ママが電話で僕の居場所を見つけてくれたとき、僕は地面に横たわり、肌が真っ赤な発疹で覆われていた。その時も、パパは「お前の息子はお前が悪い教え方をしたせいだ!ちっとも礼儀がないし、テーブルに吐くなんて、ゴミ箱に吐けないのか?それに、人の好意を少しも受け入れないなんて。まったく、お前にそっくりだ」と繰り返していた。ママは耐えきれずにパパに平手打ちをし、僕を抱き上げて病院に向かって走り出した。僕は空中に浮かんで、静かにすべてを見守っていた。パパが大嫌いだ。いつだって、ママと僕のことを気にかけてくれない。そう、僕は死んでしまったんだ。これが死というものなのか。昨年、隣に住んでいた阿部おじいさんが亡くなったとき、彼もこんな風に空を漂っていたのかな?その時、僕は彼を見ていなかったけど、パパとママも僕が見えないのかな?でも、僕は彼らが見える。ママが僕を抱いて号泣しながら、路肩で救急車を待っている姿も。そして、ママが医者に僕を助けてくださいと必死に祈る姿も。医者は画面をじっと見つめ、ため息をついた。その画面には、三本の平行な線が映っていて、全く動きがなかった。ママは一人であちこち忙しく動き回り、僕は「僕」が小さな穴の中に運ばれていくのを見ていた。その後、ある男性がママに小さな箱を手渡した。ママはその箱を抱いて、ぼんやりと道路の車の流れを見つめていた。夜になるまで、家には戻らなかった。ママはベッドに横たわり、時折布団を抱きしめて泣きじゃくったり、天井をぼんやりと見つめたりしていた。僕は静かにママの隣に横たわった。いつもママが僕を寝かしつける時みたいに、ママを軽くトントンとしたかった。でも、僕の手がママの体をすり抜けてしまうのを、ただ見ているしかなかった。びっくりして叫んでしまったけど、ママは全然気づかない。ママは動かずに横たわっていて、僕は退屈だったので、昨日ママと組み立て終わらなかった積み木の方に歩いていった。続けて組み立てようとしたけど、手が積み木をすり抜けてしまって、持ち上げることができなかった。アニメを見るためにテレビをつけようとしたけど、それもできなかった。仕方なく、僕は再びベッドに横たわり、ただ静かにママと一緒にいるのも悪くないと思った。でも、ママはお腹が空いていないのかな?
Last Updated : 2024-10-08 Read more