隣町。「ちょっ、マテヨ!」 いきなりの展開でディミトリは慌てていた。目の前でアオイに繋がる手がかりが拐われてしまったのだ。「逃がすかっ!」 追いつく可能性が無いのに走り出してしまったのだ。逃げる物を追いかけるのはハンターの習性であろう。 だが、冷静に成ってみればアオイの携帯電話には、位置情報発信アプリを仕込んである。別に慌てなくても良かったのだ。 しかし、急な出来事ですっかり失念してしまっていた。 車は傾斜地特有のクネクネとした道で下っていこうとしていた。「くそっ! まてーーーっ!」 ディミトリは後を追いかけるが、人の足で追いつけるものでは無い。みるみる内に差が開いてしまう。 ふと見るとキックボードが棄てられていた。細長い板状の台にちっこいタイヤが付いた子供用の玩具だ。片足で地面を蹴りながら進んでいくようになっている。(よしっ! コイツを使って追い駆けるっ!) ディミトリはキックボードを片足で漕ぎ始めた。坂の上であるのでキックボードはみるみるうちに速度を上げていく。 カーブに差し掛かると車は安全のために減速せざるを得ない。しかし、ディミトリは減速をせずにカーブに突入していった。キックボードにはブレーキが付いていないのだ。 ディミトリは身体を地面スレスレに傾けてキックボードを制御している。(こっちの方が小回りは有利だぜ!) しかし、直線になると車が有利だ。アッという間引き離される。ディミトリは必死に地面を蹴って走らせた。「何だ?」「何が?」「後ろから変なのが追いかけてきている……」 車内に居た全員が後ろを振り返った。すると、車に追いつこうとしている少年の姿が目に入った。 アカリには少年がディミトリであると直ぐに分かった。(え? どうして若森くんが居るの?) 不思議な事に唖然としていたが、車内の男たちには知り合いだとは教えずにいた。車には運転手の他には一人いる。 二人共、ディミトリの事は知らないようなので、教える必要は無いと考えたのだ。「あれって子供用の奴だよな…… キックボード?」「だよな?」 全員が注視していると、ディミトリはカーブを器用に曲がってきている。「何てヤツだっ! カーブをカウンターを充てながらキックボードで曲がって来やがった!」 アカリの隣にいた男が変な関心をしていた。「おおお! 無駄にスゲェ
Terakhir Diperbarui : 2025-02-28 Baca selengkapnya