All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 371 - Chapter 380

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第371話

「そんな嬉しそうに笑っちゃって、旦那さんからメッセージでも届いたの?」牧野明凛は親友をからかって言った。親友と結城理仁の間に少し進展があったので、牧野明凛も自分のことのように喜び、早く二人の結婚式でブライズメイドになりお祝いしたいと思っていた。「うちの客間にはまだベッドやクローゼットがないんです。彼が最近ボーナスが出るから私に三十万円送金してくれるそうで、そのお金でベッドとか、クローゼットとかシーツなどの必要な物を買いに行ってきます。清水さん、昼食の後、陽ちゃんのお昼寝が終わったらあなたを連れて買い物に行きますね。必要なものをご自分で選んでください」清水は笑って言った。「私は適当な人なんです。特に選り好みはしませんし、住む場所さえあれば十分ですよ」「それでも適当になんてできませんよ。気持ちよく暮らしてもらわないと。雇い主がお金を出すって言っているんですから、遠慮せずに良い物を選びましょう」内海唯花はベビーシッターの清水の働きがとても良いなら、長期契約をして、一緒に住み家族同然のように暮らそうと思っていた。それで清水には義理を欠くような真似はできないのだ。時間を確認し、内海唯花は神崎姫華に尋ねた。「姫華、ここでご飯食べてく?」神崎姫華は今後二度とスカイロイヤルホテルに行って結城家の御曹司を待ち伏せすることはないし、家にも帰りたくなかったので遠慮せずに答えた。「うん、ここで食べていくわ」それで内海唯花は清水に頼んで一人分多めにご飯を作ってもらった。「内海さん、それじゃあ、私はご飯を作ってきますね」内海唯花は甥っ子がおもちゃで楽しそうに遊んでいるのを見て言った。「お願いします。私が陽ちゃんを見ていますから」清水はキッチンに入ると、急いで携帯を取り出して結城理仁にメッセージを送った。「若旦那様、神崎さんがいらっしゃいました。奥様は彼女に一緒にご飯を食べるように言って、神崎さんもここにいることになりましたよ」結城理仁は会議が終わった後、すぐに内海唯花に送金した。そして重要な書類をいくつか処理した後、整理してまた早めに休憩時間に入り、店に行って妻と一緒に昼食を取ろうと思っていた。その矢先に清水からのメッセージが届いた。結城理仁はその瞬間、まるで冷水を浴びせられたかのように、全身が凍り付いた。「神崎姫華、お前は本当に
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第372話

結城理仁「……ばあちゃん、それは気が早すぎるぞ。ばあちゃんの息子たちに頑張ってもう一人産めって言えばいいさ。孫娘を産ませたほうが、早いと思うが」おばあさんはそれを聞くと笑い、また怒鳴って言った。「もしおじいさんが生きていたら、あなた私と彼に自分たちで頑張って女の子を産んだほうが早いとか言わないでしょうね?あなたの両親も、その兄弟たちも、もうかなりの年齢なのよ。産めると思う?若い頃に女の子が生まれなかったんだから、今はあなた達孫に頼むしかないのよ」「俺の三番目のおじさんとおばさんはまだ四十ちょっとだろう?あの二人ならまだいけるんじゃないか?」それを聞いた結城家の三番目のおじ夫婦はきっとこの甥に対してひどい奴だと罵ることだろう。「あなた今忙しいの?」「俺は今ばあちゃんと電話で話しているが」「よく聞いて、あなたの言葉にはトゲがあって、ちっとも可愛げがないわ。忙しくないのよね?それだったら、おばあちゃんが今からそっちに行くわ。おばあちゃんと孫二人で一緒にショッピングにでも行こうじゃないの」結城理仁の顔が瞬時に曇った。「ばあちゃん、俺はまだ仕事中だ」「あなたが会社にいなくても、倒産することなんかないわ。おばあちゃんがあなたと一緒にショッピングするのはあなたにとっても良いことなのよ。女性と買い物をするのに慣れておいたほうがいいわ。そしたら、今後唯花さんと買い物に行く時に我慢強くなれるでしょ。だから、あなたに経験値を積むチャンスをあげるっていうのよ、この貴重なチャンスをしっかり掴みなさいよ」結城理仁は口を引き攣らせ、仕方なく言った。「辰巳を呼んで行ってくれよ。俺は昼、会食があるから」「それは他の人に押し付けたんじゃないの?」結城理仁は少し黙ってから言った。「妻が他人に独占されてしまったんだ。だから、会食に行くしかないだろう」「はははは、おバカさん。ほら見たことか!おばあちゃんが最初になんて言ってたか覚えてるかい?」結城理仁「……」「わかったわ。あなたの邪魔はもうしないから。あの子にショッピングに付き合ってもらいましょ。あなた達兄弟の中で、三番目の子が一番おしゃべり上手な子だわ。彼についてきてもらったほうが、イライラする心配もないしね」おばあさんはそう言い終わると電話を切った。今日はまあまあ収穫があったと言える。少
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第373話

