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第295話

月宮は全身が硬直した。破裂音が響いたのを、彼も聞いていた。そして振り返った瞬間、かおるが自分のために弾丸を受けた光景が目に飛び込んできた。

「......!」

衝撃的だった。

月宮は慌ててかおるを抱きしめ、彼女の肩からあふれる血を見つめた。かおるの顔はみるみる青白くなっていった。月宮は混乱したまま、絞り出すように言った。

「なんでだよ......?」

かおるは痛みで声が出せなかったが、月宮の言葉がかすかに耳に届き、心の中で叫んだ。

何ボーッとしてんのよ!

さっさと病院に連れてけ!私をここに埋める気か、このクソ男!

「月宮さん、大丈夫ですか?」

隠れていたボディーガードたちが現れ、銃を撃った犯人を取り押さえた後、駆け寄って声をかけた。

月宮はやっと我に返り、冷たい視線を投げた。

「......お前ら、さっき何してた?」

ボディーガードは頭を下げて言った。

「申し訳ありません、月宮さん。予想外の出来事で、対応が遅れました......」

月宮は胸の中に押し寄せる感情を抑えきれず、かおるを抱き上げてその場を駆け出した。

「かおる、もう少しだ。病院にすぐ連れて行くからな......」

かおるは激痛に耐えていたが、月宮の声を聞いて少し安堵した。

やっと病院......死なずに済む......

その瞬間、かおるの意識は途切れ、遠くで誰かが震える声で自分の名前を呼んでいるのを感じた。

手術室の明かりはずっとついたままだった。

月宮はドアの前でじっと立ち続け、かおるの血が染みついた服を握りしめていた。時間が過ぎても、彼はまだ現実を受け止められないでいた。

あんなにいじめてた相手が、俺のために弾丸を受け止めただなんて......

どうしてそんなことを......?

かおるは俺のことを嫌っていたはずだ。

むしろ、俺が死ぬことを望んでたんじゃないのか?

でも、なんで......?

月宮は答えを見つけられないまま、思考が堂々巡りしていた。

その時、手術室の明かりが消え、ドアが開いた。看護師と医師がベッドを押して出てくる。

「彼女は......?」月宮はすぐに問いかけた。

医師は「弾丸は取り出しました。内臓に損傷はなく、安静にしていれば回復します」と答えた。

その言葉に、月宮は大きく息を吐いた。

すでに入院手続きは済ませてあり、月宮
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