All Chapters of 悪女の指南〜媚びるのをやめたら周囲の態度が変わりました: Chapter 51 - Chapter 60

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51話 婚約破棄宣言 1

「勝ったー! アデリーナ様の勝ちだ!」「やった! 暴君が負けたぞ!」「キャーッ! アデリーナ様ー!」「愛していますっ!」ディートリッヒが首を垂れた途端、拍手喝さいが沸き上がった。歓喜に包まれる中、アデリーナはディートリッヒを見下ろす。「ではディートリッヒ様。約束通り、私から婚約破棄させて頂きます。婚約破棄の理由はズバリ、貴方の不貞ということで国王陛下に報告させて頂きますから」その言葉にディートリッヒは青ざめる。「不貞だって!? 冗談じゃないっ! 婚約破棄は受け入れるが、理由を不貞にするのはやめてくれ! 頼む!」ついにプライドを捨てたディートリッヒは地べたに頭を擦りつけた。「今更何をおっしゃているのですか? 決闘に負けたのはディートリッヒ様ですよ? それに私という婚約者がありながら、サンドラさんという方と不貞を働いたではありませんか? 今はこの場にいないようですけど」辺りを見渡すアデリーナ。アデリーナは知らないが、サンドラはあまりにも事が大きくなり過ぎたことが怖くなり、逃げてしまったのだ。「お、おいっ!? 不貞と言うな! 俺と彼女はお前が考えているような関係じゃないぞ! それにこんな大観衆の前で、妙な話をするんじゃない!」「ディートリッヒ様がいくらサンドラさんと男女の関係は無かったと言っても、四六時中、彼女を傍に侍らせていたのは事実! ここにいる皆さんが証人です!」アデリーナは見物している学生たちを見渡した。「そうだ! 俺達が証人だ!」「浮気なんて最低よ!」「言い訳するなっ!」「尻軽男め!」学生たちの間から、ディートリッヒに関するヤジが飛び始める。もはや彼が侯爵家の者だろうが、お構いなしだ。「くっ……! 周りを巻き込むなんて卑怯だぞ!! そ、それに剣術ができるなんて、俺は聞いていない! 騙しやがって!」「別に騙してなどおりません。ディートリッヒ様が知らなかっただけではありませか。まぁ、それも無理ありませんよね? 貴方は少しも私に興味を持っていなかったのですから」アデリーナの冷たい声はディートリッヒの背筋を寒くさせた。「ア、アデリーナ……お、お前……一体……」「そんなことより、まだ婚約破棄の理由にケチをつけるつもりですか? それとも私にとどめを刺されたいのでしょうか?」握りしめていた剣の先を喉元に向ける。「ひぃっ!
last updateLast Updated : 2025-02-03
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52話 婚約破棄宣言 2

「え!? 婚約破棄だって!? まさかあのギスランとか!?」マックスは余程驚いたのか、追いかけてきた。「ええ、あのギスランよ。彼以外に他にギスランはいないわ」「成程。オリビアもアデリーナ令嬢に触発されて、婚約破棄することを決意したのか」マックスはどこか嬉しそうに笑顔になる。「マックス……随分、嬉しそうね?」「それはそうさ。オリビアは知らないだろうけど、あいつはよくクラスの連中に話していたんだぜ? 俺の婚約者は可愛げが無いが、妹はとても愛らしいって。彼女が婚約者だったらどんなにか良かったのになって……え? 何故そこで笑うんだ? 普通は怒るところだろう?」オリビアが口元に笑みをうかべている様子にマックスは戸惑う。「それはおかしいに決まっているわよ。私はギスランと婚約破棄したい、そして彼はそれを望んでいる。もっとおかしいのは妹が本当は彼を嫌っているのだから」「何だって!? それは楽し……いや、大変な話だな。だけど妙だな……何故君の妹はギスランのことが大嫌いなのに、愛嬌を振りまいていたんだ?」「そんなのは簡単なことよ。私と妹は血の繋がりは無いの。そして義母は私を嫌っている。つまり私に嫌がらせする為に、わざとギスランに近付いたってわけよ」「うわ、何だよそれ。随分な話だな」マックスが眉をひそめる。「でもそのお陰で、私はギスランと婚約破棄しやすくなったわ。それに面白いことになりそうじゃない? ギスランは妹に好かれていると思っていたのに、実際は嫌われていることをまだ知らないのよ? きっとそろそろ家で騒ぎが起きる頃だと思うの。どさくさに紛れて婚約破棄してやるわ。勿論妹との不貞の罪でね」「そうか……それは楽しみだな。あいつに婚約破棄を突き付けてやれ!」「ええ。任せて頂戴! それじゃ、私急ぐから!」オリビアは元気良く手を振ると、馬繋場へ向かって駆けて行った。「頑張れよ、オリビア」マックスは小さくなっていくオリビアの背中に告げた——****「遅くなってごめんなさい!」馬繋場へ行くと、御者のテッドが待っていた。「いいえ、そんなこと気にしないで下さい。仕事ですから」「そう? ならここで御者として、貴方の腕前をみせてくれるかしら?」「え? 何のことでしょう?」首を傾げるテッド。「事故に気を付けて、スピードを出してなるべく早く屋敷に連れ帰って頂戴
last updateLast Updated : 2025-02-04
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53話 姉と妹、そして彼

