All Chapters of 代価に与えられしは…くちずけ一つ(即興…短編集): Chapter 11 - Chapter 20

36 Chapters

懐かしき歌声が響き渡る 3

「20年前からメアリーは、あの少女の姿のままだ」 「最初に会った時には、この村に来て一緒に聖歌隊で歌を共に唄っていた ワシの方が少々背が低く会うときには、厚底の靴を履いたもんさ」 「次に会った時には、二十歳過ぎの時、パリの街角だった」 「彼女はこう言ったさ」「私を誰かと間違えておられるのかしら?」それとも叔母かお祖母さんによく似てると言われるの  なんて・・ね、 ハンス、明日の向こう側で、また会えたわ」「そういって、 彼女はにっこりと笑いかけてくれたよ」 シュ…と、パイプにマッチで火をつけて、お祖父さんはゆっくりと煙を漂わせる。 「パリでは、馬車に跳ねられそうになった所を助けてくれたよ他にも何度も危ない所を助けてくれた 不思議な少女さ」お祖父さんの言葉通り皆があのメアリーの事を忘れていた…「また会えるかな」「会えるさ」お祖父さんは言ったそれから月日が過ぎ去り…第一次大戦僕は部隊に入り戦地に向かうみんなは…僕らは戦争の事などわからずにまるで、呑気に陽気に戦地に行った。砲弾が飛び交い掘った穴に入り、銃で闘う雨や雪で寒さに震えただ必死で…包帯の巻かれた傷口はズキズキと痛むライフルを握り 意識が遠くなりかける。「ヨハン」懐かしい少女の声彼女がそっと傷口に触れる「メアリー」いるはずのない少女何故そこに!彼女は微笑んで立っている「まだ、そのマフラーを持っていたの?」彼女がくれたマフラーを指さす「少々くたびれて、汚れてるわ 新しいマフラーに手袋よ」「ねぇ今日はクリスマスよ、あの頃、歌った歌の1つ」彼女は静かに‘‘きよしこの夜‘‘を謡だす僕もその歌を謡だすすると…他の兵士もつられたように同じく‘‘きよしこの夜‘‘のメロディーを歌う不思議な事に 皆が‘‘きよしこの夜‘‘を合唱して…戦地に歌声が響き渡る風に流れて この曲に呼応して返礼を返すように 向こう側の兵士もこのクリスマスの曲を謡だすやがて豪から出て 皆が敵も味方も手を取り合う今、この時だけは…「メアリーがいない 女の子がいなかったか?」「? なんの事だ?誰もいないよ」他の兵士が答える残されたのは傍に新しいマフラーと手袋それはクリスマスの奇跡と呼ばれた出来事の日人の世に平和と慈しみと優しさがあります事を…メリークリスマス
last updateLast Updated : 2025-02-17
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第九話 ダーク厶ーン…紫水晶の森で彷徨う

それは…ダーク・ムーンの闇夜だった贄、生贄にされた私は 私は逃げ出して闇夜の紫水晶の森の中を彷徨っていた。「私の花嫁 何故逃げる?」「逃げないで僕の花嫁」遠くからの声 闇の国の主 彼の声怯えた私は、その声に身を震わせる…ああ、あの魔物の花嫁にされるのだ。白き髪に深紅の瞳 吸血鬼の男 貴族の華やかな衣装が良く似合う花嫁、飽きたら、私は…ああ、私は……「誰か助けて」と泣き叫ぼうと 誰も助けてなどくれない彼は...この地の支配者でもあるから機械仕掛けの鳥たちが鳴いて、美しい声で歌を奏でているようだった。ほのかに発光して、淡い光を放つ水晶の森の中....黒い花嫁衣裳で....住んでいた村の者達から差し出された私「いた、痛い」靴の片方が壊れて、水晶で足を怪我してしまった痛みをこらえながら私は逃げ惑う聞いた話がある、近隣に世捨て人の魔法使いがいる、もしかして私を救ってくれるかも知れない「ああ、馨しい(かぐわしい)乙女の血の匂いなんて誘惑的な香りだろうか?」吸血鬼の笑い声にうっとりとした声が聞こえてくる私の血..... 私に執着する吸血鬼後少し 昼の国へのゲート、門まで....あそこへ行れば......手を握られて....「ああ!」「ほら捕まえた!私の花嫁」「可愛いね 黒いベールを落としていたよ」そう言って吸血鬼は私の首すじに牙を立てるのだった。作品登録 25.2.17
last updateLast Updated : 2025-02-17
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第十話 ニューヨークのクリスマス・ツリー…会いたくて、言葉を伝えたくて