佐々木母はすぐに店の中に入ってきた。彼女は佐々木英子の三番目の子供である恭弥を連れていた。佐々木英子は一緒にいなかった。おそらく会社で仕事をしているのだろう。「陽ちゃん、お兄ちゃんが一緒に遊びに来たよ」佐々木母は孫の手を引いて、こちらに向かいながら陽を呼んだ。「唯花、牧野さん」佐々木母は笑顔で内海唯花と牧野明凛に挨拶し、二人が片付け中であるのをちらりちらりと見た。そしてすぐに彼女の意識は神崎姫華に向いた。神崎姫華は佐々木陽を床に下ろすことはなく、彼に尋ねた。「陽ちゃん、この人だあれ?」内海唯花は背筋を伸ばし、淡々とした口調で言った。「おばさん、どうしてここに?」そして神崎姫華に教えた。「これは私の姉の義母さんよ。陽ちゃんのおばあちゃんなの」内海唯花は『おばあちゃん』という言葉を絞り出すかのように言った。神崎姫華は佐々木母が連れている子供を見てから、また佐々木陽のほうへ目線を下に向けた。佐々木陽が『おばあたん』と一言だけ言ってそれから何も言わないのを見て、彼が祖母とはあまり親しくないのがわかった。内海唯花の姉と義母との関係があまり良くないのだろう。「陽ちゃんは普段一緒に遊ぶお友達がいないでしょ。だから今日はわざわざうちの恭弥ちゃんを連れてきたのよ。陽ちゃんと一緒に遊ばせようと思って」佐々木母はそう説明すると、恭弥が二つの大きな箱に入ったおもちゃで遊びたくて手を離そうともがくのを見て、その手を離した。恭弥にその箱のおもちゃで遊ばせようとしたのだ。「ぼくの」子供は自分の物を誰かに奪われないようにするものだ。佐々木陽も例外ではない。佐々木家のこの従兄はいつも彼の物を奪うのが好きだった。彼がおもちゃを渡さないと従兄が叩いてきて陽は泣いてしまう。彼の伯母は男の子なのだから泣くんじゃないと言い、ただ遊ぶだけで別に持って帰るわけじゃないのにと文句を言うのだ。佐々木陽は伯母の言う話を信じなかった。彼はまだ幼く、多くの言葉を話すことはできない。しかし、毎回従兄が帰った時、いつも彼のおもちゃを取って帰っているのを知っていた。持って帰らなくても、壊されていることもあるのだ。佐々木陽は神崎姫華の懐から床に下りると、従兄を引っ張り、彼のおもちゃで遊ぶのを阻止しようとした。「陽ちゃん、お兄ちゃんを押さないの。こん
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第374話

