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第十一話

「なんかすごく運命的じゃない?」 「……偶然って怖いよね」 勝手に盛り上がる史香とは対照的に、私は溜め息混じりの冷めた口調になった。「咲羅、なんでそんなテンション低いの?」 私としては、ここでテンションを上げる意味がわからない。  最初の出会いが衝撃すぎたから、正直この再会には戸惑いの気持ちのほうが大きい。「八木沢さんは社内で絶対モテると思う。咲羅は最初から一歩リードしてるよ!」 「……リード?」 そう言われても困ってしまう。  彼を見ていると、あのバーでのことが思い出されて、仕事がしづらいのだ。「もしかして、あんなイケメンを狙わないつもり? 向こうも偶然再会した咲羅を意識してるかもしれないのに」 「狙わないよ」 「なんで? 私にわかるように理由を言いなさい」 史香の言葉に素直に従い、自分なりにそれはなぜかと考えてみた。  体型は高身長で筋肉質だからストライクだし、顔はどちらかというと好みのタイプだ。  性格については合わないと決めつけるほど、まだ彼を知らない。「理由はとくにないかな。でも、史香だってあの人に興味ないんでしょ?」 「私は、二課の長谷川さん狙いだもの」 忘れていたけれど、彼女は最近、営業二課の男性社員である長谷川さんにかなりご執心だった。「ちゃんとした彼氏がいればさ、本城みたいな男に引っかからないで済むんじゃないの?」 史香の意見はもっともすぎて、反論の余地はない。  いくらその場の雰囲気に流されたとはいえ、一夜限りでも本城と関係を持ったのは大きな失敗だった。  だからといって、八木沢さんがいいのかどうかはまだわからない。  もちろん、本城と比べたら月とスッポンで、ずいぶんとマシな男性なのは間違いないだろう。  私を助けてくれたとき、ヒーローのように思えたから。  だけど私が一夜限りの男性と修羅場になっている場面を、彼は一部始終見ていたのだし、そんな女性は向こうがお断りのはず。 八木沢さんが転勤してきて一週間が過ぎた。  予想に反して、彼からなにも言ってはこなかった。  会話があるとすれば仕事の話ばかりで、バーで会ったことを微塵も感じさせない彼の態度に、やっぱり人違いだったのかもと疑いたくなってくる。  だけどこの日、私が仕事を終えて帰り支度をしているところに、八木沢さんが静かに歩み寄ってきた
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第十二話

 バーに着くと、いつものようにイケメンマスターが「いらっしゃい」と微笑んでくれた。  やはりここの雰囲気は落ち着いているので癒される。  私はいつものようにカウンターに陣取り、ホッと息をついた。「斗夜と会ったんだって? 会社で」 オーダーを取るついでのように、マスターがいきなりそんな話題を振ってきた。  八木沢さんとは友達だから気になったのかもしれない。  マスターのほうから話を切り出されたのが意外だったので、驚いて目が泳いでしまった。  別に挙動不審になる必要はないのに。「あ、……そうなんですよ」 「会社が一緒だったって聞いた。あの日、斗夜は引越しが終わったあと、この店に来てたんだけど、本当にこんな偶然ってあるもんなんだね」 「あははは」 とりあえず愛想笑いをしておいたが、顔は引きつっていただろうと思う。「実は、もうすぐ来ると思います」 「……え?」 「……八木沢さん」 私が少し言いにくそうに名前を出すと、マスターは「そうなんだ」と、にっこり笑った。「斗夜と待ち合わせだったんだ」 「いや、私はそういうつもりじゃないっていうか……」 待ち合わせというよりは彼に呼び出された形なのだと、言い訳をしたくなってしまう。「デートの場所がここでいいの?」 「え? デートではないですよ」 あたふたとする私を見て、マスターは吹き出すように笑った。  どうやら、私はからかわれたようだ。「斗夜はイケメンだしね」なんて、自分もイケメンなのに、マスターは友達を持ち上げていた。 