All Chapters of 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集): Chapter 11 - Chapter 13

13 Chapters

懐かしき歌声が響き渡る 3

「20年前からメアリーは、あの少女の姿のままだ」 「最初に会った時には、この村に来て一緒に聖歌隊で歌を共に唄っていた ワシの方が少々背が低く会うときには、厚底の靴を履いたもんさ」 「次に会った時には、二十歳過ぎの時、パリの街角だった」 「彼女はこう言ったさ」「私を誰かと間違えておられるのかしら?」それとも叔母かお祖母さんによく似てると言われるの  なんて・・ね、 ハンス、明日の向こう側で、また会えたわ」「そういって、 彼女はにっこりと笑いかけてくれたよ」 シュ…と、パイプにマッチで火をつけて、お祖父さんはゆっくりと煙を漂わせる。 「パリでは、馬車に跳ねられそうになった所を助けてくれたよ他にも何度も危ない所を助けてくれた 不思議な少女さ」お祖父さんの言葉通り皆があのメアリーの事を忘れていた…「また会えるかな」「会えるさ」お祖父さんは言ったそれから月日が過ぎ去り…第一次大戦僕は部隊に入り戦地に向かうみんなは…僕らは戦争の事などわからずにまるで、呑気に陽気に戦地に行った。砲弾が飛び交い掘った穴に入り、銃で闘う雨や雪で寒さに震えただ必死で…包帯の巻かれた傷口はズキズキと痛むライフルを握り 意識が遠くなりかける。「ヨハン」懐かしい少女の声彼女がそっと傷口に触れる「メアリー」いるはずのない少女何故そこに!彼女は微笑んで立っている「まだ、そのマフラーを持っていたの?」彼女がくれたマフラーを指さす「少々くたびれて、汚れてるわ 新しいマフラーに手袋よ」「ねぇ今日はクリスマスよ、あの頃、歌った歌の1つ」彼女は静かに‘‘きよしこの夜‘‘を謡だす僕もその歌を謡だすすると…他の兵士もつられたように同じく‘‘きよしこの夜‘‘のメロディーを歌う不思議な事に 皆が‘‘きよしこの夜‘‘を合唱して…戦地に歌声が響き渡る風に流れて この曲に呼応して返礼を返すように 向こう側の兵士もこのクリスマスの曲を謡だすやがて豪から出て 皆が敵も味方も手を取り合う今、この時だけは…「メアリーがいない 女の子がいなかったか?」「? なんの事だ?誰もいないよ」他の兵士が答える残されたのは傍に新しいマフラーと手袋それはクリスマスの奇跡と呼ばれた出来事の日人の世に平和と慈しみと優しさがあります事を…メリークリスマス
last updateLast Updated : 2025-02-17
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第九話 ダーク厶ーン…紫水晶の森で彷徨う

それは…ダーク・ムーンの闇夜だった贄、生贄にされた私は 私は逃げ出して闇夜の紫水晶の森の中を彷徨っていた。「私の花嫁 何故逃げる?」「逃げないで僕の花嫁」遠くからの声 闇の国の主 彼の声怯えた私は、その声に身を震わせる…ああ、あの魔物の花嫁にされるのだ。白き髪に深紅の瞳 吸血鬼の男 貴族の華やかな衣装が良く似合う花嫁、飽きたら、私は…ああ、私は……「誰か助けて」と泣き叫ぼうと 誰も助けてなどくれない彼は...この地の支配者でもあるから機械仕掛けの鳥たちが鳴いて、美しい声で歌を奏でているようだった。ほのかに発光して、淡い光を放つ水晶の森の中....黒い花嫁衣裳で....住んでいた村の者達から差し出された私「いた、痛い」靴の片方が壊れて、水晶で足を怪我してしまった痛みをこらえながら私は逃げ惑う聞いた話がある、近隣に世捨て人の魔法使いがいる、もしかして私を救ってくれるかも知れない「ああ、馨しい(かぐわしい)乙女の血の匂いなんて誘惑的な香りだろうか?」吸血鬼の笑い声にうっとりとした声が聞こえてくる私の血..... 私に執着する吸血鬼後少し 昼の国へのゲート、門まで....あそこへ行れば......手を握られて....「ああ!」「ほら捕まえた!私の花嫁」「可愛いね 黒いベールを落としていたよ」そう言って吸血鬼は私の首すじに牙を立てるのだった。作品登録 25.2.17
last updateLast Updated : 2025-02-17
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第十話 ニューヨークのクリスマス・ツリー…会いたくて、言葉を伝えたくて

それはまだ第二次大戦が終わり、間もない頃のちょっとした話欧州で生まれアメリカにいる友達夫婦に預けられた幼い姉妹 ユダヤ人の幼い姉妹実の両親はどうなってしまったのか もう分からないままだ 旅券が手に入らなかったらしく‥消息は不明「パパ~ママ~」まだ幼さの残る妹はニューヨークのロックフェラーの大きなクリスマスツリーを見ながら笑っているツリーの電飾の飾りが夜空の下でキラキラと‥「お父さん、お母さん」「シャーリイ、エリー ねえコーヒーとドーナッツを買ってきたからみんなで食べましょうね」義理の母となった人が優しく笑う「仕事が忙しかったが、ようやく取れたクリスマスの休暇だよ、楽しく過ごそう」義理の父も楽しそうにしている「家に帰ったら七面鳥 を焼いて、ローストビーフにはグレービーソースをたっぷりとポテトにニンジンにそれからシュトーレンに苺のケーキに‥コーラにクランベリーのジュースもある」義理の父の言葉「ふふっ お父さんが好きなアップルパイにホワイトシチュー、シエパードパイもよ」義理の母の明るい声「ママのおばあちゃんから代々伝わったシュトーレンもね」ウインク一つ「わ~い」兎のように飛び跳ねる幼い妹 妹の頭を優しく撫でる義理の父「サンタさんに何が欲しいか決めたかい?ヌイグルミかい?それとも新しいドレスや手袋かな?」記憶の中にある別れ際の実の両親の泣きそうな笑顔 少なくとも私達は生きて‥優しい両親の友人夫婦に愛されて‥欲しいもの 一目だけでいい実の両親に一言だけ伝えたい「愛してます、大好き」言葉には出せない 本当のお願い‥ふんわりと義理の母が私達姉妹を抱きしめる「大好きよ二人とも、私達の元に来てくれて有難う」ひらひらと雪がそっと降って来るメリークリスマス 24 .12.10
last updateLast Updated : 2025-02-17
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