内海唯花は冷ややかに言った。「恭ちゃんって誰よ。私とどんな関係があるの?陽ちゃんは私の甥よ。その甥っ子に辛い思いをさせて他人の子の機嫌を取るわけないでしょ。陽ちゃんのどこに問題があるの?問題があるのはあんたが教育したその孫でしょ。その子がいつも陽ちゃんをいじめて、おもちゃを奪ったり、叩いたりするんですけど。しかも陽ちゃんのおもちゃを勝手に持って帰ったりもするでしょ。それの祖母のくせに、あんたの目は節穴なの?それとも普段からこうするようにそれの教育をしているわけ?おばさん、その子はあんたの外孫でしょ。陽ちゃんは内孫なのよ、不公平にも程があるわ!」佐々木母「……」そしてすぐに彼女は言った。「唯花、恭ちゃんはまだ小さいのよ。それに陽ちゃんにはこんなにたくさんおもちゃがあるでしょ、恭ちゃんにちょっとくらい遊ばせてやってもいいじゃない?陽ちゃん、お兄ちゃんが泣いてるのよ、たくさんあるなら、ちょっとおもちゃをいくつか分けてくれてもいいよね?」それを聞いて佐々木陽はためらっていた。神崎姫華は陽に言った。「陽ちゃん、あげたくないなら我慢しなくてもいいの。あの子が泣きたいなら、気が済むまで泣かせておけばいいのよ。あの子はね、おばちゃんの代わりに床掃除したいんだって。そのまま床拭きでもさせておけばいいのよ。そしたら、唯花おばちゃんが掃除しなくてもよくなるでしょ」陽は小声で「おにいたん、ひどいもん」と言った。従兄の恭弥が彼に与えたイメージはとても悪くなっていた。「お兄ちゃんがひどい子なら彼と遊ぶ必要はないのよ。そこのおばさん、悪いけどそこの大切な外孫でも連れて出て行ってくださいます?私の友人の店は小さくてあまり広くないので、それを外に連れて行って道路に転がせておけばいいのでは?」内海唯花は自分の家の子に我慢させて他人の子を満足させるようなことはしたくなかった。神崎姫華は言うまでもなく、彼女がやりたいようにやるのだった。余計なことを言って騒ぐような真似をすれば、彼女はいつでもビンタを食らわせてやるのだ。「恭弥ちゃん、良い子ね。起きてちょうだい。もう行きましょう。彼のものなんて珍しくもなんともないの、おばあちゃんがもっとたくさんおもちゃを買ってあげるからね」佐々木母は内海唯花と神崎姫華の言葉を聞いて、相当怒りを爆発させていた。それに孫 が床で転がり
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第375話

内海唯花は暗い顔になり言った。「義理のおばあさんならどれだけ良かったことか。そうだったら、受けるダメージは少なくて済んだのにさ。でも残念なことに血縁者なのよね」甥の祖母と唯花の祖母は張り合えるほどのダメ人間だ。少し黙ってから、彼女はまた口を開いた。「あのおばあさん、病気の孫を連れてやって来たのよ。あいつから陽ちゃんに病気を移させて、陽ちゃんが風邪でも引いたら、お姉ちゃんは安心して仕事に行ける?絶対仕事を休んで陽ちゃんのお世話をするはずよ。まだ働き始めて二日目なのに休みを申請したら、この仕事も難しくなるわ」佐々木家が彼女の姉に職場復帰させたくないから、こんな汚い手を使ってくるとはまったくふざけている。姉は今仕事が見つかったのだから、一日も早く離婚したほうがいい。さっさと離婚すれば新しい人生を歩むことができるのだ。「唯花、あなたのお姉さんの義母はどうして仕事に行かせたくないの?」神崎姫華は尋ねた。内海唯花は箒を手に持って店へと戻っていた。陽が彼女のほうへ向かってきたのを見て、彼女は腰を屈めて片手で甥を抱き上げて、歩きながら言った。「お姉ちゃんのあのクズな義姉が、二人の子供を市内の学校に通わせたいの。お姉ちゃんが今住んでいる家から良い学校が近くにあるものだから、あの女はそれを狙っているのよ。英子が自分のクズ弟にその家を彼女名義に書き換えるよう頼んだの。そうすれば彼女があそこに住むのに大義名分ができて、二人の子供を良い中学に通わせることができるからね。でも、彼女には仕事があるから、毎日働きに出なくちゃいけなくて、子供の塾の送り迎えとかできないでしょ、それでお姉ちゃんにそれを代わりにさせたいらしいわ。ご飯を作って食べさせたり、宿題を見てやったりもね。お姉ちゃんはそれを断ったの。お姉ちゃん、ようやく仕事が見つかって働きに出られるようになった。あいつらは自分の要求を呑んでもらうために、今日みたいな姑息な手段に出て来たってわけ。お姉ちゃんの義母は完全に自分の娘を大切にしているからね。私の義兄も同じよ、あいつも自分の姉に傾倒しているのよ。以前は彼らは姉にとてもよくしてくれていたわ。お姉ちゃんはそれで良い人のところに嫁いだって思ってた。結婚してからも幸せそうだった。でも、子供を産んでからあいつらはもう子供ができたからいいと思ったんでしょうね、その
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第376話