それはまだ第二次大戦が終わり、間もない頃のちょっとした話欧州で生まれアメリカにいる友達夫婦に預けられた幼い姉妹 ユダヤ人の幼い姉妹実の両親はどうなってしまったのか もう分からないままだ 旅券が手に入らなかったらしく‥消息は不明「パパ~ママ~」まだ幼さの残る妹はニューヨークのロックフェラーの大きなクリスマスツリーを見ながら笑っているツリーの電飾の飾りが夜空の下でキラキラと‥「お父さん、お母さん」「シャーリイ、エリー ねえコーヒーとドーナッツを買ってきたからみんなで食べましょうね」義理の母となった人が優しく笑う「仕事が忙しかったが、ようやく取れたクリスマスの休暇だよ、楽しく過ごそう」義理の父も楽しそうにしている「家に帰ったら七面鳥 を焼いて、ローストビーフにはグレービーソースをたっぷりとポテトにニンジンにそれからシュトーレンに苺のケーキに‥コーラにクランベリーのジュースもある」義理の父の言葉「ふふっ お父さんが好きなアップルパイにホワイトシチュー、シエパードパイもよ」義理の母の明るい声「ママのおばあちゃんから代々伝わったシュトーレンもね」ウインク一つ「わ~い」兎のように飛び跳ねる幼い妹 妹の頭を優しく撫でる義理の父「サンタさんに何が欲しいか決めたかい?ヌイグルミかい?それとも新しいドレスや手袋かな?」記憶の中にある別れ際の実の両親の泣きそうな笑顔 少なくとも私達は生きて‥優しい両親の友人夫婦に愛されて‥欲しいもの 一目だけでいい実の両親に一言だけ伝えたい「愛してます、大好き」言葉には出せない 本当のお願い‥ふんわりと義理の母が私達姉妹を抱きしめる「大好きよ二人とも、私達の元に来てくれて有難う」ひらひらと雪がそっと降って来るメリークリスマス 24 .12.10
last updateLast Updated : 2025-02-17
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第11話 ある香師の呟き〜フランス革命の中で

