俊介はすぐに笑みを浮かべた。「つまり......」加津也は彼に顎をしゃくり、目を細める。その様はまるで毒蛇のようだった。「どうするか、いちいち教えなくても分かるだろ?」「はい」俊介は頷いた。策を練り終えた加津也は俊介を追い払う。今の彼にとって最優先なのは、椎名のプロジェクトを手に入れること。どれだけ認めたくなくても、現実は変わらない。最大の競争相手は二川グループだ。だからこそ、二川グループがどんな提案を準備しているのかを知る必要がある。「~♪」スマホの着信音が鳴る。加津也は電話を取り上げた。友人からの電話だった。二川家の次女を紹介してやるというのだ。「椎名のプロジェクトを取りたいんだろ?二川家の次女が関わってるって聞いたぞ。あの子は恋愛脳だから、お前みたいなプレイボーイならちょっと甘い言葉を囁けばすぐに落ちるんじゃないか?」「ほう?わかった。話がまとまったら礼は弾む」「でも女を口説くなら、それなりのプレゼントも用意しないとな?」「フッ、もちろんだ」加津也は、新しく買ったダイヤモンドのブレスレットに視線を落とした。元々は初芽に贈るつもりだったが、考えを変えることにした。まずは二川家の次女を籠絡し、椎名のプロジェクトを手に入れる。そうすれば、晴れて初芽との結婚を家族に認めさせることができる。京弥の強い勧めで、紗雪は一日中家で休むことになった。今の彼女にできるのは、椎名の結果を待つことだけ。自分の努力と京弥のアドバイスがあれば、成功の確率は80%以上はあるはずだ。夕方、清那から電話がかかってきた。パーティーに誘われたのだ。紗雪はあまり乗り気ではなかったが、清那のしつこい誘いに根負けする。彼女が鳴り城に戻ってからほとんど顔を出していないせいで、周囲の人々が彼女のことを忘れかけているというのだ。新しい人脈を築くためにも、たまには顔を出した方がいい。最終的に紗雪は行くことを決めた。体調を考慮し、今夜の服装は暖かめにする。ダークブラウンのタートルネックセーターに、深いブルーのデニムパンツ。黒く艶やかな長い巻き髪は無造作に下ろしたまま。彼女の整った顔立ちは、メイクなしでも十分に映える。ただ、軽くリップクリームを塗った。会場に到着し、清那
Read more