「お姉ちゃん、仕事も見つかったし、佐々木俊介に離婚を切り出してもいいんじゃないの」内海唯花は姉に早く離婚するようアドバイスした。牧野明凛と神崎姫華もそれに合わせた。「早く離婚して早く超ハッピーにならなきゃです」佐々木唯月は目線を息子のほうに落とし、その幼く可愛い顔を見つめた。そして力いっぱい頷いた。「今晩、俊介が仕事から帰って来たら、離婚を切り出すわ」彼女の手にはすでに佐々木俊介の不倫の証拠が揃っているのだ。その証拠を受け取った時は、すぐには二人の関係を悪化させなかった。自分には仕事がなく稼ぎがないから、息子の親権を争えないと我慢していたのだ。もうすぐ年越しになる。本来、佐々木唯月は今の仕事の初給料を得てから離婚を切り出すつもりだったのだが、義母の今日の振る舞いを聞いて、もう我慢ができなくなった。彼らが彼女にどう接してきても、彼女はまだ耐えられるのだが、陽を傷つけるとなってはまた話が別だ。もうこれ以上は我慢することができない!二日前に義母と義姉がやって来た時、佐々木英子が俊介に恭弥がウイルス性の風邪にかかって、まだ完全には良くなっていないと言っている話を耳にした。彼女の義父は恭弥が陽に病気を移すかもしれないと心配して、英子に恭弥を連れて行かせないようにしたのだ。それがまさか彼女が仕事に行っている間に、義母が病気が完全には治っていない恭弥を連れて、わざと陽にその病気を移そうとするなど思ってもいなかった。もしそうなってしまえば、彼女は安心して仕事に行けなくなり、うまいこと仕事をまた失わせることができると思ったのだろう。この考え方は本当に毒がある。彼女が仕事に行かなければ、佐々木英子の子供たちの面倒を見てくれるとでも思ったのか?夢でも見ていろ!「唯月さん」神崎姫華はふくよかな佐々木唯月を見て、なぜだか彼女に一種の親近感を覚えた。それが彼女を唯月ともっと親しくなりたいと思わせた。不思議だ。彼女と内海姉妹はもしかして前世では姉妹だったのではないか?神崎姫華は何事も自分の心の欲するままに行動するタイプだ。彼女が内海姉妹ともっと仲良くなりたいと思えば、自分の心に従うまでで、別に何か考えがあってのことではない。彼女は「唯月さん、離婚で裁判をする必要があるなら、私に声をかけてくださいね。私が一番腕の良い弁護士を見つけて離
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第377話

佐々木陽は母親の懐ですぐに眠ってしまった。佐々木唯月は息子が寝ているうちに、妹に預けた。妹夫妻が彼女に代わって陽の面倒を見るために、ベビーシッターの清水を雇ったのを知って彼女はとても感謝していた。今はまだ彼女は完全には経済的に自立できていない。先に妹夫妻にお世話になっておいて、一人でしっかり立てるようになってから、この夫妻に恩返しをしようと思った。そして佐々木唯月は仕事に戻った。神崎姫華は唯一の親友から電話がかかってきた。彼女の親友がどんな用事があるのかわからないが、彼女は電話を切ってから、内海唯花と牧野明凛に挨拶をして急いで店を離れた。「明凛、店番と陽ちゃんをお願いできるかな。私、清水さんにベッド用品を買いに行って来る」内海唯花は清水にベッドやクローゼット、ベッド用品を買うことを忘れずにいた。「わかった」牧野明凛はこころよくそれに応えた。今高校生たちの下校時間にはなっていないので、お店には人が少なかった。これから彼女はお楽しみの小説の時間だ。清水は「内海さんが行って来てください。陽ちゃんが起きたら、見る人が必要ですからね」と言った。佐々木陽にあのような祖母がいることを知り、清水は陽を可哀そうに思っていた。神崎姫華の言葉を借りて言えば、こんなに可愛い子がどうして好かれないのだろうか。彼女は心の中で、佐々木唯月は男の子を生んで、義母家族から陽はこんな扱いを受けているのだから、もしも女の子だったら、一体どんなふるまいをされたことかわかったもんじゃないと思った。しかし、佐々木唯月が離婚を決めていて良かった。離婚したほうがいい。あのような人間からは、早く離れるのが賢明だ。清水がどうしても店に残ると言うので、内海唯花は車を運転して清水のベッドとクローゼットを買いに行くしかなかった。彼女は午後の時間を費やして、ようやくその用事を済ませた。夕方、急いで店に戻って、慌ただしく仕事を終わらせた後、姉の仕事が終わって佐々木陽を迎えに来るのを待った。牧野明凛は家に帰ったので、内海唯花と清水が店番をすることになった。三十分後、結城理仁がやって来た。「残業はないの?」内海唯花は夫が大きく落ち着いた足取りで入って来たのを見た。その堂々とした自信のあるオーラに彼女は酔ってしまいそうだった。この男、ルックスが
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第378話

