「え? これは何事?」屋敷へ帰って来たオリビアは目を見開いた。エントランス前には3台の荷馬車が止まっていたからだ。屋敷の中からは使用人達の手によって荷物が運び込まれていく。呆気に取られてその様子を眺めていると、荷物を抱えたトビーが現れてオリビアに気付いた。「あ、お帰りなさいませ。オリビア様」「ただいま、トビー。これは一体何の騒ぎなの? あ、まさか……」その時、オリビエは重要なことを思い出した。「はい、そのまさかです。本日、ゾフィー様とシャロン様がこの屋敷を出て行かれるのです」「ふ~ん。そうだったのね。てっきり、もう出て行ってたと思っていたけど」「いえ、これからですね。でも今日中に出て行くことは間違いないでしょう」ドスンと、荷馬車に荷物を置くトビー。その時、ヒステリックな大声が響き渡った。「ちょっと何するのよ! 乱暴に荷物を置くんじゃないわよ!」2人が振り向くと、怒りの形相を浮かべたシャロンが睨みつけていた。「今の荷物はね、あんたの給料では買えないような高級アクセサリーが沢山入っているのよ!? 傷でもついたらどうしてくれるのよ!」乱暴にズカズカ近付いて来る。「それは申し訳ございませんでした。かなり重たい品物だったので、てっきり本かと思ったものですから。でも……まさか中身は高級アクセサリーだったのですか」「それは一体どういう意味よ! って言うかオリビアッ! 何でそんな目でこっちを見るのよ!」シャロンはビシッとオリビアを指さした。「別に。それよりシャロン。姉の私にお帰りなさいくらい言えないのかしら?」「冗談じゃないわ! 何であんたに挨拶しなくちゃいけないのよ! こっちはねぇ、あんたのせいでもう滅茶苦茶よ! どうして私が修道院なんかに入らないといけないのよ! むしろあんたのように地味な女の方が余程修道院がお似合いよ!」この期に及んでも未だに文句を言ってくるシャロンにオリビアはため息をつく。「シャロン、あなたって本当に愚かなのね?」「な、何が愚かなの!」「修道院にアクセサリーを持って行って良いとでも思っているの?」「え……? もしかして駄目なの!?」「当然じゃない。持って行ったところで持ち物検査をされて、不要な物はその場で即没収よ」すると何故かシャロンが不敵な笑みを浮かべる。「あら、それなら大丈夫。だってアクセサリーは不
Huling Na-update : 2025-02-13 Magbasa pa