皇帝ナポレオンの時代 あるちょっとした豪奢な屋敷 パリにある屋敷「フランス革命をよくぞ我ながら生き延びたものだ」「ええ、本当に」 とある調香師 ジャン・ルイ・ファージョンが自分の家族らとお茶をしながら話し出す「私は王妃様のご用達の店の一つだった」 ため息が一つ 「王やマリーアントワネット王妃様、義妹姫は断頭台の露 ご友人で女官長だったランバル公妃は群衆に虐殺され槍に首を掲げられた」「・・・・・・」「マリーアントワネット王妃のお気に入りの香水 私が作ったものだよ 王妃は風呂好きで花の香り好んだものだ だからそれらをもとに調合した 「花の破壊」に「ヴィーナルの油」 プチトリアノンをイメージした香水」「イリス(アイリスの花)に菫(スミレ)に薔薇などの花の香を中心にしたもの ラベンダーに白檀(びゃくだん)も合わせて‥」「王侯貴族などは鯨(くじら)から取れる龍涎香(アンバーグリス)などが好まれたが‥」「そう、ルイ14世陛下の頃などは東洋の麝香(じゃこう)に龍涎香(アンバーグリス)を使ったもの ムスクなどの強い香り」 「マリーアントワネット王妃が亡くなられたが 最近自然な花々を中心にした香りだ 流行りの香水は あの頃マリーアントワネット王妃が好んだもの」「ドレス 今の時代は遠い古代を思わせる衣装(エンパイアスタイルまたはアンピール様式)シュミューズ・ドレス イタリアのポンペイ遺跡も出土して 皇帝陛下が以前に遠征に出られた影響だろう」 「アントワネット王妃の時代はロココ様式 シルク製のリヨンで作られたもの 貴婦人はパニエで裾を広げコルセットを絞めたローブ・ア・ラ・フランセーズ 紳士はアビ・ア・ラ・フランセーズ」 「皇帝陛下のお気に入りの香水」 「香水、ナポレオン陛下の場合はベルガモンドを主体にしたオーデコロン ドイツの『ケルンの水』が大のお気入りだ わざわざドイツから取り寄せている」ジャン・ルイ・ファージョンは紅茶に蜂蜜をたっぷりと入れ 紅茶の甘いハーモニーを楽しみ 焼き菓子に手をのばす「菓子のマカロンも欲しいが ああ、食用の菫(すみれ)の砂糖漬けもいい」「はい、旦那様」「ドイツの『ケルンの水』あれは18世紀に作られたもの 画期的な香水だ  爽やかな柑橘系の香り ベルガモット
last updateLast Updated : 2025-03-02
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第12話 王、ルイ15世の最後の寵姫と処刑人〜フランス革命(※実際の記録からのイメージ)

最後の公式とされた寵姫、それが彼女王の恋人として外交の表舞台で大貴族に各国の外交官達とも言葉を交わして、舞踏会での華やかな踊りを披露する。だが、彼女の生い立ちは…私生児として生まれ、修道院でそれなりの教育の後で…お針子として店に雇われたのだが、金の髪に鮮やかな青の碧眼…その美しい美貌と人の良い優しい気質ゆえに男に騙される事が多かった。「あん、そんな いけませんわ 旦那様」「ジャンヌ・マリー・べキュー…私は可愛い君に夢中なんだ、青い瞳に美しい金の髪、それにしても、なんて綺麗な子だ」私がね、お針子として勤めていた店 ええ、もちろん ちゃんと仕事してましたわ でも、ご主人やご子息が何故か私に夢中なの父のない子として産まれた私 一時は家出していた母が再婚して 修道院で勉強もして お針子として就職でも‥ちょっと綺麗な子だったから うふふで‥結局 女主人 洋裁店の女主が怒って私を追い出したの まあ、夫や息子が私に夢中になったからって‥ちょっと不条理。アンリ・サムソン、それが俺の名前俺の仕事は仕事は拷問に死刑執行人。 金はあるが人に嫌われる仕事 これから愛らしく綺麗な優しい、お人よしの元お針子との束の間のデートをする 「これから、どうするんだい? まだ あの不良貴族のカジノの店務め? ジャンヌ・マリー・べキュー」 「まあね アンリ デユバリー子爵は不良であまり良い人とはいえないけど 私には優しいわ」 「お前にあいつは‥」「何?」「お前は気立てもいい、とても優しくて若くて綺麗だ、もっと相応しい場所があると俺は思う」「奴等はお前を玩具に…夜の仕事を」 「アンリ、ありがとう」「デュ・バリー子爵達のお陰で暮らしには困らず、貴族のレディの作法も教えてもらっているわ」明るい彼女は笑う「‥俺は少々、金はあるが俺の仕事は処刑人だ、こんな俺だが……」「だけど俺はお前の事が好きだ」「え?何?今、馬車の音と馬の声がして、良く聞こえなかったわ」「いや、きっと素晴らしい幸運が待っているさ、 辻裏の当たるって評判の占い師が言っただろ?」 「お前の出身の村は あの英雄でフランスの守護天使ジャンヌ・ダルクと同じ村だったか」「うふふ 有難う アンリ」「俺が人に嫌われる死刑執行の仕事をしていても、お前は気にもせずに優しい」「アンリ・サムソン…私は貴方
last updateLast Updated : 2025-03-02
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第十三話 古代ポンペイ いにしえの恋人達

