少ししてから、内海唯花は言った。「その同僚さんの条件を聞いてみたら、確かに今までの明凛のお見合い相手の誰よりも優秀みたいね。じゃ、明日すぐ明凛に聞いてみるわ。結城さん、もう遅いから、私先に寝るね」今日は長い時間歩いていたので、内海唯花は疲れていた。結城理仁も腰を上げ、落ち着いて返事した。「うん、お休み」内海唯花も彼におやすみの挨拶をすると、買った物の片付けもせず、そのまま部屋に戻った。明日片付けても同じことだろう。内海唯花が何のためらいもなく、まっすぐに部屋に入ったのを見て、結城理仁は呆れて、暫くその場に立ち竦んでいた。少し黙ってから、彼はベランダに行き、ハンモックチェアに静かに座った。顔を上げて夜空を見ながら、彼と内海唯花の将来が一体どうなっていくのかを考えた。いつも夜遅く寝ることに慣れていた結城理仁は、十一時までブランコに座っていて、ようやく自分の部屋に戻った。同じ屋根の下に生活しているのに、夫婦二人は全く相手に干渉しなかった。お互いに相手の部屋に一歩も踏み入れなかったのだ。まるで部屋のドアを閉めると、二人は全く知らない赤の他人になってしまうようだった。この結果は、まさしく結城理仁の手によってもたらされたものだ。二人は静かな夜をそのまま過ごした。翌日、内海唯花は時間通りに起床した。起きてから、いつものようにベランダで花に水をやっていた。すると、ベランダに小さな蟻がいるのが見えたので、内海唯花は身をかがめてじっくり蟻が歩いているルートを観察してみると、いくつかの植木鉢の下から出てきていることがわかった。どうりで前にリビングにたくさんの蟻がいたわけだ。花の植木鉢の土の中に蟻の卵があって、時間がたつと蟻が卵からでて、あちこち這いまわっていたのだ。このベランダにある花を買ってきてから、まだ害虫駆除していなかった。普段水をやるとき、腰をかがめて確かめなかったので、植木鉢に蟻がいるのに全く気付かなかった。適当に花に水をやった後、内海唯花は財布を持ち、市場へ行こうと思った。そこでご飯の材料を買って店に持って行くつもりだ。ついでに、殺虫剤も買っておかないと。これから、定期的に害虫駆除しなければならない。じゃないと、蟻があちこち湧いてきてキリがなくなる。内海唯花は三十分かけて市場を回り、肉と野
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