「ええっ?あっちが正妻?不倫相手を追い払うんじゃなかったの?」「マジで見逃した...川野製薬のお嬢様、河野夕子と東大卒のエリート佐藤啓介の豪華婚、SNSで話題になってたの知らないの?」「まあ、もうちょい様子見しよう。ひょっとしたら夕子が寂しくて浮気しちゃったのかも」美香は私が正妻だって事実から目を逸らし続けてた。だからこそ、みんなの前で彼女の本性をさらけ出してやる。「美香、あんたを親友だと思って起業資金に2000万も貸したのに。これで恩返し?不倫相手の相談を受けたとか言って、私を追い出そうとするの?」「不倫相手の味方して奥さんを追い出すなんて、法的にアウトかどうかは置いといて、あんた、そもそも人としてどうなの?」私が経験した交渉ごとは美香の想像も越えている。口げんかなら、美香なんか私には敵わない。案の定、正義マンたちはあっという間に私の味方になった。「不倫の味方?マジでドン引き」「こんな大騒ぎして奥さん追い出そうとするなんて、手慣れてんな。前科ありか?」「不倫野郎より気持ち悪いのは、不倫を擁護するやつ。これマジ」でも、私も美香を甘く見てた。あいつも外の世界で揉まれて、なかなかしたたかになってたみたい。一瞬の戸惑いの後、美香は胸を張って言い返してきた。「夕子、散々言ったでしょ。男が浮気したらもうアウト。一度やったらもうクセになるの」「それに、あんた子供作る気ないんでしょ?啓介のこと愛してるって口では言うけど、あの人のこと本気で考えてる?年取って、寂しい老後を送ることになるのよ?」私はちょっと動揺した。確かに、今のところ啓介と私には子供の予定はない。でも、それは二人とも仕事に集中したいからで、子供のことは30過ぎて仕事が落ち着いてからって話し合ってるんだ。こんなことまで持ち出すなんて。ネットの一部のおっさんが子孫を残すことを盾に女性を攻撃するのを知ってたから、いっそこの話には乗らず、きっぱり言い返した。「何度も言ったでしょ。私と啓介は上手くいってる。彼が浮気してるかどうか確かめる時間が欲しいだけ」「なのにあんたは、啓介に確認させてくれないし、あんたに相談した不倫相手が誰なのかも教えない。ただひたすら離婚しろって。おかしくない?」美香は開き直ったように言い返した。「依頼人に散々確認したわよ
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