 馬車がフォード家に到着し、扉が開かれた。「オリビア様、到着いたしましたよ。どうです? 所要時間10分の短縮に成功しました……ええっ!? どうなさったのです!?」オリビアの様子は酷い有様だった。髪は乱れ、疲れ切った様子で椅子に座っている姿に驚くテッド。「オリビア様! 大丈夫ですか!?」「無事に着いたのね……よ、良かったわ……」青ざめた顔でオリビアは返事をすると、テッドはぺこぺこと頭を下げて必死に謝罪する。「申し訳ございません! つい、調子に乗ってスピードを出し過ぎてしまいました。本当に何とお詫びすれば良いか……!」「い、いいのよ。元々スピードを上げてと言ったのは私の方だから……」けれどオリビアの脳裏に先程の恐怖の時間が蘇る。まるで舌を噛むのではないかと思われる勢いでガタガタと走る馬車。途中、何度も椅子から身体がフワリと浮き上がり、ドスンと落ちて身体に振動が響く。揺れが激し過ぎて身体が左右に揺さぶられ、何度か壁に頭を打ち付けてまったときもある。「誠に申し訳ございません……」テッドはすっかり落ち込んでいる。「本当に私のことなら気にしないで大丈夫よ。だってあなたのおかげでギスランよりも早く屋敷に帰って来ることが出来たのだから」「あ、そういえば来る途中に。 馬車を1台抜かしていきました。御者の男はギョッとした様子でこちらを見ていましたっけ。きっとあの馬車がそうだったのですよ! 恐らく俺の馬車テクニックに恐れおののいたのでしょうねぇ」得意げに胸をそらせるテッド。しかし、彼は知らない。御者が驚いたのは確かだが、馬車テクニックではなくテッドの発する奇声に恐れおののいていたと言う事実を。「何はともあれギスランより早く着いたことはお礼を言うわ。ありがとう、テッド」「お褒め頂き、ありがとうございます。ではまた同じような速度で今後も馬車を走らせても良いでしょうか?」テッドはあの風を切って走る爽快感が病みつきになっていたのだ。「それは却下よ!」「はい……そうですよね」シュンとするテッド。「そういうことは、誰も乗せない馬車でやって頂戴ね」「はい、オリビア様!」オリビアは馬車を降りると、テッドに見守られながら屋敷の中へ入っていった。**「はぁ~……それにしても怖かったわ。今も生きているのが不思議なくらいね」馬車の中で足を踏ん張り、手すりに
last updateLast Updated : 2025-02-05
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54話 婚約破棄宣言と修羅場

