「優希様、最高!優希様、万歳!」 「マジか!優希さん、ホントにすごい!俺、ACEの会員になるわ!」 「俺も会員更新する!やっぱ優希さん、頼りになるわ!」 客たちは大興奮し、場の空気は熱気に包まれていた。 その時、千奈のスマホに営業部からメッセージが届いた。今夜の売り上げが開店以来、最高記録を更新したと。 優希は莫大な財産を持つお金持ちだが、ただの無鉄砲な御曹司ではなかった。 今夜、彼は客全員分の会計を負担するという大胆な行動に出た。しかし、それは単なる無駄遣いではない。 ACEの人気をさらに高め、顧客の信頼を得たうえで、消費意欲を刺激することにも成功したのだ。 まさに「一石三鳥」の策だった。 「そ、そんな......すごくもったいないです......」 初露は伏し目がちに長いまつげを震わせ、恥ずかしそうに唇をかみしめた。 「どうした?俺の金が心配か?」 優希はおもしろそうに眉を上げた。 彼女のために、今夜は惜しみなくお金を使った。それでも、彼の心は満たされていた。こんなに楽しい気分になったのは久しぶりだった。 この子のために何かをすることが、自分の気持ちからなのか、それともただの自己満足なのか......彼にはもう分からなかった。 初露は澄んだ瞳で彼を見つめ、小さく頷いた。 「へえ、おもしろいな。俺、今までいろんな女を見てきたけど、みんな俺に金を使わせたがってたんだよな。でも君は、俺の金を心配するんだ」 優希は軽く体をひねり、欄干に寄りかかると、彼女の赤くなった顔をちらりと見た。その薄い唇には、少し挑発的な笑みが浮かんでいた。 「どうだ?これから俺の金を管理してくれるか?菜花ちゃん」 酔いのせいもあってか、彼の声にはいつも以上に艶っぽい響きがあった。 二人の肩が触れるほど近く、彼女は彼の吐息を耳元に感じていた。 初露はその意味深な言葉に戸惑いながらも、肩をすぼめ、小さな声で答えた。 「わ......私、銀行じゃないので、優希さんのお金なんて管理できません」 「銀行だけが俺の金を管理できるわけじゃないんだぞ、菜花ちゃん」 優希は口元に微笑みを浮かべながら、気軽な動きで彼女の髪を指先で触れた。その柔らかさは、まるで絹のようだった
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