「一生の黒歴史だな......」 隼人は苦い笑みを浮かべながら、心の中でつぶやいた。 その時、内線電話が鳴り響いた。隼人はスピーカーモードに切り替えて答えた。 「どうした?」 「隼人社長、KS WORLDホテルの桜子様の秘書がいらっしゃっています。ご予約はないようですが、お帰りいただきますか?」 井上は「翔太が来た」と聞いた途端、まるで猫を見た犬のようにムスっとした表情で眉をしかめた。 「中に通せ」 隼人は冷静な声で命じた。 「えっ、本当に通すんですか?」 井上は信じられないという顔をしたが、隼人はそのまま口を閉ざし、視線を電話から外さなかった。 宮沢グループの社長と会うのは簡単なことではない。だが、翔太が桜子の部下であることを考慮し、隼人は特別に「その扉」を開いた。 数分後、翔太は冷たい表情でオフィスに足を踏み入れた。 「隼人社長、桜子様のご指示で、これをお届けに参りました」 そう言いながら、彼は白い箱を隼人の机にそっと置いた。 「中身は何だ?」隼人は箱をじっと見つめながら、顔を上げなかった。 「爆弾です」翔太は何の感情も込めずに答えた。 隼人は無言で視線を箱から移し、眉をわずかにひそめた。 「......」 「おい、それが面白いと思ってるのか?」 井上は翔太の発言にカチンときて、口調を荒げた。 「爆弾なんて本気で持って来れるわけないだろう!宮沢グループのセキュリティが甘いとでも思ってるのか?」 翔太は軽く笑みを浮かべた。 「だからこそ、隼人社長がこれを聞く必要はないんですよ。危険物でないのは当然です。桜子様がお送りしたものなのだから、黙って受け取ればいいだけの話です」 井上は悔しさに拳を握りしめながら心の中で叫んだ。 なんて嫌味なヤツだ!見た目だけはまともそうだが、口が本当に悪い! 隼人は疑問を抱きながらも箱を開けた。 中には、危険物など何も入っていなかった。ただの、犬の顔を模したかわいらしいクリームケーキが一つ――両方の要素を持ち合わせた「ブサカワ」なケーキだった。 その瞬間、隼人の口元がほんの少しだけ緩んだ。 「これ、桜子が手作りしたのか?」 隼人は平静を装いながらも、期待を滲ませた声で
Read more