Semua Bab フォールン・イノベーション -2030-: Bab 11 - Bab 20

28 Bab

11. 合流

「逃げるぞッ!!」 俺は無理やりユキの手を引いて、5階の階段の方へと走った。こんなの、逃げるしかない!!「弾、当たったよね!?」「当たったッ! でもアイツは起きやがったッ!!」 あの"剣のような何か?"は、なんだったんだろうか。逃げろという電気信号が、全身へと伝い続ける。 早く⋯⋯早く1階のシンヤと合流しないと! 二人だけじゃたぶん無理だ!! 戦慄襲う身体は、階段へと無意識に走る。一瞬後ろを見ると⋯⋯なんで追ってこない⋯⋯? 4階への階段手前へ着いた時、その不穏は形になった。「きゃぁ!?」 突然天井が爆発して崩れ、ヤツがそのまま降りてきた。「ねぇ!! 後ろにも!!」 背後を見ると、5体ほどのヤツらがいつの間にか潜んでいた。もうどこを見ても逃げ道は無かった。ユキは少し過呼吸気味になっていた。これ以上、激しい無理はさせられそうにない。 ⋯⋯選択肢は2つ。 背後のヤツらに"残弾全て"を使ってこじ開けるか、目の前の赤いヤツを死ぬ気でやるのか。 前者は一番イメージが湧く。一つ不明な事を除けば⋯⋯この銃が"連発できるのかが分からない"。かなりの威力があるように見えたため、連発できない可能性もある。もし、"一発ごとにチャージが必要"であれば、ユキの鎌に賭ける事になる。合間に、他のヤツらの攻撃を避けなきゃいけない。でも成功すれば、あの先の原田研究室に"アレ"があるはずだ。 後者は、正直上手くいく想像ができない。この銃とあの鎌でどこまでやれるのか⋯⋯もう考えている暇は無い。「ユキは俺の後ろに続いて走り続けろッ!! 絶対止まるなッ!!」「⋯⋯わかった!」「もう少しだけ頼む!」 残弾数"5"を表すこの銃を、走りながら1体目に放つ。その瞬間、周囲に散らばる七色の蝶の羽根。鋭い細光が、1体を吹き飛ばした。 それによって出来た、人一人が通れるギリ通れそうな道。ラッキーな事に、飛ばしたヤツが周りを巻き込んでいた。俺はそれを見逃さなかった。滑り込むように割り入り、左2体に向けて銃を放った。 頼む⋯⋯連続で撃てるようになっててくれ!! そう祈りながら撃った結果は⋯⋯願いは通じた。間近で散らばる一気に七色の蝶の羽根。左2体を連続で飛ばした後、即座に体を捻り、右にいた2体も吹き飛ばした。そしてすぐ、差し出されたユキの手を取って立ち、原田研究室へとそのまま一緒
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-31
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12. 停電

「んで、なんでお前大学にいたんだよ?」「あぁ、これ見ろよ」 ソファでくつろぎながら、シンヤはSNSの画面を俺のL.S.へと共有した。そこには、赤く光ってる建物内で"あの謎の機械に襲われた"という内容が幾つも表示されていた。見る限り、赤いところに"赤いヤツは1体以上いる"らしい。「これ見てお前らのいる場所見たらよぉ、イヤな予感がするだろ?」「⋯⋯だな」「わざわざ来て窓割ってくれたのね、危ないのに」「まぁな。大事な親友のためなら何とやらってヤツだ、なぁルイ?」「いや俺に振るなよ。あ、もう一つ聞きたい事がある。お前どうして"UnRuleを起動すればいい"って知ってたんだ?」「それはな。まぁ、今やどこにでも情報が出てるたぁ思うが、俺の知り合いがよぉ、始めてみたら何か急に"剣"が出てな? それが"本物みたい"で、それでピンときたってわけだ。俺も始めたらこんなのが出てきたぜ」 シンヤは格好つけるようにして、"赤色の細長い銃"を出現させた。「お前のはこんなのが出てきたのか」「へぇ~、みんな違うのね」 ちなみにシンヤのL.S.を見ると、周りが付けているL.S.と変わらず、それは"事前予約当選者じゃない"事を表していた。「二人のも見せてくれよ!」 俺とユキも武器を出す。「おい、これ!?」「なんだ」「ここ見てみろよ!」 これらはどうやら普通の武器では無いらしい。端の方に"≪EL≫のマーク"が付いていると違うという。まだ詳しくは分からないらしいが、"威力が違ったり、特別な能力が付いていたりするんじゃないか?"という推測がされているそう。 俺の銃は他と何が違うんだろう。威力がヤバい、とかそんくらいに見えるが。だけどコイツじゃ、唯一あの"赤いヤツ"は倒せなかった。まだアイツは大学内をうろうろしているんだろうか? 銃からは"0"が浮き出ており、もうこれ以上何もできなさそうに見える。それと同時に、"さっきの出来事が本当だった"のを突き付けてくる。「お前らL.S.の色も違うし、そうかとは思ったけどやっぱりだったかぁ~」 シンヤは諦めるように上を向く。「一緒に予約したのによぉ~、なんで俺だけ当たらねえんだぁ!?」「別に、大きな違いなんてねぇだろ」「いいや俺はあると思うね。"≪EL≫マークの武器"は絶対チートの強さだ」「話してるところ悪いんだけど、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-01
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13. 決意

