幼稚園のイベントで、夫が幼馴染の息子の父親になる
幼稚園のファミリーデーで、夫である城崎剛は会社の用事を理由に参加を拒み、さらに私と娘の立夏にも行かないようにと言い出した。
娘のしょんぼりした顔を見ると、胸が痛む。結局、私は一人で立夏を連れて行くことを決めた。
幼稚園に到着した瞬間、目に飛び込んできたのは、片腕に男の子を抱き、もう片方の手で幼馴染の小山琴菜の手をしっかり握る城崎剛の姿だった。
笑顔を浮かべ、楽しげな雰囲気を醸し出している様子は、まるで本物の家族のようだ。
私と立夏の姿を目にすると、城崎剛は一瞬眉をひそめ、慌てて小山琴菜の手を放した。
「砂羽、誤解しないでくれ。小山さんはシングルマザーで、子育てがどれだけ大変か分かるだろう。今日は神楽ちゃんの5歳の誕生日なんだ。少し父親の温もりを感じさせたかっただけだ」
私は意味深な目を彼に向けると、静かに娘の小さな手を取り、優しく言った。
「立夏、叔父さんに挨拶して」
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