マスターとそんなやり取りをして、少し時間が過ぎたころ、店のドアがおもむろに開いた。「待たせたかな」 慣れた様子で八木沢さんが私の隣に座った。  あの日と違って今日はスーツ姿だから、この前の私服よりもバーの雰囲気に合っている。「急に呼び出して悪いね」 「今日は用事がなかったので構いませんけど」 会社と同じように硬い口調と敬語を使っていたので、それを聞いたマスターが少し驚いたような顔をした。  私たちはただの会社の同僚で、八木沢さんは先輩だから当然のことなのに。「咲羅ちゃんと少し話がしたかったんだ」 だから誰にも誤解させないように、八木沢さんにも私を“白井”と呼んでもらいたいくらいだ。「まさか同じ会社だったなんてね。驚いたよ」 会社ではそんな話は一切
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第十三話

 それはモテ自慢なのだろうかと、あきれ笑いしそうになり、私はあわてて顔を引き締めた。「早く解放してくれって思いながらも、その子たちの話に耳を傾けてみたんだ」 モテ自慢のわりには、彼の爽やかスマイルはどこかに行ってしまっていて、苦い顔つきになっている。「そしたら……咲羅ちゃんの名前が出てきた。ほら、俺も営業三課で同じ部署だから」 「なんだ、そういうことですか」 彼が言いにくそうにしている理由がわかってしまった。  きっとその子たちから私の噂を聞いたのだろう。  想像できるのは、悪口のオンパレードだ。「咲羅ちゃんには気をつけろって言われたよ。まったく意味がわからないんだけど?」「はっきり言ってくれていいですよ。私は男遊びが激しいから近寄っちゃダメって?」 「……そんなところかな」 陰で言われそうなことは大体わかっている。  とくに八木沢さんを狙う子にとって、同じ部署の私は邪魔な存在で心配なのだろう。「咲羅ちゃんの評判悪いよね」 八木沢さんはこちらを向き、微妙な顔で苦笑いしているから、少なからず心配してくれているのかもしれない。「そうなんですよ、すごく嫌われちゃってるんです。気にしていないからいいんですけど」 「気にしないのか。やっぱり面白い子だよね。でも……俺は男遊びが激しいようには見えないんだけどな。なんであそこまで言われてるの?」 別に隠すことではないので、私が遊び人だと噂されるようになった経緯を話した。  私が話し終えるまで、八木沢さんは口を挟まずに静かに聞いてくれていた。「それってイジメだよな」 「まぁ……そうですかね」 女の陰険な部分を嫌だと感じたのか、八木沢さんが軽く顔をしかめた。「腹は立たないの?」 「立ちましたけど……向こうの神経を逆撫でするのも嫌だし、黙って無視するのが一番かと」 「でもそれだと、誤解したままの人もいる。せっかくかわいいのに、社内恋愛できないよ?」 かわいいと慰めの言葉をもらえたのはうれしいけれど、たしかに社内で恋愛をするのはもう無理だと私も思っている。  声をかけてくる男性社員は、身体が目的なのかもしれないと私も警戒してしまうので、真剣な恋はきっとできない。  ……そこまで考えたところで、ふと気がついた。  真剣な恋の仕方を、私は忘れてしまっていることに。
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第十四話

「私、真剣な恋のやり方を忘れちゃって出来ないですから……社内で恋愛できなくても別に大丈夫なんです」 今の自分の発言は……すごく枯れている。  今後私はこうやって、徐々に干物化していくのかもしれない。「まさかまた一夜限りの相手でも探すつもり? この前みたいな危ないヤツに引っかかるかもしれないし、やめといたら?」 「私にも学習能力はありますから!」 あんな目にあうのは二度とご免だと、私は咄嗟に眉をひそめた。  もっと男を見る目を養わなければと、今となっては大いに反省している。「それはよかった」 声に出して笑った彼の顔がとても綺麗で、イケメンは得だとつくづく思う。「だけど、彼氏がいないなんてもったいない。