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愛は東から西へ

愛は東から西へ

病室のテレビにはパリオリンピックの開会式が映っている。 東国のカップルが記者のインタビューを受けている。 「本日で一番嬉しかったことは何ですか?」 画面の男性が声を出そうとした時、病床の母が激しく咳込みながら画面を指さした。 「菜月(まきこ)、あの男性は修也にそっくりじゃない?」 驚いて振り返ると、画面には北都に出張中なはずの夫が映っている。 今がまさにパリのオリンピック会場で、隣にいる若い女性の手を握りながら笑顔を見せている。 「一番嬉しかったのは、愛する人と一緒にオリンピックを観戦できたことです」 あらあら、どうやら八年間も付き合っているこの婚約者の私が、彼の愛する人ではないらしい。 なら、結婚しなくてもいい。 結婚式当日、徳山修也(とくやま しゅうや)は嗚咽しながら、私の居場所を尋ねてきた。 「菜月、本当に悪かった。もう一度チャンスをくれないか?」 私は観客席で母と橋本優海(はしもと れん)の手を軽く取って、ゆっくりと告げた。 「私は最愛の人と一緒にオリンピックを見ているのよ」
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消えた愛の行方

消えた愛の行方

結婚五周年の夜、楓は私の親友である静香を私たちのベッドに押し倒した。 その瞬間、幼い息子の声がカメラ越しに響く。 「静香おばさん、僕はドアの前で見張りをして、絶対にママを入れないから!」 静香は楓に軽くキスをして、微笑んだ。 「君の息子、なかなかいい子じゃない?恭子ともう一人、どう?」 楓は枕で彼女の顔を覆い隠し、冷たく言い放った。 「彼女の腹に残った傷を見るだけで吐き気がするんだよ」
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愛する価値がない

愛する価値がない

一緒にトマトを食べよう逆転愛人ひいき/自己中偽善不倫
私は安西礼人(あんざい あやと)と結婚して八年、そして九回離婚した。 彼が結婚した後の歴代の恋人たちにも、私はみんな会ったことがある。 彼が飽きて相手を替えるたび、私は彼が別れを切り出す理由として、一番都合のいい存在になっていた。 「もしあなたが彼と結婚したら、私みたいに、ずっと彼のトラブルを片付け続けて、何度も何度も離婚する。でも、結局何も得られないわ」 大晦日の夜、私は彼が捨てた女の子の涙を拭いていた。 そして彼は、新しい恋人に街中の注目を集める花火を捧げた。 その子はティッシュを一袋使い切ってもまだ泣き続けていた。 私は、かつての自分の姿を見た気がした。 だから私は、初めて自分から礼人に離婚を切り出した。 彼は珍しく戸惑っている。 「三日もしないうちにまた再婚するんだから、離婚する意味あるのか?」 私は笑って首を振った。 もう再婚しない。 礼人、今度は私があなたを待たない。
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愛よ!風に乗れ

愛よ!風に乗れ

平井雄也(ひらい ゆうや)は、眠りについていた。 なのに、枕元に置いてあった彼のスマートフォンが、真夜中に突然何度も、明るく光った。 私は奇妙な気持ちになった。そっと、そのスマホを手に取った。 「ヴィヴィアン」という名前の女性からのLINEメッセージが、何通も届いているのだ。 最後のメッセージは、彼に【おやすみ】と告げていた。 雄也のスマホには、私の指紋も登録してある。結婚して二年、信頼と尊重を築いてきたからこそ、今まで彼のスマホを覗いたことなど一度もなかった。 彼のことはよく知っている。誠実で、むしろ人付き合いが苦手なくらいの男だ。浮気なんてするはずがないと、私は思っていた。 それなのに……どうしても気になって、ロックを解除するボタンを押してしまったのだ。 そして、この胸が締め付けられるような、開けてはいけないパンドラの箱を、開けてしまった。
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愛が私を葬る

愛が私を葬る

旦那の幼馴染がエレベーターに閉じ込められ、30分も身動きが取れなかった。そのことに激怒した旦那は、私をスーツケースに無理やり押し込み、鍵をしっかりとかけた。 「恵音が味わった苦しみのその倍を、お前は耐えるんだ」 私は体を丸め、息が詰まりそうになりながら涙を流して謝罪した。しかし、返ってきたのは旦那の冷酷な言葉だった。 「きっちり罰を受けろ。そうしないと、反省できないだろう」 旦那は私の入ったスーツケースを押し入れにしまい、上からさらに鍵をかけた。 絶望した私は、必死にもがきながら叫んだが、血がスーツケースからにじみ出し、床を赤く染めていくばかりだった。 5日後、旦那はようやく心を和らげ、罰を終えることにした。 「今回は軽い罰で済ませておく。これで懲りただろう」 しかし、彼は知らなかった。私の体はすでに腐敗し、原形を留めていなかったことを。
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あなたのための、始まりの愛

