両親は何方も帝国の貴族の子女であった。父のディスターはタイラー侯爵家の三男で、母のマリーヌはドーマ子爵家の次女だった。ディスターとマリーヌの母親同士が友人だったので二人は幼い頃より親しくしていた。その縁で二人は婚約を結ぶことになる。婚姻をしてしまえば何方も生家を離れるため平民になる。ディスターは将来の職として騎士になる事を選んだ。マリーヌも騎士の妻になるために子爵家で働く使用人達から家事を習いながら、婚姻の準備を進めていた。あと2ヶ月で結婚式という所で二人にとっての思いがけない事柄が起きた。帝国の皇女が常から気に入っていたディスターに自分と結婚するようにと言い出したのだ。幸いにしてまだ皇室よりの正式な話ではなく皇女が直接ディスターに話をしただけだったが、何時正式に皇家から話が舞い込むかわからない。断れば何方の家にも不利益になる事を考えたら二人の選択の余地も時間もあまりなかった。ディスターは皇家お抱えの騎士であったが職を辞してマリーヌと手を取り合い隣国のカザス王国へと駆け落ちした。流れの傭兵になるつもりだったが思いがけず王国の騎士団に所属する事が叶った。そこで生活を始めた二人の間にルルーシアが産まれて親子三人の慎ましくも幸せな時間が過ぎていく。だがルルーシアが3歳の頃父ディスターが第二王子の護衛中に命を落とした。本来ならば職務中の事だから王家がある程度の補償をしてくれる筈だった、だが今回の護衛を第二王子は正式に騎士団に要請したものではなく、また何故その場所にいたのも不明な完全なお忍びであった事と肝心の第二王子はそれ以来意識が戻る事も無く2ヶ月後に亡くなってしまった。何もわからぬままマリーヌとルルーシアは異国の地に放り出されてしまったのだ。だが幸いにもマリーヌはセドワ伯爵家の使用人として雇って貰う事が出来た。それはディスターの上司であるセドワ伯爵の温情であった。そこで伯爵家の次男であるマークとルルーシアは出会う。マリーヌが働いている間、幼いルルーシアを伯爵家に連れて行くことを許されていたからだ。ルルーシアは3歳年上のマークに懐き、そしてマークもルル
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-16
貴方の願いを叶えたい

貴方の願いを叶えたい

上位貴族の両親を持つにも関わらず庶子として生まれたティアナ。 早世した父の加護により死ねないティアナ。 幼い頃から精神的に虐げられてきた彼女が幸せを掴むまでの物語。 ※全て作者の妄想の産物です 広い心でお読みください
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Chapter: 最終話 貴方の願いは
ディアナ・ルーストの処刑から半年後、二人は帰国した。|写真《父》の部屋で何時ものロッキングチェアに座り、いつものように父を見上げるティアナ。帰国前にメイナード夫人との会話を思い出す。ティアナは夫人に自分の死なない体のことを『起死回生』という魔法の事を訊ねてみたのだ。メイナード夫人はその魔法の事を知っていた。そしてそれを聞いたティアナは父の想いを知ることになった。『起死回生』という魔法は他者に自分の魔力を分け与える物だという。自分の死の間近に発動する渾身のもの。ただ人は死ぬ時にやはり自分の生を願う。それほどの力が有るならば瀕死でも治癒が使えたのではないかとメイナード夫人はティアナに教えてくれた。自分の生を反故にしてもティアナの事を思って自分の魔力を捧げてくれた父に何とも言えない気持ちがティアナに湧いて来た。ティアナが魔力を持っていたらクロードの魔力がそのままティアナに受け継がれていた事だろうと、残念ながらティアナは魔力持ちではなかった為『起死回生』のみが体に宿ったということらしい。「お父様⋯私、お父様に生きてて欲しかった。治癒が出来て生き延びる事ができるのであれば私に渡すのではなくて、治癒して生きてて欲しかった」クロードが渾身の魔法で半分はティアナへ、あとの半分で元妻を死に至らしめた事を知らないティアナは、写真に懇願するように話しかけていた。