残念なことに、彼の親友たちは彼と同じようにみんな結婚したことがないから経験がないのだ。まさかおばあさんに裏でどうすればいいか尋ねるわけにもいかないだろう。きっとおばあさんから笑われてしまう。自分が以前おばあさんの前で頑固にも、きっぱりと「俺は自分から妻を好きになって追いかけたりしない」などと余計なことを言ってしまったのを思い出し、結城理仁はビンタを食らったかのように顔が痛くなったように感じた。しかし、表面上、彼は別に妻を追い求める必要はなかろう。内海唯花はすでに彼の妻なのだから!「結城さん、心配してくれてありがとう。私ちゃんと休むようにするから」内海唯花は器用な指先でビーズを使い車を作り上げた。「結城さん、先に清水さんを連れてお家に帰って。シロと猫ちゃんたちも忘れずにね」結城理仁の顔がこわばった。「俺はペットは連れて行かない」「じゃあ、清水さんにお願いしよう。私は今店は忙しくないから、二人がここにいても何もすることがないでしょ。それなら、先に家に帰ったほうがいいわ。清水さんの部屋を整理する時間もできるしね」「俺が邪魔なのか!」内海唯花は顔を上げて彼の目を見つめ、また下を向いてハンドメイドに取りかかった。そして、おかしくなってこう言った。「結城さん、あなたって本当に敏感な人よね。私がさっき言ったのは本当のことよ。あなたが嫌いで邪魔だって言ってるんじゃないの。だったら、あなたがここにいて何か手伝えることがある?」結城理仁は厳しい顔つきで何も言わなかった。彼はハンドメイドで何か作ることはできない。彼女を手伝って店番をしようか。でも、彼女は彼の表情が怖すぎてお客さんを驚かせてしまうのを嫌がっている。このような現実に直面して、結城理仁は彼女が言ったことを認めるしかなかった。彼は本当に彼女のために何かできることはなかった。おばあさんはどうして彼にこんなに何でもできる妻を見つけてきたんだ。彼の存在をアピールできる機会すらないじゃないか!結城理仁は心の中でおばあさんに悪態をついた。そんなことを聞いたらおばあさんはきっと、どうせあなたと唯花さんは半年の契約結婚だから、期限が来たら離婚するのだろうと言うはずだ。結城理仁「……」血のつながったおばあさんなのに、なんと残酷なことを言うのだろう!清水は焦って言った。「
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第379話

