「佑樹くん、お母さんだよ」ご飯を食べていた入江佑樹は、携帯がポケットの中で振動しているのに気づいた。彼は携帯を取り出し、見覚えのない電話番号からのメッセージを見て、疑問に思いながらも開いた。メッセージの内容を読んで、彼は持っていた箸をパタっとテーブルに落とした。「どうしたの、佑樹くん?」その音に気づいた森川念江は尋ねた。佑樹は少し離れたところにいるボディーガードを見て首を振った。「ううん、ただのスパムメールだ」ただのスパムメールだったら佑樹はあんな反応を取るはずはなかった。念江は疑った。しかし、佑樹がきっと濁して教えてくれないというのを分かっていたので、念江は敢えて聞かなかった。「お母さんは……どうしてるの?」佑樹は小さな手を震わせながら母に返信した。佑樹からの返信をもらい、入江紀美子はやっと安心できた。「お母さんは大丈夫よ、そっちは?」「僕達は渡辺家にいて、携帯も返してくれたけど、前使ってた携帯はきっと全部監視プログラムを仕込まれているだろうから、こっそり新しいのに換えた」「分かった。用心に越したことはないわ。ところで、彼達に暴力を振るわれたりはしてない?」「うん、そんなことはないけど、沢山のボディーガードに監視されてる。お母さん……自殺とか、もうしないで……」紀美子は心が痛み、自分の愚行で子供達を悲しませてしまったことを後悔した。「ごめん。また心配をかけるなんて、お母さんがバカだった」「お母さんが無事でいることが分かったから安心した。僕と念江くんは瑠美おばちゃんにパソコンを用意して貰ってる。できるだけ早く塚原悟の犯罪の証拠を集めて、お母さんを助け出すから!」「この件は、そんなに簡単なことじゃないわ。くれぐれも慎重にね」もちろん彼は無暗に動くつもりはなかった。母が塚原悟に捕まっている今、絶対に慎重に動かなければならない。さらに母がそう言ってくるのを聞いて、反論できなかった。でないとまたお母さんに心配をかけさせてしまう。「分かった、お母さん。いつお母さんに会えるの?」「彼はお母さんを藤河別荘に連れ帰ると言ってるわ。佑樹くん、これから、隙をついてはあなたと念江くんの技術的支援が必要になるかも」佑樹は警戒しながら周りのボディーガードを眺めた。「何をやってほ
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