(ごめん)聞こえる声はきっとティアナの中に残るクロードの魔力から発せられているのでは?とメイナード夫人は言っていた。何故かそれが自分の腹に有ると決めつけたティアナは両手でお腹を擦り亡き父を思うのであった。──────────────帰国したティアナは学園には通わずそのまま卒業試験だけを受けて卒業した。悲しかったけれどルルーニアとはあのままだった。彼女からの手紙の返信には『ごめんなさい』と一言だけを送った。いつかマリアンヌが立ち直り回復するまでは会えないと思う。ティアナの事を恨んでいるかもしれないけれどロットバリーと少しも軋轢を生む行為はしたくない。義父であるマキシムの言うとおり無理難題を押し付けているのはサリバン公爵家なのだから。それから二人は結婚式に向けて途轍もなく忙しくなった。ロットバリーは魔法省を辞めて次期トラッシュ公爵に成るべく後継者教育にも励まなければならなかった。テ
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-03
Chapter: 執行
ソルジャー王国ではメイナード公爵家の別邸に滞在させてもらうことになった。前公爵夫妻の住まいは落ち着いた雰囲気で中で働く人たちも働き者ばかりであったので、ティアナは何不自由なくその邸で過ごせていた。前公爵夫人に庭園にてお茶会に呼ばれたのだが、その庭園は圧巻の出来であった。計算しつくされたように設置されてるガゼボには過ごしやすいようにソファなども置かれている。ここへ来てティアナとロットバリーは別行動となっていた。ロットバリーの魔力解放と魔法への指導に魔力のないティアナが助けになる事も同じく学ぶ事もないからだった。ティアナは単に観光に来たように過ごしていた。だがその日々はティアナには癒やしの日々でもあった。幼い時からの精神的な苦痛や最近の洗脳による疲弊でティアナの脳も心もクタクタになっていたのであろう。何もせずにただお茶を楽しみ観劇をして、街中でショッピング。偶にメイナード公爵の幼い二人のご息女と継嗣に遊んで?貰う。それらは確実にティアナの心を解きほぐしていった。ソルジャー王国で過ごして一ヶ月が過ぎた頃、緑髪の紳士この国の王宮魔術師団長であるロバットにティアナは話があると言われた。呼ばれた部屋には現メイナード夫人のアディルとその側近であるマリーも一緒にいた。「ティアナ嬢、呼び出してすまないが⋯貴方には選択をしてもらおうと思っている」そう切り出したのはロバットだった。この国に拘束していたディアナ・ルーストの処遇が決まったそうだ。「彼女ね、全く話さなくてそのままでは証拠不十分で大した罪には問えなかったの」アディルが話してくれたのは、精神干渉は魔力残滓だけでは証拠にはあまりなり得ないそうで、それに本人の自供がくっついて罪に問われるそうだ。だがディアナはこの国に来てからも口を閉ざしてしまった。だが危険な彼女を野放しにする事も出来ないし、秘密裏に消すなんてことは王命でも他国のことだから口が出せない。だからこの国の禁術で彼女の過去を調べたそうだ。そして彼女が三人の殺害、二人の洗脳、その他にも脅迫などの余罪もあったけれど、三人の殺害という時点で死罪は確定したそうだ。「君達の国は魔法の知識はお粗末だったけれど、この国にはない技術も持っていた、今回それと引き換えにロットバリー殿に魔法の指南をする事にしたんだよ」ソルジャー王国も魔力持ちはそん
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-03
Chapter: 解けた洗脳