後少しだけ…二人の逃避行が早ければ火山は噴火して、街中が大騒ぎ、剣闘士の控えの部屋で崩れた柱に足を取られ、剣闘士の男は身動きが出来ない「先に逃げて下さい、必ず追いつきます」「駄目よ」若い身なりの良い女性が泣きじゃくる。彼女の姿はかなり上流階級の服装「ずっと、貴方に会いたかった」「姫…」「貴方は私の家で仕えた奴隷だったけど」「父に売られ、二度とは会えないと思っていた」「私は父が選んだ男、彼の妻になった…愛の無い冷たい男、それが夫」「貴方と私は幼い頃から過ごして…」地震に火山の噴火で再び街が…建物が揺れる。建物の崩壊が始まる。「愛しているわ」「愛してます姫」ほんの少し前までは穏やかな日常の風景 南イタリアのナポリ近く そこは悲劇の地としても知られるポンペイバール(酒場であり食堂)では人々がワインにパン(丸く、平たいエンメル麦)大麦の粥に食事を楽しんでいた チーズに果実、牛乳もある 肉の種類も以外と多い 魚も良く食べられて 魚醤に似た調味料なども「パンが焼きあがったよ」 「スープをくれるか?」「あいよ」石を敷き詰めた道で人々が行き交う  歩道と馬、荷物を運ぶ車道が分離した道  歩道として飛び石上に突き出たものもある「ちょっと狭いよね」「そうねえ」古代ローマ時代の水道橋から流れ込む水 下水道システムも完備されていた お手洗いでは 仲良く並んで穴の開いた石の上に座り 用を足す 下は下水道で絶えず水が流れて 人々は海綿のついた棒を使っている公衆浴場でも 人々は盛んに会話を交わしている 古代ローマ時代は いわゆるテルマエロマエが盛んな時代でもあった野外闘技場 「剣闘士のこの前の闘い良かったぞ」「ああ、俺も見た」 「あの有名な剣闘士 貴族の奥方が来てるらしい なんでも‥」「収穫されたレモンだが」「予想よりも今年は多かった」洗濯を引き受ける店では  奴隷たちを使って集まった汚れ物を洗っている 「急いでおくれ」「はい、旦那様」「わかりました旦那様」いつも通りの平和な日常のはずだった その時までは‥「お、地震だ」「今年も多い」「う、あれは‥」「ヴェスヴィオ火山が!!」人々の悲鳴が辺りを包み それから・・悲劇が訪れ ポンペイの繁栄は終わったのだった
last updateLast Updated : 2025-03-10
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第14話 中世、欧州 夜の静寂の出来事

夜の静寂(しじま)に 魔物の女が‥ あの夜‥あの夜は一夜の夢 魔物が見せた夢だった愛しい人の微かな声 囁くような優しい甘い蜜のような声 それは 戻れぬ時間 心地よい記憶の中の切ない思い出 白い裸体の女が服を脱ぎ捨て、それは妖艶な笑みを浮かべていたのだった。中世の欧州  船の上で鷹一羽が大空を舞っている「良い天候が続いている  良かった どうにか無事に目的地に着けそうだ」船乗りが笑うそれから 船の中に乗客たちの中にいる騎士たち 彼等は穏やかに会話をしていた「騎士団からの頼まれたもの スペイン帝国の王であり、皇帝に鷹を一羽、届ける大事な職務」「彼等は仕方なく、私達に職務を託した 彼等の居住地での籠城、戦争中だ」 「この時代、多くの戦い、戦争 まだ戦いは続くだろう」 周りの者達が深くため息をつく、あるいは十字を胸元で描く。「我らは騎士だ‥戦う運命だ 何処の騎士団だろうと役割を果す」「今回は大事な届け物が任務」 運動の為に空に放った鷹を見る騎士達見上げると紺碧の空を優雅に鷹が舞っていた。「幾つもの騎士団か 騎士団は戦争で必要とされている」 「あのチュートン(ドイツ)騎士団はイエルサレムから去り 新たに東方に根をおろしたが」そのように騎士が呟くように言う「他の騎士団 あのテンプル騎士団は気の毒だった」 「ああ、そうだな」 「エルサレムでソロモン王の神殿跡を守ってきた 数々の戦いの末 辿り着いたフランスでの悲劇」 「今回は民間の船での移動 騎士たちの船でないが まあ、そう悪くない」「病に落ちたマルタ騎士団の騎士に代わり、鷹を預かりスペイン帝国に届ける役割か」 「今回は御蔭で、代わりにスペイン帝国の皇帝に謁見も出来るというもの」「いや、スペインにいるマルタ騎士団の屋敷に数人いるらしく、彼等に届けるのみだ  残念だがな」 「なんだ、そうか」「今回の籠城戦、戦争 どれだけの死傷者が出るというのか」 神妙な表情で騎士達が頷いた。口笛を吹く騎士の一人 それは合図。 飛び疲れた鷹が答えてゆっくりと飛行を終えて決められた通り 騎士の腕へと降り立つ「飲み物はいかがでしょうか?騎士さま達」声をかけられる。「皆さま 連れてきた鶏を先程 調理しました それに塩着けの魚の方も調理して、ご準備が出来ています」老女のリアが話かけた
last updateLast Updated : 2025-03-24
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第15話 ある騎士の御話 1