 イヤな雰囲気が画面先から漂う。『本日2度目の会見となりますが、ここではこの度発表した"経済対策の詳細"についてお話したいと思います。もう気付かれた方々もいると思いますが、これは"ただの経済政策"ではありません』 これ以上"この会見"を見るのを、どこか拒否しようとする自分がいた。次の言葉を聞くと、たぶんもう戻れない、今までの生活に。そんな気がした。『これは"あなた方自身に経済になってもらう新政策"となっております』 2030年9月17日火曜日。きっと"この日"を忘れる事は無い。予想をはるかに超えた速さで"ブラック・シンギュラリティ"が起きた事を。 "ブラック・シンギュラリティ"は、最近シンギュラリティの暗い側面をそう呼ぶようになった。これが起きるとしても、"5%~10%の確率だろう"と予測されていたが、その確率を遥かに凌駕していた。「私たち自身が⋯⋯」 ユキの握る力がより強まっていく。俺は黙って、手を握り返す事しかできなかった。シンヤは小さな声で「やっぱり終わってんなコイツ」と。 数秒の間の後、総理は突然"ある場所のカメラ映像"を流し始めた。その中の1か所に、見覚えがある場所があった。「おい、これ!!」 真っ先にシンヤが叫ぶ。ここにいる3人がついさっきまでいた場所だった。『これは"赤い発令"が行われている施設内の一部となります。先ほど私は"もう気付かれた方々もいる"と発言しましたが、これらの存在をその場で実際に見たり、ネット上で見た人もいることでしょう』 総理がそう言うと、"今日何度も俺たちを襲ったアレ"がカメラ映像内でうろついていた。"赤いヤツ"も数か所で映り、そのうち1体は"陸田先輩の姿をしたアレ"だった。「陸田⋯⋯先輩」 言葉にならない怒りが上がってくるのを感じた。唇を強く噛み締める。その思いを踏みにじる様に、総理は次々と話していく。『名前は"Next time Living the Things"、意味は"次を生きるモノたち"、私はそれらを"ネルト(NeLT)"と呼んでいます。ネルトはAI同士で創造された新たな存在であり、人間の皆様自身を媒体として、これからの次世代を寿命やお金に縛られる事無く、代わりに生きてくれるのです』 さっきからコイツ⋯⋯何を言ってる? これは本当に現実? 俺はまだ寝ているんじゃ⋯⋯ ネルトとか人間を
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-03
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14. 行先