「な、何ですって……ギスランが来た……?」フットマンの言葉に青ざめるシャロン。「ふ~ん……ギスラン、やっと来たのね」「ちょっと! オリビアッ! まさかあんたがギスランを呼んだの!?」シャロンはオリビアを指さしてきた。「は? まさか。何故私がギスランをわざわざ家に呼ぶのよ。大体いつも彼は貴女に会う為だけに来ていたでしょう? でも折角来たのだから、応接室にでも案内してあげれば?」「はぁ!? ふざけないで! さっさと追い返しなさいよ!」ヒステリックな声を上げるシャロンに、フットマンはオロオロした様子で返事をする。「そ、それがあの……もう、いつものようにギスラン様を応接室にお通ししてしまったのですが……」「何ですって! どうしてそんな勝手な真似をするのよ!」「そんな……勝手なマネだなんて……」半泣きのフットマン。シャロンはもう使用人の前でも自分の本性を隠そうとはしない。そこでオリビアは助け舟を出した。「シャロン、責めるのはおよしなさいよ。元々彼は自分の仕事を忠実にこなしただけでしょう?」「オリビア様……」感動した様子でフットマンがオリビアを見つめる。「それでギスランは何と言って、訪ねてきたのかしら?」シャロンを無視し、フットマンに尋ねた。「ちょ、ちょっとオリビアッ! 余計な口挟まないでよ!」「はい。ギスラン様はたいそうシャロン様のことを心配なされておいでで、会えるまでは何があっても帰らないと仰っております」「あら、そうなの? 本当にギスランはシャロンのことを愛しているのねぇ。良かったじゃない?」オリビアは笑顔をシャロンに向ける。「嫌味なことを言うんじゃないわよ! 大体ねぇ、あんたは私があの男に興味が無いのは、もう知っているでしょう! 冗談じゃないわよ! あんな男、もういらない。あんたに返してあげるわよ!」「シャロン! 今の話は本当なのか!?」その直後。突如として廊下にギスランの声が響き渡った。「あら、ギスラン。いらっしゃい」何食わぬ顔でオリビアはギスランに声をかける。「あ、ああ‥‥‥お邪魔しているが……シャロン。今俺に興味が無いって言葉が聞こえてきたんだが……」ギスランは青ざめた顔で訴えるような目でシャロンを見る。「ええ、そうよ! この際だからはっきり言ってあげる。私はねぇ、一度たりともあんたに好意を抱いたことは
last updateLast Updated : 2025-02-06
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55話 婚約破棄だ!

「シャロン……嘘だろう……?」ギスランは余程ショックだったのか、がっくりと膝をついてしまった。「あら~ギスラン。残念だったわねぇ。折角私が婚約破棄してあげると言ったのに、シャロンに捨てられてしまっみたいね」「オリビア……お前って奴は……」ジロリと睨みつけてくるギスラン。その目は涙目になっている。「何よ。シャロンに捨てられたからって、私に八つ当たりするつもり? あなた本当に頭がどうかしてるんじゃないの?」「オリビア! 何もそこまで言わなくてもいいだろう!?」「言うわよっ! 大体今まで一度でも私に会う為に、屋敷に来たことがある? 無いわよねぇ!? いっつもいっもあなたが会いに来るのはシャロンの為でしょう! どこかへ2人だけで出掛けたことだって無いじゃない!」すると何故かギスランの口元が綻びる。「そうか……分かったぞ、オリビア」「何が分かったの?」「お前……さては嫉妬していたのか? だからそんなことを言ってるんだろう?」「は? 嫉妬? 一体何を言ってるの?」「照れるなって……シャロンの言葉で目が覚めた。俺にはおまえがいたんだものな」「ギスラン、あなた頭がおかしいんじゃないの? 私はさっき、婚約破棄を告げたわよね? 身内と不貞行為をするような相手と誰が婚約関係を続けるって言うのよ」「素直になれよ。オリビア」ギスランはにじり寄って来ると、オリビアの右手首を掴んできた。その途端、オリビアの全身にゾワッと鳥肌が立つ。2人の様子に使用人達は騒めくが、相手が伯爵令息なのでどうすることも出来ない。「触らないでよ! 鳥肌が立ったじゃないの!」「はぁっ!? 鳥肌だと!? ふざけるなよ! 人がさっきから下でに出ていればいい気になりやがって! オリビアのくせに生意気な!」手首を握る力が強まる。「離してよ! 痛いじゃないっ!」「だったら、俺の言う事を聞け!」そのとき――「おい! 妹に何をするっ!」廊下に大きな声が響きわたり、使用人達を掻き分けてミハエルが現れた。「あ……お兄さんではありませんか。こんにちは。ご安心ください、妹は妹でもシャロンではありません。オリビアとちょっと話をしていただけですから」ギスランはミハエルに愛想笑いする。「黙れっ! 俺の本当の妹はそこのオリビアだけだ! 一体お前は妹に何をしている!?」「ええっ!? ミハエル様
last updateLast Updated : 2025-02-07
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56話 家族の団らん

