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第0218話

綿はまたしても幸福感に包まれた。

ベッドのヘッドボードに寄りかかり、目を窓の外に向けた。

もしも… もっと幸せになれるんじゃないか。

……

夜。

本当は家に帰りたかったが、小林院長が様子を見に来てくれ、念のために全身検査をして二日ほど入院するようにと言われた。

幸い、枝子は危険を脱して無事だった。

病室で一人でいると退屈で仕方がないが、自分には何も問題がないのに、どこにも行かせてもらえない。

まるで国宝のように、特別な監視対象にされているような気分だった。

そんな中、スマホにメッセージが届いた。秀美からだ。「綿ちゃん、もうすぐ餃子が届くわよ!」

お母さんが作った餃子が食べられると思うと、少しは退屈も和らいだ気がした。

綿は果物を洗い、お茶を二杯淹れて、おばあちゃんとお母さんが来るのを待っていた。

コンコン——病室のドアがノックされた。

綿はすぐに「どうぞ!」と返事をした。

彼女は嬉しそうに振り返ったが、入ってきた人を見て、動きが止まった。

輝明?

彼は手に弁当箱を持ち、複雑な表情で病室に入ってきた。綿の顔を上から下までじっと見つめた。

彼の目線はあまりにも熱く、綿は少し恥ずかしくなった。

綿は唇を引き締め、両手で服の裾をつかんだ。「お母さんとおばあちゃんだと思ってたのに」

「お母さんが用事があって、代わりに来たんだ」彼は綿の顔をもう一度見つめた。

彼がまだ仕事を終えていない時に、秀美に呼び戻され、「息子よ、綿が病気なの。これはチャンスよ。綿ちゃんを引き留めてあげなさい」と真剣な顔で言われた。

でも、綿はどう見ても元気そうだ。

「お母さん、来ないの?」綿は少しがっかりした。

輝明は綿を見て、「俺が来て、そんなにがっかりか?」と尋ねた。

綿は黙り込んだ。

その沈黙があまりにも際立ち、輝明は笑った。「そんなに俺が嫌いか?」

もう、以前のように彼に夢中で愛していた時の自分ではない。

綿はまだその場に立っていた。

輝明はソファを指さし、「こっちに来て、座れ」と指示した。

綿は彼の言葉に従い、ソファに向かった。

彼は綿の正面に座り、弁当箱を開けると、中には熱々の餃子が入っていた。

箸を二膳取り出し、綿が尋ねた。「ご飯はまだ?」

「仕事が終わったらすぐに家に呼び戻されたんだ。」彼は餃子を一つ取り、自分で食べようとし
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