第51章 あなたの負けだ

三井鈴は第2周目の勝ち負けには気にせず、目の前にある3番目のカーブに集中し、最も肝心な瞬間に再び安田翔平を一歩リードし、最後は一番にゴールに到着した。

この無声の対決は三井鈴の勝利で終わった。

スタンドにいる人々は手に汗を握ったが、最後は三井鈴の勝利に喝采を送った。

競馬はそういうものだ。最後の瞬間まで結果が分からない。

リラックスのためにもう1周走ったら、三井鈴は安田翔平の前で馬を止め、馬から飛び降りた。

鮮明で美しい顔には笑顔がいっぱいだった。ヘルメットを外し、黒い髪が肩に散り、見る者を魅了するほど美しかった。試合後は息を切らしていた。「安田さん、あなたの負けです」

三井鈴は以前にも「女王カップル」で競技の優勝を果たし、女王からの称賛を受けたことがあった。

幼い頃から乗馬が大好きで、三井陽翔は彼女のために珍しい馬を購入し、数多くの馬術チャンピオンをトレーニングパートナーとして招いた。

15歳の時のペットは、2億以上の価値がするアハルテケだった。

このような実践的な項目では、彼女は安田翔平のような半端なコーチの教え子に負けるわけがない。

以前はおとなしいイメージを保ち、出来る一面を慎重に隠していたのはただ安田翔平に好きになってもらうためだけだった。実に馬鹿らしいことだった。

安田翔平の胸の中の鼓動がまだ止まっていない。彼は何かを探究するように三井鈴を数秒見て、その後視線を戻した。「いつ馬に乗ることを覚えたの？」

さっきの彼は三井鈴が馬に乗れることに驚いたが、今は彼女が競技レベルのプロフェッショナルであることにさらに驚いていた。

目の前の三井鈴はワイルドで、とげのあるバラのようで、結婚していた間に見せてくれたことのない致命的な魅力が一挙手一投足から溢れていた。

彼は少しはまったことを認めざるを得なかった……

「三井さん、話がそれちゃったみたいですね。帝都グループの参入が話題なはずですが」三井鈴の口調は冷たく、人から離れているようだった。

安田翔平は問うのを止めた。「明日、契約を持って三井グループに来てください」

三井鈴は傲慢そうに頭を上げ、あざけるような笑いを見せた。「安田さんは本当に面白いですね、何をするにも他人に合わせてもらうなんて」

「帝都グループは同じ持ち株を所有するの参入だから、今回の提携はどちらにとっても損はありません