 その日の夕食の席でのこと――オリビアがダイニングルームに顔を出すと、いつの間に和解したのかミハエルも同席していた。「おお、来たようだな。オリビア」「待っていたよ。オリビア」父であるランドルフとミハエルは不気味なほど笑顔でオリビアを迎え入れた。「どうも……」少しだけ鳥肌を立てつつオリビアが席に座ろうとすると、ミハエルが素早く立ち上がって椅子を引いた。「さぁ、可愛い妹よ。お兄様がお前のために椅子を引いてあげたぞ。座るが良い」「……ありがとうございます」ますます不気味な気持ちになりながら、礼を述べるとミハエルはニコニコ笑う。「な〜に、気にするな。兄として当然の仕事をしたまでだ」「はぁ……」席を引くことが兄としての仕事かどうか疑わしいが、一応返事をするオリビア。「うんうん、仲の良い兄妹だ。やはり家族はこうでなくてはな。では、食事を並べてもらおう」その言葉に合わせたかのように、給仕たちが現れて料理をテーブルの上に並べていく。美食貴族と言われるだけあり、今夜も見事な料理だった。全ての料理が並べられるとランドルフは声をかけてきた。「では、家族団らんの夕食会を始めようか?」「はい、父上」(シャロンと義母がいないのに、家族団らんと言っていいのかしら)素朴な疑問を抱きつつ、オリビアも「はい」と返事をすると3人だけの夕食会が始まった。カチャカチャとフォークやナイフの音を立てつつ、ランドルフとミハエルの白々しい会話が始まった。「どうだ。フォード家自慢の料理は?」「はい、とても美味ですね。やはり家族団らんの食事は美味しいです」「そうだろうとも。今夜はまさに本物の家族だけの食事会だからな」「ええ。強い絆で結ばれた真実の家族ですから」「……」しかし、オリビエは2人の話を半分も聞いていなかった。何しろ今のオリビのアの頭の中をしめているのはアデリーナのことだったからだ。(今日の出来事で、アデリーナ様はすっかり人気者になってしまったわ。もう私の出る幕はないわね。マックスからアデリーナ様と食事に来て欲しいと言われていたけど、誘うことも難しそうだし……)「ゴホンッ! ところでオリビア」不意に父親の咳払いでオリビアは我に返った。「はい、何でしょうか? お父様」「うむ。驚くかもしれんが、実はシャロンは明日から修道院に入ることになった。それに母親
last updateLast Updated : 2025-02-08
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57話 誘い

—―翌日 今朝はとても良い天気だった。父親と兄から猛烈な『一緒に朝食』アピールを軽くあしらい、オリビアは1人自室で食事をとった。家を出るときは、御者のテッドが馬車を出す提案をしてきたが、オリビアはそれを丁寧に断り、いつものように自転車に乗って大学へ向かったのだった。****「あら? あれはマックスじゃない」自転車をこいで大学の正門が近づいてくる頃、門の手前に立つマックスの姿に気付いた。彼は誰かを捜しているのか、辺りをキョロキョロ見渡している。自転車でさらに近付くと、マックスがオリビエの姿に気付いて手を振ってきた。「おはよう! オリビアッ!」正門に入ってくると、マックスが笑顔で挨拶してきた。「おはよう、マックス。こんなところで何をしているの? 誰かを待っていたの?」オリビアの話に、拍子抜けした顔になる。「あのなぁ、誰かを待っていたのは確かだが……それが自分のことだとは思わないのか?」「え? 私を待っていたの? 何故?」まさか自分を待っていたのだとは思わず、オリビアは目を見開く。「そんなことは決まっているだろう? 昨日、ギスランに婚約破棄を告げるっていっただろう? どうなったんだ?」「ええ、勿論告げたわよ。当然じゃない」「おおっ! そうか、やるじゃないか。だけどあいつは納得したのか?」「納得させたわ。だってギスランはとんでもない男だったのよ? まだたった15歳の妹と身体の関係があったのよ!」「な、何だって!? それは本当の話か!?」興奮のあまり、大きな声を上げるマックス。その声に通学中の学生たちがギョッとした顔で2人に注目するが、興奮している2人は気付くはずもない。「朝っぱらからこんなこと、冗談で言えると思う? 本当の話、真実よ。あり得ないわ。その事を知った時、全身に鳥肌が立ったんだから。今だって思い出すとぞっとするわ」「成程……それは確かに生々しい話だな。まさか未成年相手に肉体関係があったとは。もはや犯罪レベルだな」「ちょっと、もう少し言葉を濁した言い方が出来ないの?」「あ、悪い。つい驚いてしまって。でも良かった、これで安心したよ」マックスが笑顔になる。「安心した? どういうことなの?」「つまりオリビアは奴とは婚約破棄して、今はパートナーが誰もいないってことだろう?」いつの間にかギスランから奴という呼び名に変わ
last updateLast Updated : 2025-02-09
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58話 彼女を誘え