内海唯花は結城社長が結婚しているという実証を得てしまい、神崎姫華に代わって残念に思うしかなかった。結城家の御曹司には本当に妻がいるのだ。だから、神崎姫華は彼のことを諦めるしかない。彼女はとても良い女性だ。彼女が早く結城社長への気持ちを整理し、幸せな道を新たに見つけてほしいと思った。「結城社長が結婚しているのに、どうしてその情報が流れていないのかしら」あの神崎姫華でさえ知らなかったのだ。「たぶん、社長夫人を守るためじゃないかな。うちの社長はイケメンだし、若くてお金持ちだから、彼に会ったことのある若い女性なら、みんな彼の魅力の虜になってしまうだろうからね。神崎さんだけが公に彼に告白して追いかけていて、他の女性はそんな度胸はなかっただけで、神崎さん以外にも彼を慕っている女性はたくさんいるから。彼の妻がどんな人なのか、容姿はどうなのか世間にばれてしまえば、彼が愛する妻に迷惑がかかってしまうかもしれない。彼が気づかないところで妻を傷つける人間がいるかもしれないと心配しているんだろう」「他の人のことはわからないけど、姫華は絶対にそんなことをする人じゃないと思う。彼女は世間からすごく誤解されているわ。結城社長が彼女のことを好きじゃないのは、ただあの二人には縁がなかったとしか言いようがないわね」内海唯花はため息をついた。「姫華が一日も早く立ち直ってくれることを祈るわ。他にも良い男性はたくさんいるはずだし。結城社長にずっとこだわり続ける必要もないと思う」結城理仁はそれには返事をしなかった。「そうだ、あなたやっと社長さんの顔を拝めたんでしょう。彼って本当にカッコイイの?年取ってる?」結城理仁は口角を引き攣らせた。彼女はどうしていつも彼のことをもう若くないと決めつけるのだろうか。彼はまだ30歳だ。この年齢は男の人にとっては、まだまだ若い部類だ。「確かにカッコよかったよ。そんなに年は取ってないって、まだまだ若いよ。どっちにしろすごくイケメンで、男性の魅力に溢れてたな。もし俺が女性だったら、社長に恋してしまうかもしれない」内海唯花はケラケラ笑った。「あなたと比べてどう?」結城理仁「……うーん、たぶん、やっぱり俺のほうがちょっとカッコイイんじゃないかなぁ」内海唯花は笑って言った。「本当に?自惚れじゃなくて?私は結城社長を見たこ
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第380話

彼女は普段、夜遅くに店を閉めるから、恐らく店でビーズ細工作りに励んでいるのだろう。内海唯花は彼を見ながら「あなたにそこまで影響されることはないわ」と言った。結城理仁「……」「お姉ちゃんが今夜、佐々木俊介に離婚話を切り出すって。だから私ちょっと心配なのよ」「だったら、君と一緒に義姉さんの様子を見に行こうか?」内海唯花は時間を見て言った。「この時間は、あの人はまだ帰って来ていないわ。彼はいつも夜中過ぎにやっと帰ってくるの」この姉妹は佐々木俊介が部長になり、仕事が忙しく、接待も多いから夜中にやっと家に帰れると思っているのだから、バカ真面目すぎる。実際あの男は浮気相手と一緒にいるというのに!「義姉さんなら自分でどうにかできるって信じよう」結城理仁はただこのように慰めることしかできなかった。内海唯花は少し黙ってから言った。「私はそんなにうまくいかないような気がするの。佐々木家の人たちはみんな、なりふり構わずだから。知ってる?あいつらお姉ちゃんを働きに行かせないようにするために、陽ちゃんに風邪を移そうとしてきたのよ」彼女は佐々木母がやったことを結城理仁に話した。結城理仁はそれを聞いた後、暗い顔つきになった。「陽君は大丈夫なのか?」「今はまだ風邪を移されたかどうかわからないの。お姉ちゃんが恭弥君はウイルス性の風邪にかかっていて、簡単に他の子に移るって言ってたわ。陽ちゃんは普段から体が丈夫で免疫力も高いから、彼らの策略通りに病気にならないことを祈ってるわ」「義姉さんに何かあれば俺たちに電話をするように伝えてくれ。離婚する時、得るべきものはすべてあいつからもらわなくちゃ。特に陽君の親権だ。絶対に奪い取らないと。もし親権が向こうに渡ったら、陽君は奴らにどんなひどい扱いを受けてしまうかわかったもんじゃない」佐々木俊介には新しい女がいて、仕事も忙しい。絶対に子供の面倒を見るような時間はないだろう。だから陽は彼の両親に面倒を見てもらうことになる。彼の両親はずっと佐々木英子の子供の面倒を見てきたから、愛情はあちらに注がれている。陽がそんな祖父母と一緒にいて、ちゃんと世話をしてもらえるとは思えない。内海唯花は頷いた。彼女たちみんな同じ意見で、このように唯花の姉に言っていたのだ。「彼らが離婚した後……義姉さんの暮らしはどんどん
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