中世欧州・・ クリスマスの祝いで 聖歌隊で歌う愛らしい少女 目を細め 微笑む壮年の男性騎士団の衣を纏う 聖ヨハネ騎士団(マルタ)の一員 少女は彼にとって 義理の妹の娘 誰よりも美しかった義妹 位の高い金持ちの老伯爵に 望まれ 嫁いで行った義妹 そして 娘である、歌っている愛らしい少女はあの子は愛の証 私の罪の証、罪の証だった。義理とはいえ恋こがれた相手は 妹そして、そうして彼女が、義妹が望まぬ婚姻とはいえ 、妹は人の妻私は、妻をめとる事を許されない修道僧であり騎士団の人間恋こがれ恋こがれて 結ばれた・・ 義理の妹は 黒髪をしていた…何処か謎めいた風情のある灰緑の瞳あの子の金の髪は私と同じもの 灰緑の瞳は義理の妹と同じもの 歌い終えて、その少女は駆け出して私の元へと愛らしい笑顔でやって来たのだった。「おじさま! 」嬉しそうに駆けよって来た 少女の笑顔に妹の顔が重なる・・ 「おじさま? 」「マリアンヌ 誰より綺麗なお姫様 今日はよく頑張っていたね・・」 「有難うございます! 嬉しいですわ! 」「ロルシュタインおじさまは今晩は私の家に来て下さるのでしょう! 今日はクリスマスの祝いのご馳走を用意してますわ 」少女がそれは嬉しいそうに弾んだ声で彼に話しかけた。
last updateLast Updated : 2025-03-24
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ある騎士の御話 2

