フィアンセの叔父と結婚した
家族の食事会の席で、母は数枚の男たちの写真を取り出し、私に誰と縁を結びたいかと尋ねた。
今世、私はもう北原辰也(きたはら たつや)を選ばない。ハンドバッグから一枚の写真を取り出し、母に差し出した。
写真に写っていたのは、北原辰也の叔父であり、北原家の実権を握る男、北原拓海(きたはら たくみ)だった。
母は驚きを隠せない様子だった。何年も北原辰也を追いかけていた私を知っているからだ。
だが、母は知らなかった。前世の時、北原辰也と結婚した後、彼がほとんど家に帰ってこなかったことを。
仕事が忙しいのだと、私はそう思い込んでいた。誰かに聞かれるたびに、すべての責任を私自身に引き受けていた。
結婚20周年の記念日、彼が長年鍵をかけていた箱を、誤って壊してしまうまでは。
そこで初めて知ったのだ。彼が愛していたのは、最初からずっと、私の妹だったということを。
彼が家に帰らなかったのは、ただ私を見たくなかったから。
しかし、結婚式の当日、私が北原拓海に指輪を差し出した時。
北原辰也は、狂ったように取り乱した。