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第17話

冬城は病院で浅井みなみに一晩付き添ったが、午前中に突然中井さんから電話がかかってきた。彼は眉をひそめた。「入学試験?」

「事務室の人が今日突然電話をかけてきて、入学試験の名簿に奥様の名前があったので、冬城総裁に確認したいとのことでした。奥様はご相談されましたか?」

冬城は昨日の夜、真奈がまだ夫人と一緒に買い物をしていたのをはっきりと覚えているが、いつ試験に申し込んだのだろうか?

「わかった」

冬城は電話を切り、眉間のしわがずっと消えなかった。

また何を企んでいるのか?

「冬城総裁、学校から電話が?やっぱり、早く授業に戻ったほうがいいかしら」

浅井みなみは病床で、いつの間にか目を覚ました。

「中井さんに学校に連絡してもらった、今日は病院でゆっくり休め。あと電話で話していたのは君のことじゃない」

「じゃあ何のことですか?」

浅井みなみは冬城を疑わしげに見つめた。

冬城が学校で支援している学生は彼女だけだ。

「真奈だ」

冬城は少し頭痛を感じて眉間を揉んだ。

「先に帰るから、ここで休んでくれ」

浅井みなみは素直に小さくうなずいた。

冬城が去った後、浅井みなみはようやく呟いた。「真奈?彼女と学校に何の関係があるの?」

真奈がA大学をぶらぶらしている。彼女が冬城夫人であるため、校長と副校長がA大学の教育施設やキャンパス内の景観を紹介している。

真奈はもともと美しいが、今日はポニーテールにして、さらに大学生のような若々しさと美しさが増している。

周囲を行き交う学生たちは皆、真奈に目を向け、彼女の正体を推測せずにはいられなかった。

そして冬城の車もすぐにA大学のキャンパスの外に到着した。

福山は冬城の車を見て、なんだか見覚えがあるような気がした。「みんな見て、これって浅井みなみの彼氏の車じゃない?」

彼女たちは以前何度も見かけた、この車がずっと浅井みなみを送迎しているのを。

「そうだね、昨晩私は浅井みなみがこの車に乗るのを見たよ」

杉田は疑問に思って言った。「浅井みなみは彼氏が彼女を病院に連れて行くって言っていなかったっけ?こんなに早く退院したの?」

二人は車から降りてきたのが冬城一人だけだと見て、思わず好奇心を抱いた。

冬城もともと冷たい顔立ちで、周囲には常に人を寄せ付けないオーラが漂っている。身長は188センチで、全身から高貴
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