「私の作りましたシュートレインを食べていただきたいです! 」「すまないマリアンヌ 私は今晩の船であの島に戻らねば 」「そんな」それは 悲しそうに表情を曇らす少女 「家まで送ろうか… 途中の広場のクリスマスマーケットで買い物をするのかい? 」「えぇ!少しだけ クリスマスツリーに付ける丸いお菓子を 悪戯な飼い犬に食べられてしまったから… お店で買う事にしたの 」「ではクリスマスの祝いに 髪飾りとドレス用の生地を姫には差し上げようか」 「おじさま!本当に!」 可愛らしいという言葉が似合う 柔らかな色とりどりな色彩の街並の広場に雪が舞う 綺麗に飾ってある小さな露天の店がひしめきあう…。 街に灯かりがともされ クリスマス・マーケットの店の灯かりも色も鮮やかに飾られて 祭の宴  人達と子供達の笑う声がしている 讃美歌が何処からともなく聞こえる あれは街行く者達に向けて舞台で謡う声か雪の… 灰色をおびた暗い空の下 ちょっとした夢のような綺麗な風景 鮮やかな色の切り彫りの細工の蝋燭(ろうそく)にこれまた美しい細工の蝋燭入れを 手に鳥 、これも良いかな などと 呟く 小さな宝石の首飾り それから 「ああ、オルゴール これも良い 」「あちらの店のお菓子、レープクーヘンに林檎菓子、それから、香辛料入りの温めたぶどうジュースか、私はホットワインを頂くかな」   「林檎の酒も悪くない 他には 姫さま 欲しいものは?」可愛い姪の姫に微笑する「まあ、叔父様」「ふふっ、可愛い姫さま」可愛らしい少女の為のささやかな幾つかの贈り物 「おじさま!そんなに持ちきれないわ」 「しばらくは、お会い出来ない 麗しいお姫様への貢ぎ物ゆえに何卒、納め下さいませ 」ぎょうぎょうしく 騎士の仕草をして 、それからウインク(^_-) 愉しげ笑う私達家の扉まで送り 「また、お会い出来る日まで…私の姫様…」 「おじさま…? 」 ゆっくりと思う これまでの楽しい時間  密やかな胸の痛む恋の記憶 ロドス島もそうだったが、あの島、敵との境界線となる多分、島での戦いは激しいものになるだろう 以前の闘いで 全滅のうきめにあった騎士の部隊もあったという 「手紙をくれると嬉しいな 、私のマリアンヌ姫 」心の中で呟く 幸薄かった…義
last updateLast Updated : 2025-03-24
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第16話 銀の髪の貴婦人

教会の色鮮やかに組まれたステンドグラスを眺めながらまだ年若い子爵が立っている手には杖が握られそれに支えにして立っていた淡い色の金の髪若草色の瞳が何かを思うように立っている「子爵様…もうお怪我の方は大丈夫なのですか?」神父が彼に気がつき、心配そうに見てる「神父様、御心配をおかけしますあの時は有難うございます」子爵の手首には包帯が彼のグレーのスーツからチラ、チラと見え隠れしている彼、若い子爵は視線を左側奥の肖像画へと移す「あの絵の肖像画が私の先祖なのですね城にも、一回り小さい同じ物が有りますが…」「子爵様、お立ちになるのも、まだ辛いのでは?紅茶にクリスマスプディングもございますからこちらへどうぞ」「そうですね…あの雪の降る日に馬車を襲った強盗達に散々、殴られ…連中と争い挙げ句、馬車からほおり出され崖の下へこの程度で済んだのは、神か天使の恵みですね」神父は微笑み…「彼等、強盗達もすぐに捕まり、奪われた馬車や品物も取り返されたとの事ですね」「まあ、お話はこちらで」香辛料の効いたジンジャー入りのクッキーもございますから」子爵は笑うよくぞ、助かりこの程度の怪我で済んだものだいや…下手をすればあの雪の日に崖の下で、助けが来る前に寒さで凍死してたかも知れない乗っていた馬車に金目当ての強盗が襲い最初に御者が道にほおり出され次に彼等は私の宝飾品や金を奪うとあの崖の下へを投げ捨てるように突き落としたのだ…気がつけば雪がクッションとなり命は助かったのだが…手首を痛め足も捻挫して身動きが取れずにいたのだ…時間が過ぎ、気が遠くなりかけた時に…声がしたのだ「アレクセイ」「え!」いつの間にか…銀の髪をした一人の貴婦人が私を抱き起こし微笑みを投げかけてくれたのだ…もうろうとした意識の中でこの麗しい貴婦人を見ていた…「アレクセイ…もうすぐよ助けが来るわ安心して」彼女は自分の肩にかけていた毛織物のケープを私にそっと被せる「あ…これでは、貴女が風邪を引いてしまいますから」「ふふ、大丈夫よアレクセイ貴方は自分がこんな時なのに優しいのね」彼女は続けて言葉を紡ぐ「あ!そうだった、貴方はアレクセイでなくクリストファーだったわねでも、本当によく似てるや
last updateLast Updated : 2025-03-24
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