玲香は奥方の義姉が下人たちの調べを行っていることは知っていたものの、何を調べているのかは分からなかった。そのため、呼び出されたときも困惑した表情を浮かべたままだった。三姫子が老夫人の葬儀の前日、同郷の者とお茶を飲んでいたことについて尋ねると、やっと事態を理解した玲香は慌てて跪いた。「奥様、その日私とお茶を飲んでいたのは妹のような存在の者でございます。小林家に仕える侍女で、故郷に帰る前に、家族に伝言はないかと尋ねに参りました。それで、お土産も一緒に買いに行こうと誘われまして......」長い時間質問を続けていた三姫子は少し疲れた様子で、玲香の言葉を遮って直接的に尋ねた。「その日、葉月に何か伝言を頼まれなかったの?」玲香は少し考えてから答えた。「はい、ございました。小林家の奥様も老夫人の葬儀にいらっしゃるとお伝えするように、と」「葉月に何か品物を渡すように言われなかったの?」「はい、漢方薬の包みを」「どんな漢方薬?」「確か、生地黄でございました」「その生地黄の中に、何か手紙のようなものは挟まれていなかった?」玲瓏は首を振った。「存じません。お言葉を伝えた後、葉月様はすぐに私を下がらせました」そう言って、突然思い出したように「あっ」と声を上げた。「ございました。後ほど伺った際、床に灰が散っておりました。何か紙を燃やしたような跡でございました」三姫子は何か見落としがないか尋ねたが、玲香はしばらく考えた後、確かにないと答えた。それを聞いた三姫子は、人を呼んで玲香を連れ出すよう命じた。夕美は何度も別室を訪れては、下人たちへの尋問を見守っていた。今回も丁度、三姫子が玲香を連れ出そうとしているところに出くわした。「義姉さん、一体何を調べているの?詳しく教えてくれないまま、屋敷中を大騒ぎさせて。下人たちはみんな逃げ回って怠けているわ。お茶を運ばせようにも誰もいないし、晩餐もまだ用意されていないのよ」三姫子は夕美をちらりと見やり、冷ややかに言った。「調査は終わったわ。あなたの好きなように使いなさい」そう言うと、織世に玲香を連れるよう指示して立ち去った。夕美が後ろから「玲香は将軍家の侍女よ。どこへ連れて行くの?」と問いかけたが、三姫子は答えることなく急ぎ足で去っていった。玲香は不安に駆られていた。何が起きているのか分からない
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