賀茂時也はスマホを握りしめながら言った。「今どこだ?」「北郊です。彼らを追ってますが、薬を盛られて体がもう限界です。早く来てください」林さんは急いで話した。遅れたら、もっと大変なことになるのが怖かったからだ。「それと、さっき若奥様の持ち物が全部捨てられました。追跡されるのを防ぐためでしょう。相手はかなりプロです。訓練を受けてる人たちだっと思います」賀茂時也は電話を切ると、地下室に向かって歩き出した。「すぐに林の位置を特定しろ」小早川は急ぎ足で賀茂時也に追いついた。「はい」二人はすぐに駐車場に到着した。賀茂時也は車のドアを開けて運転席に乗り込んだ。小早川は気を抜くことなく、後部座席に座った。この時、小早川は賀茂時也が全速力で運転するだろうと思っていたが、意外にも運転は非常に慎重だった。小早川は少し戸惑いながら言った。「時也様」賀茂時也の顔色がやはり良くなかった。「ああ」小早川は口を開けたものの、何を聞くべきか迷った。しばらくして、ようやく言った。「若奥様が拉致されたことに、心配していないのですか?」賀茂時也は小早川を一瞥し、冷たく答えた。小早川は自分が愚かなことを言ったとすぐに気づいた。「それとも、時也様はもう若奥様が拉致されたことを知っていたんですか?」「僕は未来を予知できない」賀茂時也の声は冷たく、無感情だった。小早川は微かに顔をゆがめた。それなら...どうして今回はこんなにも冷静に運転しているのか?小早川は気になって仕方なかったが、聞くことができず、仕方なく黙ってしまった。実際、賀茂時也の運転速度は速かったのだが、いつもはもっと激しく加速するため、今回は普通に見えたのだった。......南雲華恋を乗せた車はすぐに山の前に到着した。その山はすでに荒廃しており、人は見当たらなかった。数人が車を降り、南雲華恋を担いで山へ登った。山頂では、瀬川結愛と小清水夏美が待っており、南雲華恋が到着すると二人は喜んだ様子を見せた。「小清水夫人、賀茂若奥様」月村晃の親父は二人に敬意を表してお辞儀をした。「南雲華恋を無事に捕らえた」小清水夏美は草むらに投げられた南雲華恋を一瞥し、称賛の言葉を発した。「よくやった」瀬川結愛も一歩前に出て、何気なく尋ねた。「誰にもバレてないよ
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