咲羅ちゃんはすごく魅力的なのに。良かったら俺と付き合ってみる?」 「おいおい、斗夜!」 八木沢さんは私の髪先をもてあそぶようにサラリと触れ、耳を疑いたくなるような直球すぎる言葉を投げかけてきた。  彼から漏れ出る男の色気が強烈で、私はそれにあてられたのか頭がクラクラしてくる。  しかし、話を遠くから聞いていたマスターが八木沢さんを制止した。 今のは口説かれたのだろうか。  そう考えると、私の心臓の鼓動が自然と早くなっていく。  いやいや、真に受けてどうするのだ。  八木沢さんは歯の浮くようなセリフを平然と言う男だと、前にマスターが教えてくれたのにと、心の中で自分を諭した。「斗夜、軽すぎ」 「いや、咲羅ちゃんなら大丈夫かなって思ったんだよ」 「お前、リハビリはどうしたんだ!」 ……リハビリ?  あきれ果てた表情のマスターに対し、八木沢さんはバツが悪そうに苦笑いしていたが、私にはふたりの会話がわからなくてポカンとしてしまう。  とにかく、私を口説いたのはジョークなのだろう。「あ、 咲羅ちゃんも俺と一緒にリハビリしない?」 「リハビリって……私は健康ですから」 「いや、それは俺もそうなんだけどさ」 八木沢さんはなにがおかしいのかクスクス笑っていて、会話がまったくかみあわない。「俺ね、今リハビリ中なの。……恋愛の」 恋愛のリハビリ中とはなんだろう?と、意味がわからないまま彼の話に耳を傾けた。「俺、ちょっと前まで遊び人だったって言ったよね?」 「あぁ……はい」 転勤を区切りに女性との縁を全部切ったと話していた件だ。
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第十五話

「俺は彼女たちのこと全員を好きだと思ってたし、一番とか二番とかなく平等だと思ってたけど。そうじゃなかったのかな、って今となっては思うんだ」 水滴の付いたグラスを持ち上げ、クイっと口に含ませる姿がカッコいいなと、目を奪われてしまった。「好きなようでいて、実は全員に本気じゃなかっただけなのかも……って」 せっかくこれだけカッコいいのに、している話の内容は最低だ。  八木沢さんに泣かされてきた女の子たちを気の毒に思った。「だから、ちゃんと本気で恋愛ができるように、その感覚を変えていきたい。こんな俺でもそうなれるようにしたいんだ」 どうして急にそれに気づき、今までの自分を変えようと思ったのか。  その理由はわからないけれど、八木沢さんは緩慢に笑って自分の思いを話してくれた。「咲羅ちゃんも一緒にリハビリしようよ。真剣な恋のやり方を忘れて出来ないって、さっき言っただろ? 一緒にそういうのを思い出そう」 サークルにでも勧誘するように言われても、二つ返事でうなずいたりできない。「テーマは“純愛”」 純愛……今さらだ。  そんな言葉は、私には似合わなくなってしまっている。「……クサいですね」 正直に感想をのべると、私の言葉が聞こえたのか、あははとマスターの笑い声がした。「俺もそれ聞いたときに最初はなにを言ってるんだと思った。けど、斗夜がそれを望むのは良いことだし、進歩だから」 「はぁ……」「大人になるにつれ、純粋だった頃の気持ちをついつい忘れちゃうもんだよね。適当に気の合った相手とくっ付いたり別れたり。もちろんする事だけはして」 マスターは、一般論を言っているのだろう。  八木沢さんや私のことも含まれているとは思うけれど。「だからね、俺も咲羅ちゃんが一緒にリハビリするのは賛成。ていうか、コイツと一緒にいろいろ考えてやってよ」 八木沢さんに視線を移すと、綺麗な顔でやさしく微笑んでいる。  真剣な恋のやり方を思い出すために、一緒にリハビリするもいいかもしれない。「中学生とか高校生のとき、咲羅ちゃんは彼氏とどんなデートした?」 「なんですか、急に……」 「俺はね、帰りに彼女と一緒にファーストフード行ったりしたな。学生だからね、休みの日に映画に行くので精一杯だったな」 「……私もそんな感じでした」 思い出すと懐かしい。  たしかにあの