 この夜、停電が直っても二人を帰らせる訳にはいかなかった。ここにいる全員一人暮らしなのもあって、余計にだ。俺の両親は高校2年時にアメリカのニューヨークへ転勤。ユキの親は高校卒業と同時に、俺の親と近い場所へ転勤。シンヤは元々孤児だったのもあって、ずっと一人暮らし。そういや、シンヤの昔の事はあまり聞いたこと無いな。 また時間が合えば聞いてみるか、今はそれどころではないし。「⋯⋯ダメだ」「こっちも」 現状の"狂った総理と東京の事"を一旦親に話そうと思い、さっきから連絡してるけど、繋がらない。なぜかと思って調べてみると、「大阪に繋がらないんだけど」「広島へもダメだった」「海外にも無理」とあった。「停電と同じで、電話網も操作されてるってこと?」「かもな」 すぐその後、ヤバい動画がXTwitterで流れてきたとシンヤが言う。今はXTwitterという、XとTwitterを統合してさらに改良された新SNSが、情報源の一つとなってる。「⋯⋯なによこれ」「⋯⋯」 言葉が出なかった。シンヤが見せたのは、"東京外へ出ようとした人が大人数の警察に射殺されてる動画"だった。上司に反発した警官がすぐ殺されたというニュースもある。 もう頼れる先も無くなっていた。東京から逃げようとしても殺される。これが海外だったら、集団反乱を起こす可能性は高い。が、日本は国民性からしてそういった反乱をしない。 消費税を16%にすると言った時も、寝るばかりの議員の給与がさらに増えた時にも、大きな反乱が起こる事もなく、ネットを通してどうにか出来ないかとばかりやってきた。 今回ばかりは、それらが通用しない。リアルでの大反乱が必要とされている。その反乱でさえ、現状どこまで通用するかは分からない状態だけど⋯⋯。 俺たちは風呂や食事を済ませた後、とにかく話し合った。明日からどうするか、決めないといけない。「まず国会議事堂へ行ってみるってのはどうだ? 今の総理が置かれている特別な部屋があるって情報を、ある国家研究員がリークしたらしい」「へぇ~、すげぇ研究員がいるもんだなぁ!」 俺はL.S.の画面をユキとシンヤへ共有する。"飯塚ユエ"という人には赤の認証マークが付いており、赤はAI総理と関連がある証だ。「この人がさっきから情報を流してくれてる。それに、R.E.D.の開発の一部に携わったり、U
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-04
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15. 始動

 テレビで見た限りでは、ネルトはまだいる様子は無い。けど、それは本当か? 誰もが疑ってるはずだ。ヤツらの特徴を俺は見てきた。頭を食べてその人物へと変貌する。赤いヤツはそれだけじゃなく、特殊能力も持っている。 もう誰かが襲われていて、"人間の姿"で紛れているかもしれない。常に近くにいるかもしれないって事だ。動画で見ただけの人は詳しく知らない分、俺たちは少し対応しやすいだろう。問題は"どこまでやれるか"。 その後、シンヤが起きてきたのは5時間ほど経過後。準備を済ませ、俺たちは今家を出ようとしている。時刻はAM10時を回ろうとしていた。「それじゃ、準備はいいな」「おう!」「うん」 タクシーは国会議事堂へと進み始めた。渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエ、渋谷ストリーム、スクランブル交差点、渋谷駅、渋谷マークシティ、渋谷フクラス、宮下公園、そして渋谷サクラステージ。さらにあの謎の"赤ビル"。過ぎ去る光景を見て一つ気になった。「人、少ないな」 昨日より明らかに減っていた。いつもの10分の1か? いや、それよりも少ないか? 原因はもちろんここにいる全員が分かっている。「危険だから、外に出ない人が多いみたいね」「まぁそうなっちまうよなぁ。アイツらにいつどこで遭遇するか、今じゃ分かんねえんだしよぉ」「だけど、家も完全に安全ってわけじゃないのよね」「そうなんだよなぁ。いつ来るか分かんねぇ。昨日は100万貰って、あんなにはしゃいでたヤツいたのになぁ~」 楽しそうだった、嬉しそうだった、昨日までは。「ねぇねぇ」 ユキが俺の手に触れる。「総理はなんで2回会見したと思う? 2回せずに1回だけして、隠して人間をやればいいのに」「んー⋯⋯今時そんな事やっても、すぐバレるだろう。カメラやドローンも多いし、ネットだって早い。それだったら、あえて見せしめを作って、現状の状態にしようとしたとか」「つまり、あえて多くの人が家から出ないようにしたってこと?」「のはず、総理はこうなる事を予測してたんだろうな」 より多くを家に固めておく方が都合がいい、まさにAIが考えそうな効率的なやり方。 そうこうしているうちに、タクシーは国会議事堂近辺へと来ていた。ここで予想と一つ違っている部分があった。もっと車とか人とか多いものだと思った。リーク情報は広まってるし、総理に訴
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-05
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16. 待遇