夕食後マキシムから執務室に呼ばれた。ロットバリーのエスコートでティアナはソロリソロリと廊下を歩く。昼に読んだルルーニアの手紙から元気のないティアナをロットバリーが気遣う。「ティアどうかした?」かけられた声にそっとその方を見上げる。相変わらず背高のっぽの彼は心配そうな顔でティアナを見ていた。そんな彼を見て何時もと違う感情がティアナに湧き出る。(愛おしい)好きだ、大好きだ、愛してるそんな気持ちは随分前から思っていたけれど、庇護したい程に愛おしいなんて思ったのは初めてだった。その感情にティアナは少しばかり戸惑った。(自分の感情なのに私変ね)ただロットバリーを守りたいと思ったのは初めてだった。守られていたティアナが唐突にロットバリーを守りたいと思った。ロットバリーの心配そうな顔へ向けてティアナは首を横に振った。「何でもないわ、ただあなたの事がとてつもなく好きだなって⋯」頬を染め上げロットバリーに答えていた。執務室に辿り着いた二人は顔が真っ赤なままマキシムに促されソファに並んで腰掛けた。マキシムの話しは今後の二人についての話しであった。「ティアナ、以前このトラッシュ公爵家の成り立ちについて話したのを覚えているかい?」マキシムはそう切り出した。「えぇお義父様、魔力を持つ者だけが継いでいくという事でした」ティアナの返答にマキシムは頷いて微笑みながら次代はロットバリーに継がせようと思う、そうティアナに自分の決意を話してくれた。「ティアナの行方不明に尽力してくれたソルジャー王国の魔術師団と話して、このターニア王国が如何に魔法というものを廃れさせてしまっていたか気付かされたんだ」マキシムは苦い顔をしながら話してくれたのは、以前少しだけ見かけた緑髪の紳士との話だった。そしてこの国の魔力というものが、いつからか何の発展もせずに来たことを知らされた。まさか、マキシム達を宝の持ち腐れと揶揄されたとは驚きだった。ティアナなど魔力も持ち合わせていないのに⋯⋯。「魔力というものは持っているだけでは魔法が使えないそうだ、魔力を解放しなければ何の意味もないと言われた、その方法を我々の国は知らなかったから今回のような時に対応出来ないのだと思い知らされた」「では今回のディアナ・ルーストは⋯」「あぁ彼女は魔力の解放をしていて魔法を駆使していたんだ、だ
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-03
Chapter: 葛藤
|お父様《写真》の部屋に花を飾って久しぶりにロッキングチェアに座り壁を見上げると、何時もと変わらずクロードの微笑みがティアナに降り注ぐ。先程事件のあらましをマキシムから詳しく聞いたティアナは今尚困惑の中にいた。マキシムからの話しに無いものがきっと洗脳部分だとティアナには解ったけれど、あんなにリアルな出来事が全て魔法だった事が信じられなかった。ディアナ・ルースト彼女が自分にどんな恨みを持っていたのだろうか?その動機の部分にはまだ自供が無くて不明なのだとか⋯。「お父様⋯私」それ以上写真の父に何を話していいのか⋯言葉に詰まってしまった。そしてミランダが御見舞に来てくれて、ルルーニアからの手紙を預かってきていた。その事もティアナの心に影を落としていた。どうやらマリアンヌも洗脳されていたようだ。それもティアナよりもかなり前から、ストーカー行為自体が洗脳による物だったと知った皆は、何故か当然のようにロットバリーに救いを求めた。支えてあげて欲しいと⋯⋯。それを頑なにロットバリーが拒んでいるのをティアナに説得して欲しいと認めてあった。無神経な親友の本当の気持ち。きっとルルーニアにとって姉のマリアンヌは大事な大事な道標だったのだろう。尊敬していた姉が洗脳によって堕ちてしまった。藁をも縋る思いでティアナに手紙を送った事が文面から伺えた。だが⋯気持ちは解るがティアナの心が拒否している。「ロットの気持ち次第だけれど⋯私は⋯嫌なの。だって私以外の人を支えるロットなんて見たくないし⋯でもねお父様。マリアンヌ様は食事もしないそうなの、家族の支えではどうにもならないとルルーは言ってるの。それを無視なんて⋯出来なくて⋯でも嫌なの、私⋯どうしよう」物言わぬ父に話しかけるティアナは答えを乞うけれど返事は当然返ってこない。ただロットバリーの愛の言葉を繰り返し思い出しては弱い自分の心に刻むのだ。ロットバリーの願いを叶えるために。『先ず大前提を覚えてほしい。それを脳裏に刻んでくれ!俺はティアを愛してるんだ』(ロット⋯これが今の貴方の願いよ⋯⋯ね?)
