警察署。 輝明は翌朝一番に警察署を訪れ、嬌の事件進展を直接確認することにした。電話で煙に巻かれるのを避けるためだった。 署長は大変恐縮し、すぐにお茶を出させながら丁寧に挨拶した。 「高杉さん、わざわざお越しいただくとは。事前にご連絡いただければよかったのに」 輝明は黒いスーツに身を包み、冷たい威圧感を纏っていた。片手で肘掛けを掴みながらソファに無造作に座り、冷たい視線を署長に向けた。 その鋭い目に射られた署長は言葉を失い、思わず身震いした。 高杉輝明――雲城で恐れられる人物。彼を軽んじる者など誰もいない。 彼が警察署に足を運んだ理由は、署内の誰もが理解していた。 最近話題になっていたのは、輝明が元恋人である嬌を容赦なく警察に送り込んだこと。過去の感情を一切考慮しなかったその冷徹さは衝撃的だった。 「陸川嬌は現在保釈中です。挑発による殺人未遂については、彼女が逃れられるものではありません。ただし、事件の複雑さから、今後は他の部署に引き継がれます」 署長が説明すると、輝明は冷ややかに睨みつけた。 「うちの祖母はまだ病院のベッドに横たわっています。昨夜も救命措置を受けたばかりです」 その声には怒りが滲んでいた。 「早急に彼女の判決を聞かせてもらいます」 署長はすぐに頷き、慌てて答えた。 「進捗を急ぎます。ただ……」 「ただ何ですか?まさか僕が毎日顔を出さなければ動かないとでも?」 輝明が目を細め、皮肉を込めた声で問い詰めた。 彼には毎日通う余裕があったが、署長には毎日彼を迎える覚悟があるだろうか。 「いえ、決してそのようなことは……」 署長が否定したその瞬間、オフィスのドアがノックされた。 署長と輝明が一斉に振り返ると、署長の部下が易と共に立っていた。 輝明の目が鋭く細まる。 署長は瞬時に汗だくになった。 実は署長が「ただ」と言おうとしたのはこのことだった。最近、易が何度も嬌のために嘆願に訪れており、署長は板挟みにされていた。 雲城四大家族の一角である陸川家を敵に回すわけにもいかず、輝明にも頭を下げざるを得ない。 「最近報告が遅れていたのは、陸川さんも同じように訪問していたからですか」 輝明は茶を一口すすりながら
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