その愛は賞味期限切れ
白洲直人(しらす なおと)を十年間追い続けて、もう本当に飽き飽きしてしまった。
彼を諦めて、私を想ってくれる藤木一樹(ふじき かずき)と付き合うことにした。
一樹は街中で一晩中花火を打ち上げて、島を一つ買い取り、私にプロポーズしてくれた。
だけど、結婚式の前夜に彼は突然姿を消した。
彼を見つけた時、ほかの人にこんなふうに嘲笑っているのを聞いてしまった。「白洲直人を苛つかせたくて、わざと樋口清香(ひぐち さやか)を口説いたんだよ」
「手に入れたら、かえってつまらなくなった」
「でも引き下がるのも癪だから、結婚式から逃げて恥かかせるのって面白くない?」
だから私が先に逃げた。彼を街中の笑い者にしてやった。
その後、プライドの塊だった藤木家の御曹司が、西京中を探し回っても、行方不明の花嫁はついに見つからなかったらしい。