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-03
Chapter: 愛の言葉
トラッシュ公爵家にそのまま帰ってきてしまったティアナは戸惑いを隠せなかった。数ヶ月前にはそこに住んでることが日常だったのに、知らぬ場所に連れてこられた感が否めなかったのだ。一つは公爵邸にロットバリーが住んでいることへの違和感だったかもしれない。そんなある日ティアナはロットバリーに誘われて公爵邸の庭園を散策した。エスコートではなくしっかりと握りしめられた手、巷で流行る恋愛小説の中に出てくる所謂恋人繋ぎで歩く庭園は恥ずかしさと戸惑いとそしてロットバリーから醸し出される安心感。ティアナの顔は真っ赤なまま庭園の端に設置された東屋に到着する。「ティア」呼び掛ける声は前のままなのに気持ちの変化があったのはティアナの方だったのかもしれない。「ティア、ゆっくりと話しをしたかった」その言葉で、こちらに帰ってきてから彼とは話していないことにティアナは気付いた。彼の願いはティアナの死だった筈なのにと、洗脳の解けている筈のティアナはまだ混同していた。「ティアは洗脳されていたんだ、だけど俺達にはどんな洗脳だったかが解らない。そして何故君があの場所に居たのかも解らないんだ。俺達の中では君は刺されたあと公爵家で治療を行っていた。それは覚えている?」「えぇ覚えているわ」「刺したやつの顔は?」「見ていないわ、何故刺されたのかも解らない」「その時ティアは何をしていたの?」ロットバリーはティアナに質問を繰り返していた。そういえば刺された時、彼は隣国に行っていて会っていないことをティアナは思い出した。「貴方とはあの時お話していないのよね?」「そうだ、俺はサリバン公爵令嬢の件でほとぼりが冷める迄と言われて隣国に行っていたんだ」「そう⋯そうだったわ、そうよね」胸の内でそうだと繰り返しながらその時の事を思い出そうとするが、途端頭痛がしてきた。痛みに顔を顰めたからだろうロットバリーがティアナの体を気遣う。「ティア無理はしないでいい、でもこうやって記憶を手繰る事こそが洗脳を解く鍵なんだ」「そうなの?」「あぁ洗脳は脳に干渉する、無い筈の記憶を植え付けるから解いてもそこに残ることがあるらしいんだ、だからこそ解いたあとにケアしないとそれがそのままティアの記憶にすり替わってしまうんだよ、解いたのに解けてない、それほど危険な魔法なんだ」「あっという間に解けるのではなくて?
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-03
Chapter: 歪な関係 3
お祖父様の何かしらの関係のあるメリーナ・スティル女男爵。その方の名前を頂いた私は祖父にとってどんな存在だったのか?代わりなのか、それとも憎々しい相手を忘れることのないよう自分を戒めるために付けたのか。まぁ今更考えてもしょうがない。私が取り戻したいのは幼い頃に母が優しく呼んでくれた“メリーナ”という響きを渇望しているからだ。ある日お祖父様に呼ばれて冊子を一冊テーブルに投げられた。「此処へ行け」一言で終わる会話。会話とは一言では成立しないのに我が家の会話はいつからかこうなった。それもこれもあいつに会ってからだ。空気の重い公爵邸、何時しか私の住むそこが公爵家の領地に建てられたものだと知る。弱い母には悪いけれど逃げられるのなら逃げたくて祖父に言われて可能な限りの最短で女学園の寮に移り住んだ。幼い頃に会った事のあるユアバイセン侯爵家のナタリーヌは始め私を見下していた。公爵家といえども王都にいる《《分家》》よりも力のない名ばかりの公爵。父をそう揶揄して私を馬鹿にした。私は魔法を開花してその頃には色々な魔法を自分で調べて使えるようになっていた。その夜私は彼女の部屋に転移して首を絞めた。鍵のかかった部屋に突然現れた私に慄き尚且つ絞首された彼女は私への絶対服従を誓う。笑いが止まらない。魔法さえあれば私は唯一だ!祖父が何の意図で此処に私を送ったのか暫くは気付なかった。学園が始まるまでの余暇で彼の男爵家に様子を見に行くとそこに住む可愛らしい私と同じくらいの少女が目に入った。丁度馬車に乗り込むところだったので後を付けると二人はデートしていたようだ。呑気なものだロットバリー!ターゲットを観察する、私には手足となって働く男手がない。それを見つけることも急務だった。ナタリーヌに男爵家を調べさせた。その少女はロットバリーの婚約者だった、そして彼女は女学園に入学予定。祖父が何を私に求めているのかが解った。解ったけれど言いなりになるのに少しだけ時間を擁した。葛藤したが結局は彼女を苦しめることがロットバリーを苦しめることだと思い、ターゲットを彼女に絞った。名前も気に食わなかった。祖父の気分で変更された名前、一文字だけ違うそれが何とも歯痒かった。メリーナの時は同じにしたのに何故この女の時は一文字違ったのか⋯それが呪縛のように感じた。お前
ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-03
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