あなたのための、始まりの愛

佐藤和樹(さとう かずき)と付き合って6年目。 私は「和樹、私、結婚するの」と言った。 彼ははっと我に返り、少し困ったように言った。「千尋、知ってるだろ。会社は資金調達の重要な時期なんだ。今はまだそんな気になれないんだ......」 「大丈夫よ」 私は静かに微笑んだ。 和樹は勘違いしている。 私は結婚する。でも、相手は彼じゃない。
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結婚三年目、愛のゆくえ

結婚三年目、愛のゆくえ

結婚三周年の記念日に、夫がケーキを買ってきてくれた。 上には「佐藤文音(さとう あやね)」と「古川聡(ふるかわ さとし)」、そして「結婚三周年おめでとう」の文字が書かれている。 ……心臓が止まりそうになる。 佐藤文音――それは私の名前じゃない。夫の秘書の名前だ。 嫌な予感がして文音のインスタを覗いてみると、やっぱりそうだった。 そこには本来なら私のはずのケーキが写っていて、「古川奈穂(ふるかわ なほ)」と「古川聡」と書かれていた。 【三周年なんだ、あの人も私を奥さんだと思ってくれてるんだね】 【インスタ消して!ケーキ、二つとも間違えて送っちゃった。嫁にバレたらどうする!】 そのやり取りを見た瞬間、全部分かってしまった。 夫のサプライズや甘い演出は、全部ふたり分用意されていたのだ。 スマホを握りしめたまま、思わず声を立てて笑ってしまう。 まだ誤魔化そうとする夫が、可笑しくてたまらない。 でも私はもう決めている。別れる、と。
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再会した元カレ上司は、私の愛娘の父親でした

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数年ぶりの再会は、会社の会議室でのことだった。 立花遥(たちばな はるか)の目の前に現れたのは、かつての恋人で、子供の父親でもある九条湊(くじょう みなと)だ。 子供を奪われるかもしれない。そして、今の生活を壊されたくもない――遥はただ、逃げ出したい一心だった。 「俺たちの関係はただの遊びだ」と、湊は言った事がある。だから遥は彼とあくまで上司と部下という関係を保つことにした。 周囲の女たちが湊に媚びを売ろうとも、彼が冷ややかな目で誰にもなびかない様子を、遥はただ他人事のように見つめていた。 一方、湊は誤解していた。遥が自分を捨て、すぐに他の男と結婚し、子供まで作ったのだと。 裏切られた憎しみで、湊は彼女を追い詰め、後悔させてやろうと画策した。 しかし、彼女が窮地にある姿を見ると、湊は隙をついて彼女に近づき、いっそ子供ごと自分のそばに置いて暮らしたいという衝動に駆られた。 湊は、真実を知った日、自分がしていた復讐は結局自分自身を傷つけていただけだと悟った。 「距離を置くって、あなたが言ったのよ」 そう言い返す遥の顎を強引にすくい上げ、湊は妖しく目を細めた。 「距離か、ゼロ距離にしてやってもいいんだぞ」
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愛が消え行く

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俺の彼女は、法医だ。そして、俺は今、彼女に恨みを持つ凶悪犯に拉致されている。 凶悪犯に脅され、体に巻き付けられた爆弾の残り時間は、わずか10分。 犯人は俺に彼女へ電話をかけさせたが、受話器から聞こえてきたのは、怒り心頭の罵声だった。 「晴人、いい加減にして!嫉妬で気を引くために命までジョークにするつもり?知也の猫が三日間も木から降りられずにいるんだよ。知也があの猫をどれほど大事にしているか知ってるでしょう! この救助を邪魔したら、あなたは人殺しだわ!」 電話の向こうから、若い男性のあざとい声が聞こえてきた。「ありがとう、姉御。姉御、すごーい」 そして、その男が、彼女の幼馴染だ。 爆弾が爆発する直前、俺は彼女にメッセージを送った。【さようなら。来世があっても二度と会いたくない】
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マジ!社長と同棲した後、会議でバレた!

マジ!社長と同棲した後、会議でバレた!

社員大会で、私は部長に名指しで批判された。   部長が、誰かが私の仕事に対する態度に問題があると報告したので、すぐに説明するよう求められた。   私の顔は会議室の大画面に映し出され、まるで公開処刑のような状況だった。   焦っていた時、社長の顔がスクリーンに現れた。    「何が問題なんだ?話してみろ」
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