「はぁ~それにしてもお腹が空いたわ……朝の騒ぎのせいで食事を取ることが出来なかったから」廊下を歩きながら、オリビアはため息をついた。何げなく通路にかけてある時計を見れば、時刻は8時20分だった。1時限目が始まるまでにはまだ40分の余裕がある。「あら、まだこんな時間だわ。雨が酷かったから早目に馬車を出して貰ったけど、こんなに早く着いたのね。そういえば、随分早く走っているようにも感じたけど……でも、これなら何処かで飲み物くらいなら飲める時間があるかも」オリビアは知らない。土砂降りの中、一刻も早く到着しなければと必死に馬を走らせていたことを。……事故の危険も顧みず。時間にまだ余裕があることを知ったオリビアアは、早速購買部へ行ってみることにした。「え!? 閉まってるわ!」購買部へ行ってみると扉は閉ざされ、営業時間が記された札が吊り下げられていた。「営業時間は……9時から18時? そ、そんな……」大学に入学してから、ただの一度も購買部を利用したことが無かったオリビアは営業時間を知らなかったのだ。「どうしよう……学生食堂やカフェテリアは、ここから遠いし、今から行けば授業が始まってしまうわ……もうお昼まで諦めるしかないわね。せめてミルクだけでも飲みたかったのに」ため息をついて、踵を変えようとしたとき。「あれ? もしかして……オリビアじゃないか?」聞き覚えのある声に、振り返ってみると驚いたことにマックスの姿があった。彼は肩から大きな布袋をさげている。「え? マックス? どうしてこんなところにいるの?」まさかマックスに出会うとは思わず、オリビアは目を見開いた。「それはこっちの台詞だよ。購買部はまだ開いていないんだぞ?」「そうみたいね……私、購買部を一度も利用したことが無かったから営業時間を知らなかったのよ」「そうだったのか。でも、何しに購買部へ来たんだ?」「え、ええ。実は……今朝、ちょっとしたことがあって食事をする時間が無かったの。それで、何か買おうと思って購買部へ来たのだけど……あら、そういえばマックスは営業時間を知っているのに何故ここへ来たの?」するとマックスは笑顔を見せた。「俺は、品物を置きに来たのさ」「え? 品物?」「まぁいいや。まだ時間もあることだし、一緒に中へ入らないか? 実は鍵も持っているんだ」マックスはポケットから鍵を取
最終更新日 : 2025-01-14 続きを読む