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第十六話

*****「あ、それと白井さん、今夜リハビリ第一回目ね」 八木沢さんのデスクのそばで仕事の話をしていたら、彼は一番最後になんでもない口調で爆弾投下をしてきた。  私は内心ドキッと驚きつつ、自分の席へと戻って平然を装う。  バーでのリハビリの話については、私にはなにもデメリットがないようなので、面白そうだから少しだけ参加してみることにした。 仕事と、リハビリと言う名のプライベートは、きちんと分けようと私から提案した。  それなのに、今の奇襲爆弾はルール違反だ。  現代ではスマホという便利なツールがあり、彼にはメッセージアプリのIDを教えてあるのに、これではなんのために連絡先を交換したのかわからない。『リハビリの連絡ならメッセージに送ってください』 私は自分のスマホを操作し、愛想のない至極簡潔な文章を彼に送信した。『レストランを予約しておくよ。食事でもしながらリハビリしよう』 するとすぐさま私のスマホが点滅して、返事が来たことを告げた。  当たり前だが、どうやら彼はメッセージアプリを使えるらしい。  そのあと時間と場所を知らせる連絡が入り、私は仕事を終わらせたあと会社を出た。  指定された場所で少し待っていると、八木沢さんが微笑を浮かべながら颯爽と走り寄ってくる。「悪い、待った?」 この人は会社で見るより、外のほうがカッコよさは引き立っている。  手足が長くてスタイルがよく、色気が溢れ出ているので、これなら放っておいても女性が寄ってくるだろう。  そんなふうに思わず冷静に分析してしまった。「そんなに待ってないよ」 バーでの別れ際、八木沢さんが堅苦しいのは嫌だから、プライベートでは敬語はなしでと言ってきた。  そして、ズレた感覚を自覚することが大切なので、意見があるときはお互いに遠慮なくなんでも話し合うことにした。  考えてみると、私には本音で恋愛を語れる異性の友達がいない。  男性目線ならどう感じるのかと疑問を抱いても、今まで相談できる男性がいなかったので、気軽に聞ける相手ができたのは内心うれしい。「じゃあ、食事しに行こう」 「うん。レストラン?」 「ああ。でも俺、この辺りはよく知らないから、彰(あきら)に聞いたんだ。落ち着いた感じで、雰囲気の良い店はないかって」「……彰?」 「アイ
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第十七話

「俺のことも“斗夜”でいいよ」 「突然お互い呼び捨てって……別に付き合ってるわけでもないのに」 「まぁ、そうだけど。友達だと思えばいい」 軽く笑っている彼を見ていると、他意はないのだと悟った。  それにしても、下心のない男性とふたりで食事をするなんて何年ぶりだろうか。本当に気楽だ。「咲羅は、どんな男が好きなの?」 前菜のキッシュが運ばれてきて、その味をゆっくりと堪能しながら他愛のない会話をしていたはずなのに、唐突に斗夜が話題を切り替えた。「どんなって?」 「タイプとかあるだろ」 「そっか……」 好きな男性のタイプをなんとか捻り出そうと考えるものの、上手く思い描けず、言葉にもできない。  というより、あんまり今まで考えたことがなかったのだ。「見た目は……例の暴力男みたいな感じか?」 「は?」 ほんの一瞬、それが誰なのかわからなかったけれど、本城のことだ。  一刻も早く私の記憶から消し去りたい男なので、半分くらい忘れていた。「それは違う。居酒屋で飲んでて気が合ったと思っただけ。……誘われた勢いだよ」 あきれるような発言をしたはずなのに、斗夜は「そうか」と返事をしてワイングラスに口をつけた。「顔は別に……イケメンに越したことはないけど、とくにこういう顔じゃなきゃ嫌だとか、こだわりはないかな」 「性格は?」 「自分と合う人なら、それも別に。でも……軽すぎる人は嫌かも。信用できない」 「なるほど。重森くんはダメってことか。……あ、俺もだ」 やさしそうに目元を下げ、斗夜はキラキラとした笑みを見せた。  