ギュッと痛いくらい抱きしめられた後。皇羽さんは、自身の大きな体が揺れるくらい「はぁ~」と深く息を吐く。「よかった萌々。いたんだな」「〝よかった〟って……」皇羽さんの体が熱い。抱きしめ合っていると、私の体がジワジワと汗ばんでくるほど。やっぱり皇羽さんは熱があるんだ。それなのに私を探しに行こうとしてくれていたんだね。……だったら何も良くないじゃん。こんな体で外に出たら、皇羽さん倒れちゃうよ?「強引なんだか、優し過ぎるんだか……」さっきムリヤリキスされたことを許してしまいそうなほど、私を心配する皇羽さんの気持ちが嬉しい。コップに水を注ぐように、少しずつ心が満たされていく。思い返すと、昨日から皇羽さんは私に構いすぎだ。作ってもらったおかゆをスルーして外出する……くらいの方が正しい距離感だよ。ムダになったおかゆを見るのは悲しいけど、私たちは昨日会ったばかりの浅い関係。逆に今までの皇羽さんが優し過ぎたんだ。だから皇羽さん、調子悪い時くらい私に構わずゆっくり休んでよ。お願いだから、早く元気になって。「もし皇羽さんが風邪をこじらせて入院でもしたら、私また一人ぼっちじゃないですか」「萌々……」「だから行かないで、ここにいてください。私のそばにいて」「っ!」皇羽さんの背中へ控えめに手を回す。今まで抱きしめられた事は何度かあったけど、私が抱きしめ返したのはたぶん今回が初めてだ。皇羽さんの胸板に寄せた耳に、ドッドッドと忙しない心臓音が伝わって来る。皇羽さん、すごくドキドキしている。なんで?どうして私が抱きしめ返しただけで、そんなにドキドキするの?熱だから?体がしんどいから?それとも――不思議に思って皇羽さんを見上げる。すると思ったよりも至近距離にいた皇羽さんは、切れ長の瞳を見開いた後、悔しそうに細めた。「クソッ」という舌打ち付きで。「卑怯くさいな。俺が調子悪くて意識朦朧としている時に限ってこんな事しやがって……」「意識朦朧の状態で、どうして起きていられるんですか。バケモノですか」「うるさい……」見上げると、顔を真っ赤にした皇羽さんと目が合う。熱のせいで目が潤んでいるのが妙に色っぽくて、思わず心臓が跳ねる。しまった、皇羽さんのドキドキが移っちゃった。急いで皇羽さんから顔を逸らす。すると皇羽さんの重たい頭が、私の肩にポスンと乗った。熱のせいで温かくなった
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-04 อ่านเพิ่มเติม