この世界のどこかに、アヒルたちが平和に暮らしている国がありました。その国の名前はアヒル帝国。とてもやさしい皇帝アヒルが治めている国です。そんな国の外れ、カラス王国との国境付近の森に、1羽で住んでいる変わり者のアヒルがいました。名もなきアヒルはある日、森の中で小さな小さなカラスの子どもと出会いました。これは変わり者だけどやさしいアヒルさんと、小さな小さなカラスの子どもの楽しい日常のお話です。 さてさてカラスの子どもを自宅に連れ帰ったアヒルさんですが、まずなにをすればいいのかわかりません。アヒルさんにはつがいはおらず、もちろん子育ての経験もありません。ともかくカラスの子どもが弱っていることはわかるので、どこかケガをしていないか調べることにしました。 あちこちきょろきょろ。あちこちさわさわ。あちこちツンツン。特にケガはなさそうです。喉が渇いているのかもしれない。アヒルさんはグラスに水を注ぐと、カラスの子の口元に差し出します。でもカラスの子に飲む元気はないみたい。困ったアヒルさんはグラスにストローを差し、そのストローの先端をカラスの子のくちばしに差し込んでみました。すると弱々しくですが、カラスの子は水を吸ってくれました。お水を飲んで少し落ち着いたのか、カラスの子の呼吸が穏やかになり、アヒルさんもひと安心です。 次はなにかを食べさせた方がいいだろうか。アヒルさんは考えます。とりあえずお庭に出ると立派なリンゴの木からひとつ実をもいでくると、皮ごとすりおろしてみました。それを木でできたスプーンでカラスの子のくちばしの中にいれてみます。カラスの子はゆっくりとですがリンゴを飲み込みました。そうしてリンゴを食べさせ終わると、アヒルさんはカラスの子を自分のベッドに寝かせました。その顔を心配そうに覗き込みながらその夜は更けていくのでした……。
Terakhir Diperbarui : 2025-03-31 Baca selengkapnya