色気を含んだその顔は見とれるくらい綺麗で、彼のこういう表情にモテる要素があるのだと思う。「彼氏が軽い男だと、浮気されるから嫌なんだな?」 「いや、それは普通でしょ。……あ、堂々と何股もしてた斗夜にはわからない感覚か」 「あはは。痛いとこを突くね」 好きな相手に浮気されたらショックに決まっている。  なにを言っているのかと斗夜をじっと見つめると、彼はバツ悪そうに苦笑いしていた。「咲羅は俺より感覚がまともだよ。大丈夫。以前の俺なんて、それが最低だってこともわかってなかったから。でも……ひとりだけ、それはおかしいって言ってくれた子がいたんだ」 どこか懐かしむように、ふわりと笑った彼の顔に穏やかさが混じる。  その女性は斗夜
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第十八話

「正直、そんなに泣かれるとは思わなかったんだ。ほかの子は、嫌ならあっさりと去って行く子ばかりだったから。その子に泣かれて、そこで初めてひどく傷つけていたことに気がついて、もうそういう軽い恋愛はやめようと思った」 斗夜が自分の恋愛感を改めようとしたのは、その女性の影響だったのだ。  もしかしたら今でも斗夜の心の中には、その人がいるのかもしれない。「彼女とは……その後は?」 「俺がフラれて、それっきり」 「それでいいの?」 私の問いかけに、斗夜は目を細めてとびきり明るく微笑んだ。「いいもなにも、もう一年以上前の話だから」 「でも……」「今は、ほかの子たちと関係は切れてるけど、俺はまだリハビリ中の身で資格すらないんだ」 だけど斗夜の発言を聞く限り、リハビリを終えて、彼の言う“資格”とやらが出来たとき、もう一度その彼女とよりを戻したいのではないかと感じた。  彼女が今も斗夜を好きかどうかはわからないとしても、斗夜はいずれ会いに行きたいと思ってるに違いない。  これはきっと、彼女のためのリハビリなのだ。 斗夜にとって、彼女はほかの女の子たちとは違って特別で。  本気で好きだという自分自身の気持ちに、もしかしたら別れてから気がついたのかもしれない。  付き合っているときにそれに気づくことができていたなら、彼女を傷つけて別れずに済んだのにと、後悔があるのだろう。「俺の昔話はこれくらいに。恋愛って、お互いを知るところからだと俺は思うんだけど」 「それは私も同感」 「俺たち、相手をよく知りもしないで行動するからダメなんだろうな。いいなと思ったらすぐ付き合ったり、関係を持ったり」 「斗夜と一緒にしないでよ!」 本城のことは棚に上げ、私は即座に反論してしまう。  斗夜と私は似た者同士だとわかっているのに。「私はすぐに付き合ったりしないよ。無職とか、変な性格の人は嫌だし、そういう部分は重要だから」 斗夜は私の言葉に驚いたようで、ポカンとしながらまばたきを繰り返していた。「咲羅はちゃんとした考えを持ってるんだな。でも、付き合うに値しない男とは一夜限りなわけか」 「ひとこと多い!」 どうやら私は図星を突かれると言い返す癖があるようだ。  だけど“一夜限り”は、もう絶対にしないと心に決めている。「普通の仕事ならなんでもいいのよ。きちんと働
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第十九話

 私が必死に否定したのがおかしかったのか、斗夜が声に出してあははと笑った。  働かずにフラフラしてる男性と付き合える女性のほうが少数派だろう。  お金はないよりはあったほうがいいし、貧乏すぎるのは困るけれど、“拝金主義”は言いすぎだ。「冗談だよ。咲羅は面白いな。飽きない」 褒められているのかどうかわからないが、「それはどうも」と苦笑いしてワイングラスに口をつける。「話してて楽しいのは重要だよ。そのうち、相手がどんなことに興味があるのか、もっと知りたくなっていくもんだろ。好きになる第一歩だと、俺は思う」 斗夜の意見は至極真っ当で、今言った感覚はズレていないと感じた。  むしろ、良いことを言ったと感心するほどだ。