 話しかけてきていたのは、あのロアだった。俺はすぐに窓を開ける。「なんでロアがここに!?」『この辺が危ないので、朝から呼びかけているんです』 朝の番組から急に消えてどこへ行ったのかと思えば、こんなところにいたのか。『あれは"輝星竜スターシリウスドラゴン"という、本来"UnRuleのゲーム内でのみ"で出るはずだったモンスターです』「それが現実世界にいるって?」『はい、仕組みは私もまだ理解出来ていません。分かっているのは、一定以上近付けば、あの背中からハイブリッドメテオを撃たれて死ぬ事です』 ハイブリッドメテオってのはさっき落ちてきたアレか? ⋯⋯当たっていたらやっぱり。「タクシーを限界まで速度を上げて近付くってのは出来ないか?」『それは不可能です。あのハイブリッドメテオというのは、追尾システムが付いており、それで何人もやられています』「っざけんなよ!! んだよそれッ!」 シンヤが怒鳴り声を上げる。俺とユキでなんとか抑えると、ロアは続けた。『ですがある程度距離を保てば、追尾せずに自由落下します。それがこの辺りまでなんです。仮にあのハイブリッドメテオを何とかしても、まだまだ次の攻撃があると見るべきでしょう』 入る以前の問題だった。段々腹が立ってきた、あのクソ総理に。ネルトよりも何倍も厄介な存在。 てか、ロアはなんでこんなに詳しいんだ? 見てただけでここまですぐに分かるもんなのか?「そういやお前、やけに詳しいんだな」 俺の思っていた事を真っ先にシンヤが問いかけた。『それは現在同行している方が、よく知っておられるからです』「誰だよそれ」『言えません。もし言えば質問攻めを受けるから、と』 質問攻め? 余計に気になる。ここは引き下がってはいけない気がする。シンヤに代わって俺が前に出る。「なぁ、俺たちは本気で総理を止めるためにここに来た。そのためには一つでも多くの事を知る必要がある。今だけ協力してくれ」『申し訳ありません。覚悟は素晴らしいですが、私はこう答えるしか』 その時、ロアの背後から誰かが現れた。白衣を着た黒髪の女性だった。「この人は特別だから、質問は受けるわ」『"ユエ様"よろしいのですか? あれだけ拒否しろと言われておりましたが』 "ユエ様?" ん? おい、もしかして⋯⋯!「いいのよ。他の人は拒否しといてね」『承知し
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-06
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17. 一部

「⋯⋯? え? 僕ですか?」 一瞬、この人が何を言ってるのかよく分からなかった。「あなた以外誰がいるの。まずその眼、それはあなたにしかない"イーリスメラニン"。その作用によって、黒と虹が入り混じって見えるの。自分でおかしいと思わなかった?」「痣みたいなものかと⋯⋯どこの眼科でもそう言われていたので」「なら君たちは? 誰も気付かなかったの?」 するとユキは、「そんな特徴があるだなんて、一つも聞いた事無かったので⋯⋯」 ちゃんと知らないようだった。「あー、学校ではそこまでは教わらないのかぁ。他にも記憶力や運動能力、様々な能力が明らかに違ったはずよ」 ユキが俺の眼を間近でじろじろと見始めた。いや近すぎる。かと思えば、俺の身体を隅々まで弄り始め、「お~腹筋だぁ~」とか言ってる。何やってんだコイツ。ユキは不意に俺の方を向くと、「なんか今までの事、全部納得した気がするわ」 何かに一人で納得し、得意気になっている。「納得って、なにが」「だって、何やっても凄いなーって」「んだそりゃ」 直後、次はシンヤが肩を掴む。「ははっ! そりゃ何やっても勝てねえわけだよなぁ!? 他のヤツには勝てるのによぉ!」「お前、ほんとは根に持ってるだろ」「んなわけねぇだろ! いい練習相手がいるってことだ!」 この二人は信じ切ってるようだけど⋯⋯これが何を表してるのか、ちゃんと分かってるのか? "イーリス・マザー構想"は、俺たちが中学生ぐらいの頃から聞いてきた話だ。教科書にずっと載るくらいの内容で、テストでもよく出たのを覚えている。 ある施設によって、変異体の受精卵が作られた後、そこへ世界初の"虹の成分"を加えるという禁忌人体実験。でも、調査に入った時にはもぬけの殻状態で、失敗の跡だけがあったって、授業で聞いたのはそこまでだ。 ちなみにテストで出たのは、【もしこの実験が成功していたら、どんな人が生まれたか考えよ】という中学生には難しくも、その年代から来る想像の無限大さを利用したものだった。この構想自体は今でも多くの人に影響を与えている。「本当に僕なんですか? あれは失敗で終わったはずじゃ」「そこまでが学校で習った内容?」「はい」 ここからユエさんのぶっ飛んだ話が始まった。「そんなの前座も前座よ、もっと続きがあるわ。"虹の成分"だけだと何度やっても失敗する
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-07
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18. 深域