「オリビア、それじゃ今夜必ず俺の店に来てくれよな。カウンターに予約席として一応2席確保しておく。出来ればアデリーナ嬢と2人で来てくれ」教室の前で、マックスが念押ししてくる。「ええ、分かってるわ。アデリーナ様を見つけて、お誘いしてなるべく一緒に来て貰えるように頼んでみるから。少しでも売り上げに貢献してあげるわよ……って、何? 変な顔して」マックスは苦虫をかみつぶしたかのような顔で見つめている。「あのなぁ、変な顔だけよけいだよ。俺がアデリーナ嬢を誘ってくれと言ってるのは売り上げの為だと思っているのか?」「あら? 違うの?」すると「はぁ~」と大袈裟にため息をつくマックス。そして次に真剣な顔つきに変わった。「いいか、オリビア。俺がアデリーナ嬢を誘ってくれと言ってるのは彼女が強いからだ」「……は? 強いから? 何故?」首を傾げるオリビア。「おいおい、本当にそれで才女で通っているオリビアなのか? いいか? 初めて俺の店に来た時、質の悪い男に引っかけられそうになっただろう?」「あ、そう言えばそんなことがあったわね」ここ最近、周辺の環境がガラリと変わった為、そんな些細な出来事はすっかり忘れ去っていたのだ。「そうだ。あの店は姉が営業している時間帯はそんなことは無いが……夜になると、少々……いや、極まれに治安が良くない場合がある。また変なのに絡まれたら厄介だろう? その為のアデリーナ嬢だ」「え? まさか……アデリーナ様を私の用心棒にするつもりなの!?」「いや、そこまでのことは言ってないだろう? ただ、あの人がいれば変な輩が絡んで来てもあしらってくれるはずだ。だからだよ」「だけど、そんなことでアデリーナ様を誘いたくないわ。純粋に私はあの方と楽しい時間を過ごしたいのに……それに、私に声をかけるのは余程の物好きとしか思えないわ。きっとあの時の男だって、酔っぱらっていたんじゃないの?」「全く、無自覚なんだな……」ボソリと呟くマックス。オリビアはあの夜、全く気付いていなかったのだが、店内に入った途端男性客たちから注目されていたのだ。今迄家族や使用人、それに婚約者のギスランに相手にされてこなかったオリビア。自分の持つ美貌に気付いていない。「とにかく、あまり夜の女性の一人歩きは良くない。なるべくアデリーナ嬢を連れてくるんだよ。いいか、分かったな?」「分
last updateLast Updated : 2025-02-10
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59話 待ち伏せ

