すると魔は破壊され、光と共に浄化されると同時に 門の一部が崩れ落ちた。「……ブラン伯爵邸まで届けば良かったものを」「……しかし門はディアムが開け、きっちりと締めたはずなんだが、人一人分開いてるということは魔の仕業か? それともここの者の仕業か?」「……いずれにしてもおかしいことに気付けなかった。それにフェリシアの魔除けは万全だった。にも関わらず何故フェリシアばかり狙われる? やはり秘められた力が関係しているのか?」エルバートが小声で何やら呟くも聞こえなかった。エルバートが追いかけて来なかったら、間違いなく、自分は自分でなくなっていたし、死んでいただろう。「追い付けて良かった。フェリシア、大丈夫か?」エルバートに心配され、フェリシアの両目から大粒の涙が零れ落ちる。どうしてここで涙が出るの?心の痛みも感じるの?魔に襲われそうになり、怖かったのか、正式な花嫁候補に選ばれず、物凄く落胆して傷付いたせいなのか、緊張が切れたせいなのか、ここ2週間、寝不足だからなのか、もうよく分からないけれど、涙が溢れて止まらない。一ヵ月後、出て行く身なのに、こんなの困らせるだけなのに。エルバートは切なげな顔をし、何も言わずにフェリシアをただ抱き締めた。その後、ディアムとエルバートの母の執事も駆け付け、ディアムに心配されると、現れた魔を浄化した際に門の一部が崩れ落ちたことをエルバートが伝え、エルバートの母の執事は自身が修復すると笑顔で言いつつも目が笑っていなかった。そして早く帰った方が良いと、ディアムに馬車に乗せられたのは良いものの、フェリシアはエルバートに命じられ、隣に座らされた。エルバートは肩をそっと抱き寄せる。「あ、あの!?」「また魔に襲われるかもしれないからな
Last Updated : 2025-04-20 Read more