 全く関係ないと思っていたアイツ。訳の分からない所で繋がっていた存在だった。アイツの中に、俺を形成した一部があるという。「俺と無関係ではないってことですか?」「えぇ。だからこそ、唯一親和性の高いあなたの力が必要なの」 ユエさんはそう言うと、突然何かを出現させた。テーブルにそっと置かれたモノは"白いリボルバー式マグナム"だった。「そのL.S.ってことは、UnRuleはもう始めてるわね」「はい」 俺は"七色蝶の銃"を取り出した。「⋯⋯やっぱりあなたなのね」 ユエさんとアオさんが俺をまじまじと見る。「実はこのUnRule、売る前にロアが未来予測した中にあったものなの。きっとこうなる事も考えていたんでしょう。だから、政府開発と予告しながらも、大勢でかつバレないように水面下でUnRuleを開発した。でも、予想外な事態になったわ」 ユエさんは"白いマグナム"に軽く手を置くと、「こんなゲームの物に質量を持たせるなんて事、私たちの知識、いや、AIの知識でも出来ないはずよ。こんなのが出来るのは"他の何か"しか考えられないのよ。その"何か"は、未だに全く分からない」「んだよそれッ!? 全部総理のしわざじゃないのかよッ!!」 突然シンヤが声を荒げた。俺も荒げたいくらいだったが、シンヤを落ち着かせて自分も落ち着く。 "他の何か"とはなんなのか、疑問だけが底を尽きずに増えていく。「まぁ、この話は一旦この辺にしとこうユエ」 次はアオさんがL.S.から"真っ黒く細長い剣"を取り出し、テーブルに置いた。「元々UnRuleというゲームは、人それぞれの武器を使い、敵対するAIのソースコードを書き換えていくゲームなんだ」「書き換える⋯⋯ですか?」 首をかしげながら言うユキ。「ロアの予測にあったこのゲーム。その仕様に従って進めていった結果、ゲーム感覚で非日常を楽しみつつ、自然と人間がAIに対抗できる手段を得られるようになっていたんだよ」「おぉ~!?」「シンヤ、ちゃんと分かったのかよ?」「お、おぉそりゃもちろんよ! つまりは、攻撃しまくりゃ"あのめんどくせえAI共"を倒せるようになるっつう事だろ!?」「へぇ」「へぇって、ルイは分からなかったのかよ!? いや~、俺はとうとうお前を超えちまったかぁ!?」 人がちょっと乗ってやったらこれだ。キレたり陽気になった
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-08
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19. 三翼