 1時限目の授業をさぼってしまったオリビアだったが、他の授業は全て出席した。何故なら、大学院進学がかかっている。授業に手を抜くわけにはいかなかったのだ。そして放課後――帰り支度をしていると、エレナが話しかけてきた。「オリビア、これからアデリーナ様を探しに行くのでしょう? あの方が何処にいるのか、あてはあるの? 休み時間も会えなかったじゃない」「大丈夫よ。一応あてはあるから、行ってみるわ。でも会えなかったら1人でマックスのお店にいくつもりよ」「ごめんね、オリビア」「え? 何故謝るの?」突然謝ってくるエレナに、オリビアは首を傾げる。「もしオリビア様に会えなかったら、私が付き添いしようかと思ったんだけど。今夜は婚約者の家で夕食会に招かれているのよ」「あら、そんなこと気にしないで。それよりも夕食会を楽しんで来て頂戴」「ありがとう、オリビア。それじゃ彼が待っているか先に帰るわね」「ええ。また明日ね」エレナは笑顔で手を振ると、教室を出て行った。「……さて。私も行きましょう」帰り支度を終えたオリビアはカバンを持つと、席を立った——****「え? いないのですか?」図書室にオリビアの声が響き渡る。「はい、アデリーナ様は本日はこちらにいらっしゃいません」カウンターの女性の言葉に、オリビアはがっくり肩を落とす。「そうですか……ありがとうございます」「いえ、何だか申し訳ございませんでした」「そんな! 謝って頂くようなことではありませんから。ありがとうございました」オリビアは女性にお礼を述べると、図書室を後にした。**「参ったわね……まさかアデリーナ様に会えないとは思わなかったわ。残念だけど、今日は1人でマックスの店に行くようになるわね……」自転車置き場にやってきたオリビアはため息をつき、足を止めた。「え……?」自転車置き場にギスランがいる。彼はオリビアの自転車のハンドルに両肘を乗せてこちらを見ていた。「待っていたぞ、オリビア」ニヤリと笑うギスラン。それだけでオリビアは嫌悪感で鳥肌が立った。「何しているのよ。それは私の自転車よ。どいてくれる?」「ここにいればオリビアに会えると思って待っていたのに、そんな言い方は無いだろう? それより、もっと近くへ来いよ。これじゃ話もしにくいじゃないか」ギスランに用心しているオリビアは2
last updateLast Updated : 2025-02-11
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60話 撃退

「アデリーナ様!? どうしてここに!?」するとアデリーナが振り返った。「今日は1日オリビアさんに会えなかったから、ここに来ればきっと会えると思っていたのよ」「私を捜してくれていたのですか? ありがとうございます!」感動のあまり、オリビアの目が潤む。「一体何の真似だ! 俺は今オリビアと話の真っ最中だったんだ! 部外者は黙ってろよ!」あろうことかギスランは、年上でしかも侯爵令嬢のアデリーナにとんでもない口をたたいた。「ギスランッ! アデリーナ様に何て口の利き方をするのよ!」「うるさいっ! オリビアのくせに黙ってろ!」「いいのよ、オリビアさん。私は気にしていないから」アデリーナは言い合いするオリビアを優しく制すると、次にギスランを睨みつけた。「生憎、部外者じゃないわ。彼女は私の大切な親友なのよ。彼女に乱暴な真似をするのは、この私が許さないわ」「何だって……? 女のくせに生意気だな。だったらお前から痛い目に遭わせてやるよ!」ギスランはアデリーナにつかみかかろうとして、逆に悲鳴を上げた。「ギャアッ! い、いってー!」アデリーナはギスランの腕を素早くかいくぐると、右腕を背中にねじり上げていたのだ。「畜生っ! 離せよ! くそっ! こ、こんなの振り解いて…‥イタタタタッ!! 痛い! 頼む、やめくれっ!」ギスランはアデリーナの腕を振り解こうとするも、増々ねじり上げられる。余程痛いのか、その目には涙すら浮かべている。「離して欲しければ、金輪際オリビエさんには近づかないと誓いなさい」更にギスランの腕をねじ上げるアデリーナ。「ひぃ! わ、分かった! 分かりましたっ! お願いです! は、離して下さい……!」ヒィヒィ叫ぶギスランの腕をねじり上げながら、アデリーナはオリビアに尋ねた。「オリビアさん、どうする? こんなことを言ってるけど」「はい、離してあげてください。これ以上耳障りな悲鳴を聞きたくも無いので」「それもそうね?」アデリーナはニコリと笑みを浮かべて手を離すと、ギスランは無様に地面に膝をついた。「ギスランと言ったかしら? オリビアさんに感謝する事ね。約束通り、二度と彼女にまとわりつかないことね。さもなくば……」ジリッとアデリーナがにじり寄る。「ヒッ! はい、勿論です!! 誓います! 二度と近寄らないと誓います!」ギスランは立ち上
last updateLast Updated : 2025-02-12
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