ディミトリが自室として割り当てられたのは六畳ほどの部屋だ。 元々はタダヤスの父親が使っていた部屋らしい。勉強机などがそのまま残されていた。 高校を卒業すると同時に大学の寮に入ったので、年に数回帰ってくる時以外は使わなくなったのだそうだ。「この部屋に有るものは全部使って良いわよ~」 祖母はそう言っていた。 もっとも、大した飾り気の無い部屋だった。空気を入れ替える時以外は、誰も入らなかったのであろう。 少し埃が籠もっているような気がする。 壁には昔の野球やアイドルのポスターなどが張られていた。 本棚には教科書や参考書があり、漫画本も少しだけ置かれていた。 タダヤスの元いた部屋も似たような感じだった。さすがは親子だなとディミトリは思った。 もっとも、タダヤスの部屋のポスターは、アニメのキャラクターだらけだった。「ネットが出来る環境が必要なんだがな……」 部屋を見回してみるとパソコンが無い事に気がついた。大学の寮に入る時に持っていたのだそうだ。 色々と調べてみるとインターネットに繋ぐための設備は無かった。「折角、ノートパソコンが有るのにな……」 タダヤスの祖父は物を買うとそこで満足してしまう質だったようだ。 大して使っていなかったらしい。 そこで、祖母に頼み込んで自分用のスマフォを購入し、LTE接続で使えるようにしてもらった。 手短な所でネット環境が整ったので、ディミトリは早速自分を検索してみた。『NOT FOUND』 何も引っ掛からない。 普通ならフェイスブックとかのSNSに一つくらい掛かりそうだが、見事に無いのだ。「う~ん……」 思いつくキーワードは色々試すが何も出てこなかった。小学校や中学校の名簿を調べてみたが無かった。 まるでこの世にディミトリが存在しなかったような感じさえある。「………………」 もっとも、秘匿性の高い作戦に従事することが多かったので、目立ったものは何も出ては来ないと思っていた。 暫く探し回っていたディミトリは違和感を覚えた。 だが、自分が関与した作戦は実際にネットに掲載されているのを見つけている。 もちろん、部隊名や作戦名は出てこないが、新聞記事などから推測出来るのだ。「俺の妄想では無いのは確かなんだがな……」 記事の内容と自分の記憶に齟齬が余りないことから実際に事件が有ったのは確か
Last Updated : 2025-01-08 Read more