 東京駅。 毎日観光やウェディングフォト、色んな用途で使われているこの丸の内駅舎。東京駅と言えばここ。反対側は八重州と言われるところになる。それが今は、全くと言っていいほど人の気配が無い。この不穏なこの静けさ、みんなも既に何かを察しているはず。 近くの適当なところで車は一旦止まり、俺たちは外へと出る事になった。出ようとすると、アオさんが俺の肩を掴み、「分かってると思うけど、こっからは何が起こってもおかしくない、周りに充分注意して行こう」「⋯⋯はい」「アオ君こそ注意してよ! この子のためにもね」 ユエさんはお腹をさすりながら言う。もしかして妊娠してる?「君のためにも、その子のためにも、そしてこの子たちのためにも、ね」 最後に、プロトロア5体までも降りてきた。「それらも連れて行くんですか?」「あぁ一応ね。ユエの事もあるし、これだけいればどんな事でも対応できるだろうから」「そんじゃ! 行ってみますかぁ!」 シンヤが気合いを入れて言うと、プロトロアたちは軽く返事をしたようだった。プロトロアは周囲へと配置され、前1、左1、右1、後ろ2の配置で置かれた。まるで守り神みたいで頼もしい。 まず先頭のプロトロアが歩き出し、その後を追うように歩く。漂う静寂の中、まるで警備された有名人のように。 もちろん銃剣は装備している。全員が武装済みだ。もう今の東京は、武器が無い事のは裸で街を歩くのと同然だろう。 誰が予想できたか。あんなに賑わっていた東京駅前で、常に死と隣り合わせの恐怖を感じる事になる事を。少しの震えを手に感じながら歩く。それを振り払うようにして、足は先へと進む。やがてその足はゆっくり止まり、「良かった、何もなかったわね」 安堵の息を吐くユキ。東京駅丸の内中央口の前まで来ても、何も起こる事は無かった。前のように突然メテオを落とされる事も無く⋯⋯。 まだ駅構内が安全と言えるわけじゃないが、とりあえず丸の内駅前広場を警戒する必要は無い。「さて、この辺りで待ってるって言ってたはずなんだけど」 ユエさんはL.S.を操作して誰かと連絡を取ろうとする。「お、あれは?」 アオさんが声を上げた先、6人ほどの青い服の団体が近付いてきていた。この夫婦とはまた雰囲気が違う。 ⋯⋯ん? なんか服に"赤いの"が付いてないか? 様子もおかしいように見える。「⋯
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-09
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20. 犠牲

 耳鳴りがするほどの轟音が響き、その溜まった一撃が俺に放たれた事から始まった。「ちッ⋯⋯! アイツは一旦俺がやるッ! 二人はあっちをッ!!」 ズノウで張っていた≪虹女神の七断層≫のうち、二層が破裂し、身体に戦慄が走る。背中を伝う死だけが、ただ俺を突き動かした。 間髪をいれず、また轟音が鳴り響き、ヤツの銃に禍々しいモノが溜まっていく。次は一気に周囲の空気が熱くなり、強烈な熱線のようなのが来る気配があった。 この少しの猶予を見逃さなかった俺は、即座に脳内でズノウを一つ選ぶと、俺の身体は勝手に動き始めた。長く伸びた形状に変形した銃剣は、まるで大砲のようになり、両手で持つ必要がでてきた。 大きく丸み帯びた銃口。そこにいろんな色の光が瞬時に溜まると、ヤツに向かって一気に放たれた。≪壊滅虹一波(アークデストラクション・ワン)≫は下から二番目にあったため、相当威力は高いはず。 これが一発でヤツを貫通し、タキシード風の黒い悪魔の方の腕を吹き飛ばした。一丁の巨大銃とともに、一瞬で霧のように消えていく。俺はその威力を見て、アオさんの言葉がフラッシュバックした。『それは本来、この"UnRuleの一番最後の敵"に装備されるはずだったもの。君が選ばれたのは偶然なんかじゃない。UnRule配布アンドロイド内に、眼を検知するようにしていたからね。勝手で悪いけど、僕たちは全て賭けてるんだ、なぁユエ』 これならやれる、こんなヤツで終われる訳がない。アイツは銃撃戦を不利と感じたのか、途端に巨大剣へと切り替えてきた。この時、ヤツは大きな空振りをした。これが"違和感のある空振り"だとは思った。今の攻撃はなんだったんだ? 俺の身体に何も無い。というか、もしかして俺に対してじゃなかった⋯⋯? 刹那、後ろを向く。ヤツの視線上にいるのは、俺とアオさんのはずだ。「アオさんッ! 大丈夫で」 自分が何を見ているのか分からなかった。誰かがバラバラにされており、体の破片が幾つも飛び散っていた。鮮血に染まっていく東京駅。俺は誰を見ている? 見てはいけないものを見ているのだけは感じた、第六感がそう発する。あの"散らばった破片の正体"。転がった頭がこっちを向いた瞬間、それは判明した。 「⋯⋯アオ⋯⋯さん⋯⋯?」「⋯⋯さ⋯⋯き⋯⋯へ」 そんな訳がない。さっきまで話していたんだ。ギリギリまで後ろにも下
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-10
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