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第459話

雅之、あの最低な男、何がいいの?里香のことが好きじゃないのに、離婚もしないなんて。

かおるは、雅之を思い出すたびに、「ほんとに不運だな!」と吐き捨てるほど彼が嫌いだった。

15分後、里香がレストランの入口に現れた。

かおるはすぐに駆け寄り、里香の手を引いて席に連れて行き、少し離れたところで配膳している男性を指さしながら言った。

「見て、彼、あそこにいるよ!」

顔を向けると、確かに星野がレストランのスタッフの制服を着て、料理を運んでいるのが見えた。

かおるが手を挙げて呼んだ。「すみません!」

星野は反射的に返事をした。「はい、何ですか?」

振り返った彼は、笑顔でこちらを見つめる里香と目が合った。一瞬戸惑った様子の星野も、すぐに微笑んで近づいてきて尋ねた。

「小松さん、いつから来てたんですか?」

里香が答えた。「今来たばかり。どうしてここで働いてるの?」

星野の目が一瞬揺れ動き、「クビになったんです。それでここにいるんです」と言った。

それを聞いて、里香の眉がひそまった。「どういうこと?」

なんでクビになったのだろう?

かおるが冷笑して言った。「絶対、雅之の仕業だよ!こんなこと、彼が初めてやるわけじゃないんだから!」

里香は眉をひそめ、表情が険しくなった。

雅之が星野をクビにさせた?なんで?まさか、自分が星野と仲良くしてるから?

星野は自分を助けてくれた恩人なのに、冷たく接するわけにはいかないだろう。

星野が言った。「他の人とは関係ないですよ、自分の問題です。まだまだ未熟だから、雇用主がもう使いたくないと思ったんでしょう」

かおるが机を叩いて、「あなたがどこが悪いっていうの?確実に雅之が裏で手を回したんだよ!」と憤慨した。

里香は黙り込み、星野を見ながら尋ねた。「建築デザインの仕事、続けたい?」

その質問に星野の目は一気に輝き始めた。「続けたいです。でも......あの業界で稼ぐには時間がかかります。今はとにかくお金が必要なんです」

里香がにっこり微笑んで言った。「それは気にしなくていいわ。もしあなたがやりたいなら、私のところに来て。ちょうど私たちのスタジオもオープンしたばかりで、新しい力が必要なんです」

星野が驚いて、「本当ですか?」と言った。

里香はうなずき、「でも、採用されるかどうかは保証できない。あなたの実力を見せ
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