「でも、大人になればなるほど、だんだんそういう新鮮な気持ちが薄らいで、めんどくさくなるんだよね」 「咲羅もリハビリが必要だな。よし! 俺とシンプルなデートして、ピュアな感覚を取り戻すか」 下心のある男性ばかりと関わっていたから、ピュアな感覚なんて擦り切れて無くなった気がする。  果たして私の心の片隅にでもまだ残っているのだろうか。  今、ぼうっと聞いていたけれど、私は斗夜とデートをすることが決まったの?  ……いや、それもリハビリのうちだ。「今度の日曜、俺とデートね。もちろん昼間に」 「昼間ね。わかった」 いちいち、そうやって下心がないことを宣言するところが斗夜らしい。「買い物に行こう。俺、引越しでいろいろ買い足したいものがあるから、付き合ってよ」 「うん、わかった」 健全な買い物デートなんて久しぶりだ。  バーで初めて会った日に、斗夜が私の分まで会計を支払ってくれたことにようやくお礼を言えた。  だから今日は私がご馳走すると提案したのだけれど、斗夜は断じてそれを許してくれなかった。 そして、夜道は危ないからと、わざわざ私の住むアパートの前まで送ってくれた。  もちろん、送り狼しようなんて気持ちは微塵もなく、部屋に上がろうとせず帰っていく男性は久しぶりだった。 そして、約束の日曜日がやって来た。「うわ! 絡まった!」 斗夜との待ち合わせの午前十一時が迫る中、私は未だにドレッサーの前でヘアアイロンと格闘していた。『明日はデートなんだから、服装はオシャレに。相手が俺でも手抜き禁止』 昨夜、斗夜から釘を刺すよう
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第二十話

 だけど自分磨きもリハビリのうちだ。  たまにはオシャレをしないと女として干からびていくかもと、そんな恐ろしい顛末が頭をよぎり、すごく久しぶりにお気に入りのワンピースを着て、丁寧にメイクを施した。  そして今は、自分の髪と戦っている。  ふんわりとした上品な巻き髪にすれば、メイクとの相乗効果で、普段の私とはガラリとイメージが変わるはず。  斗夜は今日の私を見て、驚いた顔をするだろうか。  なんだかドッキリを仕掛けているみたいで面白い。 髪が綺麗に巻けたところで壁の時計に目を向けると、もう出かけないと間に合わない時間になっていた。  慌ててパンプスに足を突っ込んで玄関を出る。  たまにしか履かないこの靴も、ヒールが高すぎなくて上品だからお気に入りだ。 待ち合わせの場所に赴くと、スラリとスタイルの良い男性がすぐに視界に入った。  深いブラウンの髪は、一番最初に会ったときのようにふんわりと緩くセットされていて、白っぽいシャツと黒のジレにブラックジーンズを合わせた服装だった。  美容師がやるようなモノトーンなスタイルが目を見張るように素敵で、私は数秒間じっと見惚れてしまった。 休日の朝から本気でメイクをして、髪もかわいく巻いて、こちらが驚かせようと思って来たのに、これでは逆だ。  それを少しばかり悔しく思いながらも、まだ私に気づいていない斗夜に声をかける。「お待たせ」 振り返った斗夜が私を目にした途端、ポカンとしたまま固まった。  そのあと我に返ったように、口角を上げて笑顔になる。「見違えた」 「そう? いつもよりかわいい?」 「ああ。かわいすぎてビックリした」 お世辞でも褒められるとうれしいものだ。 『いつもと同じだ』などと言われたら、朝から気合いを入れて頑張った自分が報われない。「ヤバい。俺、咲羅にハマりそう」 斗夜は目を細めて私に近づき、緩く巻いた髪先に触れる。  彼の一連の言葉と動作に、女慣れしているなと感じてしまった。  男性なのに指先まで綺麗で、さらに色気があるなんて反則だ。「あのね、斗夜は誰にでも言うからダメなのよ?」 未だに近くにある斗夜の瞳と視線を合わせ、私は静かな口調でたしなめた。「そういう発言は、女の子はうれしいの」 「だったら問題ないだろう」 「斗夜が言うとお世辞に聞こえないから」 斗夜
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