「お前が火をつけた。責任取って鎮めろ」定律は迷うことなく、ぐっと身を寄せた。星奈の体が激しく震えた。拒もうとしたが、定律に両手を掴まれ、後ろに回された。彼女の頭は枕に沈み込む。定律は背後から抱きしめた。唇が背中を伝い、ゆっくりと滑り降りていく。熱く荒い息が肌をなぞるたび、星奈の鼻先にじんわりと汗が滲んだ。「ダメ……あなたには吉江がいるじゃない……離して……」彼を押し返そうとしたが、目が見えないせいで狙いが定まらず、誤って何かに触れてしまった。その瞬間、彼女の体が硬直し、顔が真っ赤に染まる。「定律!」「おとなしくしろ」彼の手がピシャリと彼女の尻を叩いた。星奈の背筋が凍りつく。「放して……!」「今日、お前が俺を鎮めるまで、この部屋からは出られない」定律の低く沈んだ声が、耳元で不吉に響く。星奈は枕に顔を埋めたまま、惨めさに打ちひしがれていた。昨夜、彼は茉青と何かがあったはずなのに、今日は自分を弄ぶ。彼女は定律の憂さ晴らしの道具になるために、この結婚をしたのだろうか?何でこんな目にあわさなきゃいけないんだ。そんな考えが頭をよぎり、涙が滲みそうになった。そのとき——「定律……」突然、部屋のドアが開かれた。現れたのは茉青だった。室内の光景を目にした彼女は息をのむと、口元を手で覆い、駆け出していった。星奈の体も凍りつく。だが、どこからか力が湧き、一気に定律を突き飛ばした。「どいてよ!あんたの女が来てるよ!まだここにいるつもり?」定律は何も言わず、彼女を見つめた。その目は不穏に揺れ、まるで何かを観察しているかのようだった。星奈は冷たく言い放つ。「早く追いかけたら?怒らせて流産でもしたら、どうせ全部私のせいにするんでしょ」定律は子どものことを思い出したのか、それ以上何も言わず、彼女の上から降りて茉青を追いかけていった。部屋には、星奈だけが残された。彼女は乾いた笑みを浮かべ、ベッドから降りようとした瞬間。「カラン」手首から、一本のブレスレットが滑り落ちた。彼女は拾い上げ、それをじっと見つめる。それは、去年の結婚記念日に、彼女が定律に無理を言って買ってもらったものだった。「ねえ、私たち結婚してもう一年になるのに、一度もプレゼントくれた
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